4月10日(月)晴れ
さて、選挙に欠かせないものといえば選挙ポスターです。
三鷹市では、市内を27のブロックに分けて、
各ブロックに掲示板が7~8つほど設けられます。
掲示板の合計は229箇所になります。
ポスター貼りは、4月16日(日)の公示日の朝に解禁となり、
ほとんどの候補者がその日のうちに貼り終えます。
つまり選挙に立候補しようと決意する人間は
「1日で229枚のポスターを貼り終える」というミッションを避けて通れず、
そのために最低でも4~5人の仲間を確保しないといけないわけで、
ぶっちゃけ、市内に人脈を持つ地元民か有力者、もしくはどこかの政党が
後推しする人間でないとミッション達成は難しそうに思えます。
でも大丈夫。今は何でも分業の時代です。
229枚のポスター貼りについても「仲間を募る」という対処法の他に、
「アウトソーシングする」という対処法があります。
世間には1枚ナンボの契約で選挙ポスターを張ってくれる業者さんがいるのです。
午後は新宿で業者さんと打ち合わせです。
オフィスビルの窓からは夏の日差しが差し込んでいました。
私のポスターは横長なので、掲示板のレプリカを手作りして
「こういう風に貼ってくださいね」と担当者に伝えます。
被選挙権は地域の有力者だけのフィールドではない。
私のように地縁が薄く人脈の乏しい主婦でも、外注という裏技を使えば
そのフィールドに新規参入を許される…という新しい状況は、
グローバル資本主義のもと、あらゆる社会活動が分業化され標準化される
21世紀の世界の潮流の中ではじめてもたらされたものです。
でもジバンもカンバンもない主婦がワンオペで立候補を決意する時、
その決意はグローバル資本主義からではなく、むしろ
グローバル資本主義とは対極にある、この国の土着の精神性の中から
生まれるような気がします。
たとえば明治初期に沸き起こった自由民権運動とか、
「民撰議院設立の建白書」を政府に叩き付けた板垣退助とか、
私の初期衝動の起源はたぶんそのあたりにあって、
選挙で選ばれた代表による議会政治を実現しようともがき苦しんだ明治人と
現代を生きる私の潜在意識は地下水脈でつながっていて、
ワンオペ選挙もあんがい当てずっぽうではないのかも…などと考えると、
体のあちこちに溜まっていた選挙準備の疲れも吹っ飛んでいく気がします。
ワンオペ選挙といえども
ポスター印刷とポスター貼りだけは他人の尽力なしには実現せず、
選挙に立候補した者は、常に自分の作る渦に他人を巻き込みながら、
前へ前へと進んで行きます。
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