ガンバレ よし子さん

手作りせんきょ日記

声を届ける 第12回

2019年04月05日 | SAVE 築地市場


この場所に立っていると、まさしく今、築地場外市場が地上げの渦中にある、ということを肌身にヒリヒリと感じる。ここは真実や嘘や、善意や策略や、正直者やぺてん師が入り混じる、険呑な場所。住人どうしが腹の内を探り合い、疑心暗鬼になって、疲れ果てている場所。言い換えれば、いまの日本社会の縮図。1日1時間立っているだけで、それがわかる。たぶん私はその険呑さに寄せてスピーチ原稿を書くべきだった。そうすれば、向かいの店に立つ店員に、言葉がまっすぐ届くかもしれない。でもそれはここに立ってはじめてわかること。立たなければ、一生わからなかった。現場に立つこと、めげずに立ち続けること、それが大事。

2019年4月5日(金) 辻立ち12日目

5:15 夜明けの時刻が早くなった。気温8度



5:27 有楽町公園 *1



5:44 ざぎんの地域猫



5:58 築地市場正門 
空に夏の気配。はっきりと季節が動いた。
ストールをスカーフに、登山用ズボンをジーンズに、私も衣替え。



6:00 新大橋通り 露店の八百屋
とちおとめ2パック800円、あまおうは1,000円
買いたいが、先を急ぐ。

6:20 波除神社→松枝物産閉店セール
梅ぼし購入 450円 松枝社長に挨拶

6:27 地上げの空き地の前の歩道。フェンスの向こうに蓬。
子どもの頃よく祖母と摘んだ。草餅たべたい。
THE M/ALLの提灯をセットして辻立ちスタート *2



6:36 スピーチ ~その1~ 読了。
松枝社長はラジオ体操。

6:47 スピーチ ~その2~ 読了。

7:00 スピーチ ~その3~ 読了。

7:05 スピーチ ~その4~ 読了。撤収 *3
店先で朝ご飯中の松枝社長に挨拶。
「丸福水産」の店先にて、三脚を立ててワイワイと店内を
撮影する数名あり。ユーチューブで店のPRでも始めるのかな。

7:15 新大橋通り 露店の八百屋
いちごは完売。また今度。

7時35分 銀座→帰宅

*1 岡本太郎の時計塔。数寄屋橋交番横からここに引っ越してよかった。あそこは右翼の街宣がうるさいからね。太郎が放つオーラのおかげで、この空間だけが別世界。銀座のパワースポットのひとつ。

*2 台車の上のゴミが増えている。放置自転車も2台から5台に増えている。しかし、なぜか人ひとり分の空間が、台車と自転車の間に。「ここに立て」というメッセージ? … まさかね。

*3 朗読中に30代から40代のダークスーツの男性が3名、入れ替わりで現れて視野を横切っていく。市場関係者ではない。役人かな。地上げ屋かな。皆さんおしなべて提灯を意識している(コイツ、何者?と)。













声を届ける 第11回

2019年04月04日 | SAVE 築地市場
2019年4月4日(木) 辻立ち11日目

05:27 数寄屋橋公園
岡本太郎の時計台。満開の桜の枝にウグイス。
早春の早朝だけ現れる幽玄な空間。



05:55 築地市場正門→波除通り→波除神社

06:05 松枝物産の閉店セール
干し椎茸を買う。500gで2,500円
松枝社長に辻立ちのお伺い。「いいよ」とのこと。ふぅ、よかった。

06:10 波除神社から地上げの空き地の前へ 
歩道には昨日の台車。その両脇に、今日は自転車も置いてある。
台車の上には段ボール箱。中にはゴミ。これはやはり「ここに立つな」
というメッセージ?このあたりの誰かが、私を目障りだと思っている?

06:17 辻立ちスタート

06:37 スピーチの途中で件の台車の持ち主が現れる。*1

07:01 スピーチ終了。撤収
松枝社長に挨拶。「ご苦労さま」とねぎらいの言葉をいただく。感謝。

07:41 銀座→帰宅

*1 80代くらいのおじいさん。市場関係者のようにも見え、アル中のようにも見える。台車を押して向かいの「*内商店」で店員と立ち話。その後台車を元に戻し、隣に止めた自転車に乗って消えていった。妨害されたわけではないが、ちょっと意地悪された感じ。けして居心地はよくない。













地上げの中心で「ノー」を叫ぶ

2019年04月03日 | SAVE 築地市場


2019年4月3日(水) 辻立ち10日目

05:45 築地市場正門→波除通り
水曜は築地の休日。波除通りで営業しているお店はまばら。
松枝物産のある6丁目付近は全店休業。いつもは買い出し客の
路上駐車で溢れている波除神社付近も、今日は人気なく静か …
というよりも、なんだかゴーストタウンを思わせる寒々しい風景。



休日と知らずに訪れた外国人観光客が
波除神社だけを見物して引き返して行く。



05:55 波除神社 
社務所の窓に〇川珠代のポスターが貼られている。
これは威嚇。こけおどし。
「神は神、政党は政党」と割り切って参拝する。*1



06:10 地上げの空き地
昨日私が立っていた場所に、大きな台車が置いてある。
なんとなく磁場が形成されつつあると感じる。*2
魔除けの提灯をセットしていると、フェンスの向こうの
桜の木にウグイスが止まる。吉兆。




06:13 路上のハトを聴衆にして、辻立ちスタート

06:58 スピーチ終了 撤収。

07:30 銀座→帰宅

*1 政教分離の原則に従い、良心的な神社は境内に政党のポスターを貼らない。波除神社も昨日まで貼られていなかった。つまりこのポスターは、昨日私が帰った後に貼られたということ。「*露」とか「新*商事」とか、波除通りには明らかに自民党のテリトリーとわかる店があり、店先にはもれなく〇川のポスターが貼ってあることは、私も以前から意識していた。今日からそこに波除神社も加わることになる。不可解なのは、なぜ今日なのか、ということ。以下、私の勝手な想像。神主さんは、自民系の有力者にごり押しされて、いやいや貼ったのではないかしら。ポスター貼りのタイミングに、面従腹背の気配を感じる。少なくとも、カミサマは自民党の宣伝に使われて迷惑だろう。お布施もあるだろうから、ばちあたり、とまでは言わないけれど。

*2 この台車に込められたメッセージはなにか?
イ )「おまえはここに立つな」
ロ )「どうぞ演台としてお使いください」←積載量500キロの表示あり
ハ )ここは台車のいつもの定位置。昨日はたまたま使用中だった。
答えは持ち主にしか分からない。でも答えが ハ )である可能性は低い。プロは商売道具を雨ざらしにしたりしない。私がここで辻立ちを続ければ、いつか持ち主を特定できるだろうか。













声を届ける ~ 地上げの空き地にて ~

2019年04月02日 | SAVE 築地市場
2019年4月2日(火) 辻立ち9日目

05:30 銀座
寝坊して、朝のコーヒーを作れなかった。夫よ、ゴメン。
慌ててカメラも忘れてきた。
05:45 築地正門→波除神社
06:00 松枝物産(かまぼこ)の閉店セール
籠持ちの先客と社長の会話。向かいの空き地で地上げをやっていると。
松枝物産の社長は地上げを歓迎していない、と踏む。
4つで500円のふりかけを買う。 *1
向かいの空き地前で辻立ちする旨を伝え、社長の了解を得る。

06:05 地上げの空き地を背に、辻立ちスタート *2

06:12 スピーチ ~その1~ 読了。

06:23 スピーチ ~その2~ 読了。

06:39 スピーチ ~その3~ 読了。

06:45 スピーチ ~その4~ 読了。撤収

社長に挨拶。迷惑そうではない(たぶん聞こえてない)。

07:17 銀座→帰宅
 
*1 コレおいしい。松枝物産で買った「茎わかめ入り梅こんぶ」



*2 この場所、気に入った。昨日までの場所より自分にしっくりくる。明日もここに立たせてもらえるといいな。













声を届ける ~ 松枝物産にて ~

2019年04月01日 | SAVE 築地市場
2019年4月1日(月) 辻立ち8日目

05:50 築地正門
06:00 波除神社



06:05 松枝物産(かまぼこ)の閉店セール
松枝物産の社長は74歳。社員は全て辞めてもらったが、
売掛金の回収のためにしばらく一人で店に立つのだそう




「場外がなくならない限り、築地はなくならない」
という明るいキャッチコピーの裏にあるリアル




私 : 「お店、閉めるんですか?」
社長: 「まわりがすっかり変わってしまってね」
私 : 「場内がなくなったことが影響した?」
社長: 「役人が市場を豊洲に移したおかげで、客が分散してしまった」



社長: 向かいの空き地を指して「あそこはホテルになるんだ。
残念だけど、時代の流れだからしょうがない」
私 :「でも、私は怒ってますけど」
社長:「… 誰に向かって怒ればいいの?」   *1



06:20 ぷらっと築地のベンチの前で辻立ちスタート

06:58 スピーチ終了。撤収
松枝物産で買った桜えび ひとつ450円




*1 「… 誰に向かって怒ればいいの?」松枝社長が付きつけるこの問いは重い。怒りの矛先を誰に向けていいのかわからない。だから怒ることをあきらめる。怒りと共に生きるのはつらい。だから思考停止する。それが築地問題のやっかいなところだ。「怒りを誰に向ければいいのか」という問いは、「誰が責任を取るのか」という問いでもある。築地問題は20年以上も前から続いていて、その間に石原、猪瀬、桝添、小池と、4人の都知事が交代した。役人だって何人も入れ替わっている。責任の最終地点が不明のまま、破壊だけが機械的に進む。反対の声しか出ていないのに。
強いて言えば、一連の問題の責任は、上記4人を知事に選んだ東京都民にあるということになるけれど、その中にはもちろん松枝社長と私も含まれている。私は上記4人に投票しなかったけれど、都知事選挙がポピュリズムに支配されるのを阻止することもできなかった。都民は長い年月をかけて構造的な絶望を作り出し築地の市場関係者を追い詰めた張本人と言うこともできる。
でも、もし私がその絶望に打ちのめされて、抗議することをあきらめていたら、私は松枝社長と出合うことはなかった。同じ気持ちを共有することもなかった。そう考えると、とりあえず辻立ちは続ける価値がありそう。