NHKBSのイグノーベル賞のドキュメンタリーを見ていて、過去の受賞に「黒板をひっかく音を不快に感じるのはナゼか?」というのがちらりと見えた。
検索してみて、その内容は、「やっぱりねー。ソーダよねー」で全く納得。それなりの科学者にとっては既に結論に至っていたことなのだ。
ま、しかし、低周波音被害に関する”利害関係者”達(環境省などを含む日本の低周波音に関する”専門家”、たち)は、産官学こぞって、こうした研究の事実を『科学的知見』とはみなすことはなく、”聞こえない音は人間の健康に影響しない”とのお題目を唱えている。
因みに、今や低周波音被害において、”悪名高きモノ”となった「参照値」は、何度も述べるが、「低周波音は人間の健康に影響しない」などとは言っていない。単に「低周波音がその被害現場で被害原因として影響しているかどうか」を知る参照(→参考?)にしてくれと言っているに過ぎない。
何時から、『「参照値」を越えなければ問題無い→聞こえな無ければ問題無い』となったのか。
そもそも、「参照値」はその算出の過程の実験に於いて、「聞こえるかどうか」という聴覚閾値の実験から創られているからに過ぎなく、当然ながら「聞こえるかどうか」に基づいて居る。
それがどこでどう人間の健康と完全にリンクしたか、思いだしてみた。それは風車の低周波音が問題となった、あの『ちゃぶ台返し』からだ。
山田先生もお元気な内に、「参照値」について、一言コメントして頂きたいモノだが…。
風車騒音被害に低周波音被害はない 環境省 平成 24 年度 風力発電施設の騒音・低周波音に関する検討調査業務報告書
人間にとって重要な情報源である「音」。ことばを聞き取ると言うコミュニケーション・ツールとしてだけでなく、危険の察知や心やすらぐ音楽など、感情と密接な要素が多い。
「黒板をひっかく音」は、なぜ嫌われるのか? 子どものイタズラの定番として知られるこの音は、意外なことにサルの鳴き声とそっくりの音色で、古代の記憶が「危険」のシグナルと判断するため不快に感じるらしい。かん高い音でありながら、聞き取れないほどの低い周波数をカットすると、なんとか堪えられるようになるフシギな音なのだ。
■古代の記憶が「危険」を伝える音
黒板をひっかく音を不快に感じるのはナゼか? 興味本位ならアリだが、理由がわかったところでなにに応用するか悩んでしまうようなテーマを研究したひとがいる。アメリカ・イリノイ州にあるノースウェスタン大学のヒレンブランド氏らの研究チームは、この音がイヤがれる理由を研究し、2006年にイグ・ノーベル賞を受賞しているのだ。聴覚の専門家である同氏に加え、心理学の専門家も加えた研究チームにというから、その本気度がうかがえる。
この音が不快に感じるのは、サルの鳴き声に似ているからだ。
ここでのサルは「マカク属」と呼ばれる種で、危険を伝えるときの鳴き声が「黒板ひっかき音」と波形が似ているため、同じ音のように聞こえる。また、人間とサルは同じ霊長(れいちょう)類であることから、黒板の音=危険を伝える声=不快、と結論づけられているのだ。
赤ちゃんの泣き声と発情期のネコの鳴き声など、自然界にはまったく違うのに同じように聞こえる音は少なくない。とくに危険を感じた際の鳴き声は、仲間にも警戒をうながす役割も果たすので、目覚まし時計と同様に「心地よくない」音が用いられる。この鳴き声はヒトの世界ではすでに使われていないものの、黒板ひっかき音が古代の記憶を呼び覚まし、警戒=不快を感じさせているのではないかと考察されている。
■低周波が不快の原因
さらにフシギなのは、低音をカットすると聞きづらさが薄れる点だ。
黒板ひっかき音を文字で表現するなら、誰もが高音と表現するだろうが、音を加工すると、
・高音をカット … ほとんど変わらない(=聞きづらい)
・低音をカット … やや改善された
と、高音よりも低音が嫌われる要素であることが分かった。よりにもよって3~6ヘルツと、極端に低い音が不快感を生み出していたのだ。
人間が聞こえる音の高さは20~20,000ヘルツ前後といわれ、20ヘルツ未満は「低周波」と表現されるのが一般的だ。つまり、問題となる3~6ヘルツは音として聞こえているわけでないので、心理的に作用していることを意味している。これが超低周波音である。
音の高さをあらわすヘルツは、1秒間に起きる波の数をあらわすので、3ヘルツなら毎秒3回のうねりや振動になる。これらは音として聞こえなくても「からだ」で感じるひとが多く、公害源にもなっているぐらいだから、不快と感じて当然だ。
■まとめ
・黒板ひっかき音は、サルが危険を伝えるときの鳴き声とよく似ている
・低周波と呼ばれる3~6ヘルツの低音も含まれ、カットすると聞きづらさが減る