東京は北の丸公園にある国立近代美術館工芸館で北村武資氏の作品展が行われることを知ったのは今年初めのこと。
かねがね、「羅を復活させた」「新しい織物を生みだした」といった氏の実績の評判を聞いていたので、ぜったいに行こうと心に決めていたところ、同館でボランティアで解説員をしている知人に招待券をいただくことができたのだ。
ラッキー!
開始まもない3月下旬に行く予定をたて、楽しみにしていたのに、ああ、それなのに…
その直前に、足の骨を折ってしまったのである。
ギプスもそろそろとれているのではないかという希望的観測の元、展示期間終了間際まで予定を繰り延べていたのだが…期待に反してギプスはとれず。
しかも、予定していた14日、東京は大雨。
さて着物で行くか、どうするか?
晴天であれば、一度ギプスに着物で国立劇場に出かけた経験があるから、迷わず着物にするのだが、けがしていなくても着物を着るのをためらうような雨風だ。
しかし、最後には「伝統北村武資展に洋服で行けるか―!」という意地が勝った。
国立劇場の時と同じく、足袋のハーフアップ&レッグウォーマーに、濡れてもあまり差し支えのない木綿の着物を着用。
レインコートはしっかり着込み、下駄(雨下駄は怖いので舟底の)に雨カバーをかけて。
少々、ギプスのはまった足が、鼻緒にはまりきらず心もとなかったが、まあ、なんとかなるだろう。
工芸館は、最寄りの地下鉄竹橋駅からちょっと距離があるので、大手町からタクシーで行く計画をたてたのだが…
休日の大手町。タクシー少なすぎ(涙)。
オフィス街だから仕方がないと言えばそうなのだが…
雨の中、杖ついてタクシーを待つというのは、予想外だった。
やっと捕まえたタクシー、運転手さんの愛想はよいのだが、連れて行ってくれたのなんと、北の丸公園内ではあるが「科学技術館」。
「(運転手さん)ここでしょ?」「(私)いや煉瓦作りの建物で…」「(運)こん中にあるんじゃないの?」
・・・んなわけないでしょ!
公演の案内板のところまで戻ってもらい、その表示を見せてやっと工芸館にたどりつく。
ふう~・・・
こうしてやっとたどり着いた工芸館。
木々の緑に映える煉瓦作りの建物は、もともとは近衛師団司令部だった。
戦後に鉄筋を入れたとはいえ、もとは木造だったというのも驚き。
さて、展示である。
土曜日の午後は「タッチ&トーク」といって、解説付きで作品鑑賞できるイベントがある。
この日にしたのは、そのイベントへの参加ねらいでもあった。
偶然にもその日の解説担当は、チケットを贈ってくれた知人のAさん。
着物好きの私にぜひ見てほしいから…と、わざわざチケットを送ってくれただけあり、言葉の端々にまで作品への愛あふれる解説でございましたよ。
Aさんの絶賛にたがわず、展示作品は「こんなのどうやったらできるの?」とため息の出るものばかり。
<緯錦>
<透文羅>
※写真は工芸館のホームページから
中でも、北村氏が独自に作り出したという「透紋羅」は、その文様のバリエーションに驚かされた。
また、「タッチ&トーク」の一環で、拡大鏡で見せてもらった作品の繊維は、あまりにも精緻であるのにも驚愕。
普通に見ると、非常に軽やかなのに、実際には複雑に細い糸が組み込まれているのだ。
その姿は、まるでミクロコスモス。ちょっと蜂の巣を思い出してしまった。
そしてもっと驚いたのが、展示品のほとんどが「個人蔵」であったこと。
え~、日本にはお金持ちっていっぱいいるのね…と下世話な感想。
もし私がこの中で一つ作品をもらえるとしたら…などと、くだらなくも楽しい想像をしながら、鑑賞したのだった。
最後に立ち寄ったミュージアムショップで、北村氏の織物が使われた小物が販売されていたのだが、その金額に再び衝撃。
作品をお買い上げできるのは、万に一つもないでしょうなあ。
すっかり夢が覚めました(笑)
かねがね、「羅を復活させた」「新しい織物を生みだした」といった氏の実績の評判を聞いていたので、ぜったいに行こうと心に決めていたところ、同館でボランティアで解説員をしている知人に招待券をいただくことができたのだ。
ラッキー!
開始まもない3月下旬に行く予定をたて、楽しみにしていたのに、ああ、それなのに…
その直前に、足の骨を折ってしまったのである。
ギプスもそろそろとれているのではないかという希望的観測の元、展示期間終了間際まで予定を繰り延べていたのだが…期待に反してギプスはとれず。
しかも、予定していた14日、東京は大雨。
さて着物で行くか、どうするか?
晴天であれば、一度ギプスに着物で国立劇場に出かけた経験があるから、迷わず着物にするのだが、けがしていなくても着物を着るのをためらうような雨風だ。
しかし、最後には「伝統北村武資展に洋服で行けるか―!」という意地が勝った。
国立劇場の時と同じく、足袋のハーフアップ&レッグウォーマーに、濡れてもあまり差し支えのない木綿の着物を着用。
レインコートはしっかり着込み、下駄(雨下駄は怖いので舟底の)に雨カバーをかけて。
少々、ギプスのはまった足が、鼻緒にはまりきらず心もとなかったが、まあ、なんとかなるだろう。
工芸館は、最寄りの地下鉄竹橋駅からちょっと距離があるので、大手町からタクシーで行く計画をたてたのだが…
休日の大手町。タクシー少なすぎ(涙)。
オフィス街だから仕方がないと言えばそうなのだが…
雨の中、杖ついてタクシーを待つというのは、予想外だった。
やっと捕まえたタクシー、運転手さんの愛想はよいのだが、連れて行ってくれたのなんと、北の丸公園内ではあるが「科学技術館」。
「(運転手さん)ここでしょ?」「(私)いや煉瓦作りの建物で…」「(運)こん中にあるんじゃないの?」
・・・んなわけないでしょ!
公演の案内板のところまで戻ってもらい、その表示を見せてやっと工芸館にたどりつく。
ふう~・・・
こうしてやっとたどり着いた工芸館。
木々の緑に映える煉瓦作りの建物は、もともとは近衛師団司令部だった。
戦後に鉄筋を入れたとはいえ、もとは木造だったというのも驚き。
さて、展示である。
土曜日の午後は「タッチ&トーク」といって、解説付きで作品鑑賞できるイベントがある。
この日にしたのは、そのイベントへの参加ねらいでもあった。
偶然にもその日の解説担当は、チケットを贈ってくれた知人のAさん。
着物好きの私にぜひ見てほしいから…と、わざわざチケットを送ってくれただけあり、言葉の端々にまで作品への愛あふれる解説でございましたよ。
Aさんの絶賛にたがわず、展示作品は「こんなのどうやったらできるの?」とため息の出るものばかり。
<緯錦>
<透文羅>
※写真は工芸館のホームページから
中でも、北村氏が独自に作り出したという「透紋羅」は、その文様のバリエーションに驚かされた。
また、「タッチ&トーク」の一環で、拡大鏡で見せてもらった作品の繊維は、あまりにも精緻であるのにも驚愕。
普通に見ると、非常に軽やかなのに、実際には複雑に細い糸が組み込まれているのだ。
その姿は、まるでミクロコスモス。ちょっと蜂の巣を思い出してしまった。
そしてもっと驚いたのが、展示品のほとんどが「個人蔵」であったこと。
え~、日本にはお金持ちっていっぱいいるのね…と下世話な感想。
もし私がこの中で一つ作品をもらえるとしたら…などと、くだらなくも楽しい想像をしながら、鑑賞したのだった。
最後に立ち寄ったミュージアムショップで、北村氏の織物が使われた小物が販売されていたのだが、その金額に再び衝撃。
作品をお買い上げできるのは、万に一つもないでしょうなあ。
すっかり夢が覚めました(笑)
私はユニクロで行くことさえ断念しました。
みたかったんですが。
私の足のけがは、どっちかというと、草履のほうが楽でした。雨が降っていると、クロックスのようなベタ靴より高さがあるほうがぬれずに済んだし。
北村展に洋服で行けるかーの心意気に拍手です。
ご友人が解説員なのですね、いいなあ、私もこの展示、前後期とも行きましたが、解説を聴くとまた、見方が変わったかも。扇面の経錦、すごいですよね。個人蔵が多かったというのも同じ感想です。丸帯の布なんて、どんな風に個人で保管しているんだろう・・・なんて、小市民の私は妙に細かいところが気になってしまいました
個人蔵のものは、おっしゃる通り、どう保管されているのか、興味深いです。見る限り、殆どは着用外のようですから、タンスではなく、大きな蔵にでもしまわれているのでしょうか。たとえ北村氏の作品が買えたにしても、収納に困る小市民の私とは、それだけでえらい違いです(笑)