アトリエ 籠れ美

絵画制作、展覧会、美術書、趣味、その他日常の出来事について
平成27(2015)年5月4日より

芸術家と都会

2016-01-13 06:45:45 | 画材、技法、芸術論、美術書全般、美術番組
 芸術家にとって自然は重要で、創造の源泉である。自然に囲まれた環境での制作を求め、田舎へ引っ込んでしまう人は大勢いる。しかし芸術家は完全に都会から離れて暮らすことができるだろうか。画材店は都会にあるし、画商や絵を買ってくれるコレクターは大抵都会に暮らしている。画家が自分の絵を売り込もうとしても、画商のいる都会からあまりに遠く離れたところに住んでいると、往復の移動時間と旅費もばかにならない。だから私は芸術家が完全に都会と縁を切るのは難しいと思う。いや実は不可能なのだと思う。
 このことは案外強調されていない。ついつい芸術家と自然の関係ばかりが指摘され、強調される嫌いがある。実際に芸術家も自然の重要性を説く発言が多いのだから仕方ない。「自然を師とせよ」と言ったセザンヌの言葉はあまりに有名だ。
 随分昔だが、ニュースで西武秩父線に窯を構える陶芸家が増えているという話を知り、感心したことがある。西武秩父駅の反対側の終点は池袋駅である。特急レッドアローで行けば都会の池袋なんてすぐである。たとえ各駅停車でも時間はたかが知れている。西武秩父線に目をつけるとは何と頭のいい、賢い選択である。
 芸術家と都会は切り離せない。自然よりも切り離せないのである。
 ところで創作活動をするのに、都会派と自然派がある。創作活動をするのに都会に住むのがいいか、田舎に住むのがいいかという話である。私の友達に都会でないと絶対ダメ、というのが1人いる。都会に住んで、同じく都会に住む人たちからパワーをもらわないと創作活動ができないと言うのである。何となくそういう気持ちもわからんではないが、私は勝手な言い草、妄想に近いと思っている。私自身はどちらかというと自然派。あんまり人が多いところに住んでも落ち着かないので、創作活動に支障が出る気がする。
 さて、みなさんはどっち? 都会派、それとも自然派?


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