母から不定期の呼び出しが突然あるのは、珍しくないことなのですが…
今回は、施設の所長さんと担当のケアマネさんに「お礼」がしたいから…
3万円の商品券を2組作って、差し入れの荷物に紛れ込ませて届けてくれと。
最初は現金を要求していたのですけれど、施設に現金を持ち込むのは「厳禁」なので…
もし見つかったときにも騒ぎにならない形ということで、商品券を、と考えたのでしょう。
それで、近くに来たときをねらって、めくばせして、こっそり握らせようと。
もちろん、職員に対して個人的に金品を渡すことなど、施設ではNGです。
でも、母だけでなく父もそうなのですが、うちの両親は何につけルールというものを…
「タテマエ」「表向き」のことであって、破って裏からこっそり手を回すのが…
世の「実際のところ」であり、実はみんなやっていることだと信じているのです。
そういうのって、相手にだって失礼なんじゃないですか?
相手を金品をもらうかもらわないかで、仕事内容や態度を変える人だと思ってるわけだから。
そういうのが私は子どものころからいやでいやで……。
大病院の医者などは、確かに患者から「心付け」「お礼」をこっそり受け取って…
白衣のポケットに滑り込ませてしまうケースが、多々あるのは承知しています。
「お礼」と書いたのし袋を、これ見よがしに胸ポケットに入れて廊下を歩く…
そんな医者を、ある病院で見たこともあります。
大病院の医者の世界ならではの、悪しき習慣だと思っています。
(ああいうの、当然所得として申告してないんだよな…)
うちの親たちの場合、そういうルールからの逸脱が、実は「世間」での普通だと思っていて。
あらゆるところでやろうとするんですよ。
ケアマネや、介護士さんなどへの「袖の下」も、そう。
私はそういうのが本当に嫌いだから、これまで再三、やめてくれやめなさいと言って来たのですが…
お前は、あんたは……「いい年をして、世間を知らない」と言われて。
実際、福祉施設ではことごとく、そういう「袖の下」は断られるのですけれど。
それでも「たまたま固い人だったんだ」ということで、またやろうとする。
自分たちがそういう社会集団の中で生きて、そういうことを自分でも受け入れて来たから…
みんながそうしているものだと思い込んでいるのでしょうね。
どうですか?あなたの周りの世界で、そういう、本当は禁止だけれど陰で金品を受け取って…
もらった人に「便宜を図る」というようなこと、普通に行われていますか?
ルール破りや「裏金」「脱税」は、普通なんですか?……政界みたいに。
私が真面目過ぎて、世間知らずなのか、知りたいです。本当に。
我が家は父が芸能関係の仕事をしていたから、そういうのが「普通」だと思っていだけなのだと…
「世間」がどこでもそうとは限らないと、思いたいのですが。
まあ、私が大卒で入った大出版社、特に週刊誌の世界も80~90年代は「脱法行為」の温床で…
いろいろと黒い、狡い、あるいはハチャメチャなお金の使われ方はしていましたけれど…
(タイに出張した編集者が現地で買春をしまくったあげく、その金を社費で落とそうとして…)
(「ゾウ購入。現地事情により領収書なし。死亡につき廃棄」と伝票に書いたと…)
(そんな「伝説」がありましたっけ…笑)
でもさすがに、そういうのが「普通」だとは思わなかったので。
うちの親は、ちょっと馬鹿なのか、世間を知らな過ぎるのか。とにかくヤバい人たち。
病院とか介護施設とかだけでなく、あらゆるところで、正規のルートを行こうとせず…
なーんか横道にそれて、裏から手を回すようなことをしたがるんですよね。
息子のことに関しても実はそうで。
さすがに高校や大学は正面から一般試験を受けて、合格して入りましたけど…
(そうだよな。知らないところでまさか…)
就職するときは父が自分の「コネ」を使って、テレビ局に入社させたがって。
いろんな民放局の知り合いを接待したり、もしかすると金品を渡していたのを知ってます。
「テレビ局に入ったら、一生安泰だぞ」と言われて。すごくイヤだったから…
筆記試験にわざとデタラメを書いて、ほぼ0点を取ってやって、ことごとく落ちました。
わざと落ちたことは、父には内緒でしたけど。
出版社にはさすがにコネがなかったのですが、後年、人事の人間に聞いたところでは…
実はどこからかツテをたどって、筆記試験だけ自動的にパスするように手を回されていたと。
(テレビ局各社を筆記で落ちていたのが、本当はバレてたのかも)
愕然としましたけれど、でも「〇〇は筆記、トップの成績だったから関係なかった」そうです。
私は昔から「クイズ王」なので一般常識とかは異常に強くて…
(ほんとにくだらないスキルで恥ずかしいのですが)
自分より「偏差値の高い大学」からの受験者たちより、筆記だけは良かったみたいです。
でも、傷つきましたし、親がいやになりましたよ。その「裏口」体質。
それに、息子の実力を見くびられてるみたいで。そんなアシストがないと就職もできないと?
若いころ正面から「この世はカネとコネで出来ているんだから」と父に言われたことも。
この年になって、確かにそういう社会があるし、そういう社会ほど繁栄してきたなとは思います。
カネ=財力、コネ=権力。
正確にはコネはコネクションですけど、権力のおこぼれに与かり、またそれをさせることで…
権力者もキックバック=利得を得るシステムですから、権力そのものと分かちがたいものです。
この世は、その二つを手に入れる競争なんだ、という人生観の人は、少なくない。
というか、財力や権力のあまりない、市井の人でも、たくさん持っている人を羨ましがったり…
妬んだりしている。
妬むというのは、そういう人生観、世界観を肯定している、ということですからね。
もしなれるなら、そうなりたいと願っているということ。
まあ、カネ、コネに加えて、あとは男性中心で男性の価値観ばかりが大手を振って歩く…
いわゆる「ホモソーシャル」な社会では、それに加えてイロ=いい女、を手に入れること…
ですかね。ホリエモンこと堀江貴文氏も、モテはカネについてくるようなこと言ってたし。
世の成功者の多くが「トロフィーワイフ」を欲していますからね。
つまり見栄えが良くて、家柄が良くて、従順で(できれば有名人で)他人を羨ましがらせる妻。
それにセクシーな愛人を数人もつければ、ホモソーシャルでの完全無欠の勝利者、でしょうか。
あー、キモ!
政界(主に保守)・財界(大企業)・官僚(中央官庁)なんかは、そんな価値観でしょ。
あと大手マスコミや広告会社とかも。医学会や法曹界、各学会での成功者も、そうかな。
でも、かなりの日本人が彼らを羨ましがったり妬んだりする。
即ち、同じ価値観を、実は共有している。
できれば「そっち側」に入りたいと。諦めていても「入りたかった」と思っている。
そういう人が、子どもたちに向かって「大きくなったら偉い人になるんだよ」と励ますとき…
頭の中になんとなく描いてるイメージは、財力と権力を持つ人間なのでは?
あーやだやだ。自分は…
それこそ「こんな人たちに負けるわけにはいかない!」(by 故・安倍晋三氏)と…
反対側から指さして、叫びたいですけどね。
お父さんお母さん、こんなへそ曲がりで「変わってる」…
(父は人の悪口をいうときしばしば「あの人、変わってんだよな!」と言いますが)
出来損ないの息子に育っちゃって、ごめんなさい。