先日小倉唯さんが、作曲家・ミュージシャン・音楽クリエイターの、ヒャダインこと…
前山田健一さんがパーソナリティーのラジオ番組(Nack5)にゲスト出演していました。
収録され、放送されたのはまだ昨年中だったようですけれど。
この中で、唯さんがゲストの紹介曲としてリクエストした曲が…
なんと『アンパンマンのマーチ』!
歌詞が意外に深い、のが彼女の心に刺さるみたいです。
なんのために生まれて
何を見て喜ぶ
分からないまま終わる
そんなのはいやだ!
とか……。
確かに、唯さんが作詞する曲にも通じるテーマが含まれていますね。
そしてすでに声優、歌手、ダンサーとしての仕事だけでなく…
作詞・作曲・振り付け・映像監督・舞台演出・アルバムや写真集のプロデュースなど…
仕事のフィールドをどんどん拡げていることについても触れられていました。
今後については、何かファッション関係のブランドを持ちたい。とりあえずはコスメブランド?と言う話も。
別のネットラジオ番組で、今年は将来の「起業」のための下準備の期間かな…という話もしてましたからね。
まあ……体に無理のない範囲でやっていただきたいですけれど。
でも今の「声優さん」たち、声の仕事だけでなく、役者・タレントとしての仕事をどんどんしている人が多いです。
男性では、宮野真守さん、梶裕貴さん、山寺宏一さん、関智一さんほか、多くの声優さんが…
顔出しの俳優として、テレビドラマなどにどんどん出ています。
女性でも花澤香菜さん、佐倉綾音さん、三石琴乃さん、雨宮天さんなどがテレビドラマで女優を務めたほか…
声優さんのバラエティ番組への進出も目覚ましく、もはや総合的な「芸能人」になっていますね。
小倉唯さんの場合は、声優としてのスタート時点から、歌とダンスの活動もしていて。
むしろボーカロイドの二次元キャラ「初音ミク」に、ダンスをさせた際のモーションキャプチャーの作業で…
全身にセンサーをつけて、もとになるモーションデータのアクターを務めたことで有名になった経緯もあります。
彼女以前にも、歌やダンスの仕事を並行してしていた声優さんは、それなりにいたのに…
唯さんの場合は、アイドル適性があまりに高すぎたせいか「原理主義的」なアニメファンの目の敵にされて…
いろんな方面からバッシングされ、とてもつらい思いをしてきたのは、このブログでも書いてきました。
その後、同じような活動をする声優さんがたくさん出て来ましたけれど、それでもなお…
当時のバッシングの延長線上で、しつこく彼女のアンチでいたり、声優として認めない…
というスタンスでいる人が結構いるようです。
そういうアニメファンは「声優は声の仕事だけで勝負するべき」と言いますが…
実際それは、他人ごとだから言えるセリフです。
現実的には、若手の声優さんが活躍できる声の仕事のフィールドは、現実的に深夜アニメぐらいしかなくて…
それだけでは、とても食べて行けない賃金体系があります。
デビューからしばらくは、コンビニのアルバイトをした方がぜんぜん稼げるぐらいしか収入がない。
「本業」としてアルバイトをする人はとても多いですが…
声優の仕事はオーディションも収録も、いつ入るかわからないし…
準備やレッスンなども忙しいため、現実的にはアルバイトのシフトに入りにくく、結局難しい。
「実家が太い」人間だけにしか勧められない職業、とまで言われるのは、そういうことです。
この状況で、声優業をする人たちの現実の主な収入源は、イベント出演や、音楽活動、果てはテレビ出演などといった…
顔出しの仕事にならざるを得ない。
そうでないと、プロの仕事として成立しないのです。
そんな現実を無視して「声優は声の芝居だけで勝負しろ」というのは、現実を無視したあまりに酷な要求です。
そういう考えを持つのなら、業界の仕組みを変えるべく、ファンも何か現実的な行動をするべきですよ。
声優事務所や、アニメの「製作委員会」に名を連ねる企業の前で、デモや座り込みをしたり…
声優の待遇改善を求める署名運動をして、そういう会社に名簿を提出でもしたらどうなんですかね。
まあ、そういうのが一番苦手で、現実世界での「行動」から逃げているから「オタク」なんでしょうけれど。
なら、ネット弁慶で、口だけの文句を言うのは控えてほしいものです。
そんなわけで、小倉唯さんはデビューの頃から「声優アイドル」とか「アイドル声優」と言われてきたのですが…
最近の「アイドル声優」というのは、そういうのとは少し定義が変わって来たようです。
ゲームと、それをもとにしたアニメの中の、二次元アイドルグループが人気になって来て。
彼女たちの声を当てる声優さん(中の人)が、そのまま生身でも、アイドル活動をする(2.5次元)ことが盛んになり…
声優さんが歌やダンスの活動を、個人として行うよりもずっと多くのファンを獲得し、ビッグビジネスになっています。
そういう、いわゆる2.5次元グループの人たちのことを、最近ではアイドル声優と称するようになりました。
そういう声優さんは、声の仕事は一つのキャラしかできず、周りにいるのも同じ立場の新人の仲間たちです。
これだと、いままで収録の「現場」で、先輩から後輩へと伝えられてきた…
アフレコに関する「技術」や「役者の心」「仕事への取り組み方」といったものが継承される機会がありません。
結果的にアイドル声優は、技術を磨いたり、経験を積んだりする機会がないまま時間だけが経過し…
やがてそのグループがファンに飽きられた時には、声優としてもアイドルとしても「終わってしまう」ことになります。
それを「若手の使い捨て」として、批判するベテラン声優さんたちの意見には、真実があるでしょう。
そういうアイドル声優は、写真集を出したり、グラビア仕事をしたりということも、不本意ながら要求されたり。
ファンはあれこれ言うだけで頼りにならないのですから、彼ら、彼女らが団結して現実を変えるべく行動しなければ…
なのですが、言い出しっぺになって、矢面に立つ人は、仕事を「干される」リスクにさらされますからね。
労働運動というのには、常にそれがつきまとうのですが。
ひとりに責任が集中しないよう、全体が結束して、ストライキや出演ボイコット、という手段に出られるかどうか。
他の芸能ジャンルに比べて、声優さんの場合、所属事務所はあくまでも「オーディション情報紹介所」的な性格で…
事務所の「被雇用者」というより、独立した個人事業者的な色合いの強い声優業だけに…
労働者の団結、ということになると、難しい問題ですね。
でも、いまそれこそ女性声優さんには、体や心を病んで、長期休業や廃業する人が多いですから。
それを誘発する業界の問題点を何とかしないと、未来はないです。
ただ、今は日本の深夜アニメが中国やヨーロッパ、南米などで広い需要を獲得していて…
しかも、日本の声優さんの技術が特殊で、その声そのものを鑑賞することが海外ファンにも浸透しているので…
(なので、吹き替えではなく字幕で楽しむ人が主流だとか)
日本の声優さんが注目され、ファン層も世界に拡がりつつありますから。
そうしたおかしな労働慣行、賃金体系が海外に知れ渡ったら、外圧で何かがかわる…かも、と期待したいです。
最後に、この問題にご興味のある方は、こちらのYouTube動画をご参照ください。