昨夜は小倉唯さんと石原夏織さんのファン……伝説の声優音楽ユニット「ゆいかおり」のファンだった人にとって…
「歴史的な事件」といっても良い出来事がありました。
といっても、分からない方がほとんどだと思いますので、改めてご説明しておきます。
「ゆいかおり」は、声優の小倉唯さんと石原夏織さんが、かつて組んでいた音楽ユニット。
唯さん14歳、夏織さん16歳の若さでデビューし…
最初は「お客さんより10㎝高い所で歌えるだけで、ありがたかった」とか…
「ライブをやっても、お客さんは10人以下」
「路上パフォーマンスをしても、誰も立ち止まってくれない」
という有様でした。
しかし、声優デュオとはとても思えない、卓越したダンスパフォーマンスと…
声の相性の良さ、楽曲の良さ、そして仲のいい二人の、可憐なキャラクター性が愛されて、やがて…
武道館単独ライブを大成功させたり…
アリーナライブで1万人を集めるなど…
アニソンの世界では一世を風靡する人気デュオに成長しました。
ところが、1万人アリーナライブが成功した数か月後に、突然の「活動休止」がレーベルから発表されました。
ファンにとっては、青天の霹靂。
そのまま二度とふたり一緒の舞台がないまま、正直言っておざなりのベストアルバムが発売されただけで…
夏織さんはレーベルを出て、事務所も辞めることになり、ユニットは事実上の解散となりました。
ファンから見ると、まるで懲罰的に夏織さんが「追い出された」ような形の終わり方。
しかもその後「ゆいかおり」の名前を口に出すことは、それぞれタブーになってしまったようになり…
特に唯さんに関しては、夏織さんのことを表立って話すことさえ、誰かから禁じられているような…
何とも言えない、重苦しい雰囲気がありました。
それから半年後、夏織さんはライバル会社のレーベルからソロデビューすることになりました。
(声優アーティストのレーベル移籍の発表には、前所属先の仕事が終わって半年の間をあける、という紳士協定があるようです)
あくまでも想像でしかない、ということを前提に書きますが。
この一連の出来事に先立って「ゆいかおり」のチーフプロデューサーで…
プロモーションの責任者でもあった、S・Kさんが、レーベルを退社し…
その後に夏織さんが移籍することになる、ライバル会社に転職していたこと。
夏織さんの移籍とソロデビューに当たって、そのプロデューサーに就任したこと。
などなど考えあわせると、S・Kさんと、元所属レーベルの総責任者であるM・A取締役との間に…
夏織さんの処遇、具体的には唯さんに続くソロデビューについての、意見の食い違い、確執があって…
すべては、そこに端を発したことだったのではないかと思います。
でもそんな「大人の事情」は、ファンにとっては関係のないこと。
活動休止に際してのレーベル側のあまりに冷淡な対応と、その後の何とも不自然な「タブー」の発生に…
いつまでも、突然いなくなったゆいかおりの影を追い求める「亡霊系」と言われるファンができてしまいました。
亡霊系まで行かなくても、ほとんどの元ゆいかおりファンが、何とも悲しく気分の悪い思いを抱えて来ました。
これが、ゆいかおりを巡る悲劇です。
それから5年……
唯さんがかつての古巣で、レーベルの意向で、ゆいかおりセットで退所することになった事務所…
そしてゆいかおり消滅後、すぐに夏織さんが復帰したスタイルキューブへの移籍を発表しました。
その時点で「亡霊系」を中心とするファンは、ざわついたのですけれど。
唯さんが2月にアルバムを発表した後、今まではそれを引っさげて行われて来た、ライブツアーが行われず…
単発のライブさえ結局行われなかったこと。
そして唯さんのファンクラブの運営元が、レーベル系の会社から別の会社に替わることが発表されたこと。
などから、唯さんのレーベルからの離脱が噂されていました。
そして今月15日の唯さんのお誕生日に、本当にレーベルを移籍することが発表されました。
移籍先は「亡霊系」ファンが期待した、夏織さんと同じ会社ではありませんでしたが…
移籍によって「タブー」から解放された唯さんは、夏織さんの話題を堂々とするようになっていました。
これが、昨夜の「出来事」の前段の話です。
ずいぶんと長くなって申し訳ありません。
でも、唯さん夏織さんのファンの多くに、非常に屈折した思いがあることを説明しないと…
昨夜のアニソンフェスで起きた小さな出来事が、ツイッターでのトレンド上位になるほどの…
大きな事件だとは、絶対にわからないと思いましたので。
そして昨夜は、アニソン界の世界最大の祭典『アニメロサマーライブ』のday2がありました。
石原夏織さんは、day2にソロで参加することが発表されていました。
唯さんは毎年ソロで参加していたのですが、今年は参加が発表されず。
(これもレーベル移籍を示唆する異変ではありました)
その代わり今人気の『ウマ娘』グループの一員として、同じday2に出演することが決まっていました。
(前列右から3人目が唯さん)
ただそれだけのことで「亡霊」となってしまったファンは、ふたり一緒にステージに立つ姿を期待しました。
「アニサマ」のステージでは、サプライズ的に、アーティスト同士のコラボが必ずあるから。
振り返ればゆいかおりの最後の活動となった、ラジオ『ゆいかおりの実♪』の最終回。そのエンディング。
唯さん夏織さんが、涙ながらに…
「ふたりが一緒にいればもうそれはゆいかおりだから」と言った言葉を、ファンは忘れていませんでした。
だから音楽のステージで二人が並んだ姿を見ることは「亡霊系」ファンの、文字通り悲願だったのです。
私は「亡霊系」ではないし、ゆいかおりのファンというよりは、もともと唯さんの「単推し」ファンなのですが…
本当にあのふたりが並んで歌うステージが、もしもいつか、本当に実現するのなら…
その歴史的瞬間を、ぜひ目にしたいと思っていました。
でも、今はお金も時間もないので、唯さんがグループの一員として出ることがわかっているだけの…
しかもチケット代は1万円、時間は5時間程度もかかるライブに、参加する決心はつきませんでした。
そうしたら……
唯さんと夏織さんのふたりだけでのステージ、即ち「ゆいかおりの復活」こそなかったものの…
このふたりが、かつてゆいかおりと同時に参加していた、別のグループ「StylipS」が…
一夜限りの復活、ということで、パフォーマンスをしたのです。
「StylipS」は、小倉唯、石原夏織、能登有沙、松永真穂の、スタイルキューブに所属していた4人で結成され…
その後、ゆいかおりの二人がまとめて抜けて…
松永真穂が引退して…
その代わりに事務所の後輩で「Pixys」というデュオを組んでいる…
伊藤美来、豊田萌絵のふたりの声優が新メンバーとして加わりました。
しかし能登有沙の活動が、振付師主体になって、声優、パフォーマーとしてはほぼ出なくなったことにより…
StylipSも、事実上活動休止状態になっていました。
それが、昨夜に限って旧メンバーと新メンバーを合体させた形で、復活ということになったのです。
形としては「ゆいかおり」+「Pixys」=「New StylipS」ということですね。
(左から伊藤美来、石原夏織、小倉唯、豊田萌絵)
披露した3曲は、いずれも第一期StylipSのオリジナル曲だったようです。
「亡霊系」ファンにとってはゆいかおりの曲がなかったのが寂しかったようですが…
とにもかくにも、唯さん夏織さんが一緒にステージに立ってパフォーマンスした、ということだけで…
奇跡のような出来事でした。
なにしろ「ふたりが一緒にいればゆいかおり」ですからね。
フェスのグランドフィナーレの場面では…
出演者全員が並んで歌う中で、唯さんと夏織さんの二人が横に並ぶというシーンも見られたそうで。
『ウマ娘』のステージではセンターを取った唯さんを、フィナーレではメンバーのいちばん隅っこに立たせて…
その隣に夏織さんを置いた、という配置は、もちろん意図的だったはず。
場内のライブカメラもちゃんと「事情をわかっていて」その二人だけをアップで抜いてくれたことで…
「亡霊系」ファンはこれ以上ない歓喜に満たされたようです。
SNSを見ると、会場で号泣した人も多かった様子。
結果、その日のツイッターのトレンドに「StylipS」「ゆいかおり」のワードがともにトップランクに出てきたと。
やっぱり見に行けばよかったと、私も後悔しましたよ。
でも来年のアニサマでは、今度は本当に「ゆいかおり」ふたりのコラボが…
ちゃんと「ゆいかおり」オリジナル曲で実現するという、夢のステージが、実現する……かも。
今度こそは、見逃せないですね。
そして、たとえアニサマのステージで、1年に1回の、まるで七夕の「織姫と彦星」みたいな形でも…
ゆいかおりが今後復活するのなら…
ふたりにとってもファンにとっても、こんなに嬉しいことはない。
そうなることを祈りたい。
いずれにしても、所属レーベルと決別し、事務所も夏織さんと同じところへ戻ってくれた…
唯さんの決断に、ファンは感謝しないといけないですね。