本日の晩御飯は大谷様リクエストの手作りハンバーグ♪
あたしは張り切って台所で材料と格闘…
格闘
格闘
とにかく格闘しててん。
えっ?リサ 料理できるんかって?
バカにしたらあかんよー
このハンバーグだけは…高校の時からの得意料理やねんでっ
さて 玉ねぎをみじん切りにしよっ
トントントン…
まな板の上で軽快なリズムを奏でながらみじん切り…
うーーーーーーーー
『目ぇーーしみるーーーーーー!!!!』
いつもは こうならんように一旦冷蔵庫で冷やしてから
水にさらして刻むんやけど今日は時間に余裕なかってん
隆人のゴーグル借りてきたらよかった。
とにかく 玉ねぎさん覚悟やっ!
ガチャ…
『ただいまー♪』
今日もご機嫌さんな声の大谷が仕事から帰ってきた。
『お帰りぃー おつかれんとこ悪いんやけど…まだご飯できてへんねん
お湯沸かしてるから先にお風呂入ってくれへん?』
『おぅ』
大谷がお風呂から上がってくる頃にはできとかんな…
あたしは玉ねぎを刻む手を速めた。
トント…うっ…
『しゅむー(目がしみる)』
あたしの声がよっぽど大きかったんか
お風呂に行ったはずの大谷がキッチンへとやってきた。
『なにしとん?』
『玉ねぎ…切っとる』
『玉ね…あぁ 今日ハンバーグやったな。』
って…
大谷がリクエストするから作ってんねんで
もしかしたら 給食で食べたんかな?
『オレが切るわ』
『えっ?』
いくら料理が苦手なあたしでも玉ねぎのみじん切りぐらいは
ひとりでできるもんっ
『ええよ 大谷疲れとるやろ?ちゃっちゃとお風呂入ってきぃー』
やんわりとお断りしたのに
『ええて…』
『いや ええんって…大谷はお風呂に入って…』
『遠慮すんなって ほら包丁かせっ!』
『いやややーーー』
包丁持ったまんまで危ないっちゅうの(笑)
怪しい…なんで頑なに手伝おうとしてんのかなぁ?
『なんでそんなに頑なに手伝おうとしたん?』
って聞いてみても 大谷は視線そらすだけ…
『大谷?』
名前を呼ばれても チラリっと視線だけを寄越すだけ
その視線にわざと負けん様に あたしは見返えす。
大谷は ひとつ息を吐いて 観念して口を開いた。
『見たないねん…』
『えっ?なにを?』
『だからーーーーーそのーリサがな…玉ねぎに…ってわかってても
泣いてるとこ見とうないねん。泣かせたない。』
『……へ?』
『おまえはアホみたいに笑ってたらええねんっ』
予想できへんかった答えにあたしの思考回路は一瞬で停止した。
その隙に
『だから…かせっ』
大谷は あたしから包丁を抜き取って
何事もなかったかのように玉ねぎを刻み始めた。
『わっ ほんま しみるっ なんやこいつ(笑)』
<リサの泣いてるとこ見とうないねん。泣かせたない>
なんやの このちっこいおっちゃん…
ゆうた言葉が恥ずかしかったんか はたまた玉ねぎの威力か
心なしか顔と目のあたりが赤い
『大谷 泣い…『泣いてへんわっ アホっ!!』』
バツ悪そうにアホなんてゆうてあたしを威嚇するけど
全然怖ないでっ
無性に抱き付きたくなったけど…
包丁を持ってるし危ないし…
あとにしとこっ
その日のハンバーグがいつも以上の味やったんは…
愛の力なんかもしれへん(笑)
end
<おまけ>
『大谷ありがとー♪』
『どういたしまして…(ガリっ)リサ…ハンバーグ焦げとるで…』
『えーーーーーーーー』
『まあ それもこれもリサ特製って事で(笑)』