インターネットも携帯電話さえもなかった頃、よく手紙を書いたものです。好きな子に書いたラブレター、学生時代の友人にあてた近況報告、自筆の手紙やはがきには、書いた人の心が映し出されていた。今は年賀状も印刷文字がほとんどでずいぶん久しく手書きの文字から遠去かっていた僕に今年に入って時々一枚のはがきが届くようになった。20年ぐらい付き合いのある方で仲人もしていただいた方からだ。ちょっとくせのある、御世辞にも上手いとは言えない文字だけど、これがなかなかいいんだ。なんでも毎日一枚、感謝の気持ちをこめてはがきを書いているらしい。相手は仕事仲間だったり、お客様だったり、家族や友人だったりとさまざまらしい。確かにメールや電話でも気持ちは充分伝わるだろう。ただ僕がいいなと思うのは文字からにじみ出てくるその人の想いだ。人は皆違った文字を書くし、幸せな時とそうでない時ではまた違ってくる。そしてその想いはずっと机の引出しの中で生きる。何年かたってまたその想いに触れる事ができる。何でも便利に簡単になった今の時代。だけど複雑で手間のかかる作業も僕たちは決して忘れてはいけない。
無駄な事なんて、本当はひとつもないのだろうから。
10年後20年後にもう一度読み返したい手紙をいくつ持ってますか?
無駄な事なんて、本当はひとつもないのだろうから。
10年後20年後にもう一度読み返したい手紙をいくつ持ってますか?