アトリエ 籠れ美

絵画制作、展覧会、美術書、趣味、その他日常の出来事について
平成27(2015)年5月4日より

多様性、多趣味の時代における芸術のあり方

2018-11-09 06:48:41 | 画材、技法、芸術論、美術書全般、美術番組
 現代人は多趣味である。いや俺には趣味なんてないと思っていても、時代は21世紀。贅沢な時代と言えるわけで、皆さん大なり小なり趣味を持っている。

 テレビやユーチューブを見ること、スポーツ観戦、甘いものや肉をたくさん食べること、映画や音楽鑑賞、読書、旅行、散歩、テレビゲーム、楽器演奏、草野球、ペット、釣り、囲碁将棋など、挙げだしたらきりがない。

 要は便利な時代なので、皆さん何がしか趣味ないしは趣味に近いことをして過ごしている。つまりは現代人はさまざまなことをして時間を過ごすことができる。それも昔に比べたら考えれないくらいに容易に。

 そういう意味で、現代人は皆忙しいわけで、ひとつの物事に長時間つきあってくれない。例えば昔なら新作テレビドラマやアニメは週1回の放送で1年間続いたが、今では半年が通例だ。

 もちろん人は自分の好きなことなら何時間でも費やすが、そうでないこと、ちょっと面白そう、といった程度のことに対しては、ぱっと見で判断し、そこでつまらなければ他へ行ってしまう。他に面白そうなことはたくさん、すぐに見つけられる。

 だから移り気とも言えるわけだが、そういう人たちの心を掴むために、見た目の派手さを追求することに終始しがちだ(個人的には特に映画にそれを感じる)。

 でもね、そんなことに注力しても、結局中身が良くないとどうしようもない。ただ逆に、今の時代、いくら中身が良くても、見た目が駄目だと、いや駄目過ぎると、その時点で相手にされないという現象が起きやすい。

 つまりは口コミは今でも強力な宣伝媒体だが、そこへ到達しないで終わってしまう。これだけは回避しないといけない。

 創作活動をする側にとっては非常に難しい舵取りを要求されているわけだ。

 でもある意味、現代人は宣伝慣れしているとも言えるわけで、そうしたものの中から本当に良いものを嗅ぎ分ける感覚は、過去の人々よりも鋭いんじゃないか。

 現代は昔よりも圧倒的に見た目に気をつけないといけない。でも結局は中身の問題。これを洗練されてきたと受け取るのか、世の中混沌としてきたと捉えるのか、はたまたいつの時代も変わらないと思うのか。

 およそその辺のところで堂々巡りをしているというのが、私の現代に対する見方で、多様性、多趣味の時代においては、たとえ芸術といえど、ある程度の見栄えが要求されるんじゃないかと思っています。


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