冬木立

冬木立
冬木中一本道を通りけり　　　　臼田亜浪　　　
すぐそこに夕日の見ゆる冬木立　　　 拙

夕方夕日に向かって車で進むことがある。まぶしいので、車のスピードを落とし徐行する。そんな時に遮蔽物が間に入るとホッとする。見晴らしの良い平地では点在する家の周りの木立に助けられる。それらの大部分は針葉樹であるが、枯葉を落とした広葉樹林が間に入ったときの木立のシルエットは実に美しい。徒歩の場合はそんなみちを
選択する楽しみもある。

冬銀河

冬銀河゜
再びは生まれ来ぬ世か冬銀河　　細見綾子
露店湯へと首ちじめれば冬銀河　　　拙

今夜「あかつき」が金星の周回軌道入りが確認される。是非成功してほしい。五年間も浪々の身だったので
今度は仕官に絶好の機会だとか。冬の夜空は美しい。オリオンを中心におうし・ふたご・こいぬ・うさぎ・ぎょしゃ・などを見つけながら成功をお祝いしたい。

虎落笛

虎落笛
樹には樹の哀しみのありもがり笛　　木下夕璽
たい焼きの頭をがぶり虎落笛　　　　　　　拙

水鳥の飛来地でたい焼きを食べながら、寒さを堪え見物していた。水辺は季節的に観光地になり、
土・日は出店も増える。

日記買ふ

日記買ふ
日記買ふ只それだけの用持ちて　　今井つる女
嗤わるることも承知で日記買ふ　　　　　拙

今年も後少し。手元の三年日記は三冊目。前回も買うのに躊躇した。医学の発達によって日本人の寿命は
伸びたとも言われ、今や世界の長寿国といわれる。今回は平均寿命を超えたので、少しためらったが、損を
しないためには長生きをすればよいだけのこと。鬼がおかしさを堪えているかもしれない。

クリスマス

クリスマス
あれを買ひこれを買ひクリスマスケーキ買ふ　　三村純也
童謡にここぞと老いのクリスマス　　　　　　　　　 拙

ここで言うクリスマスはクリスマスパーティである。本来なら12月25日にキリストの生態を祝っての行事だが
わが国ではそれに託けたお祭り騒ぎが主流である。最近では12月のお祭りとして、生誕日と関係なく催される。
ボランティアとか地域の人々が出不精の老人を家から誘い出すためのクリスマス会もたけなわである。そんな催しでの光景を一句にした。