蒼天在眼 (そうてんまなこにあり)ーベランダで星を見る

昔、昔、天文少年でした。そして、今は、ベランダから、星を見ています。
いろいろの忘備録

FSQ85ed をオートフォーカス化する の 巻 その3

2021-11-30 13:29:46 | 天体観測

では、実際の天体にEAF(オートフォカッサ)でフォーカスを合わせてみましょう。

この時期、いつも、Balcon がフォーカスを合わせているフォーマルハルトを導入します。正確なフォーカス合わせのために、オートガイドを行い星像を視野で動かないようにしました。

 

マニュアルフォーカス

まず、オートフォーカッサ(EAF)を使って、マニュアルで合わせてみます。マニュアルで合わせる場合は、画面左にあるフォーカスコントローラーで、合わせます。上から微動/粗動の切り替え・中央のステップ位置を挟んで、移動矢印、オートフォーカスとボタンが並んでいます。

ASI air  proには、フォーカス合わせを支援するモードがあるので、Previewから、Forcusにモードを変更します。

緑のROI (Region of Intarest: 関心領域)ボックスを比較的小さく写る暗い星に合わせて、更にフォーカスを追い込んでいきます。

左のプラスボタンを押すとROIが更に拡大されて、フォーカスを更に追い込んでいきます。フォーカスを動かしても、画面がぶれないので、快適です。

中央画面に拡大されたROIと右上段に星像の大きさ示すグラフ、左下段ピークの光量を示すグラフが表示されます。星像の大きさは、半値全幅 (はんちぜんはば、full width at half maximum, FWHM)をピクセル単位で測っていると思われます。光量の単位は、Balconには想像もつきません。半値全幅の最小の位置を捉えるように、フォーカスを追い込んでいきます。このくらいなると、シーイングの影響で、星像が揺らぐので、難しいのですが、フォーカス位置は、ステップ1979、星像のFWHMは、2.18pixでピントが合ったとしました。このピント位置での写真はこんな感じ。

 

このピント位置で、Balconが20世紀天体少年時代にはなかったバーティノフマスクをかけるとこんな感じ。あの頃は、銀塩写真時代で、ピントは、デジタル写真のようにシビアでなかったです。

オートフォーカス

次に、ASI air  proのオートフォーカスを試してみました。以下に使う数値は、前回、測定した数値を使います。

 

OGPイメージ

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フォーカスボックスの一番下は、オートフォーカスボタンです。カメラのように、全くピントが合っていないところから、自動で合わてはくれません。大雑把にピント合わせをしてから、使うようです。工場出荷状態では、粗動30ステップ、微動は10ステップで設定されていましたが、微動の10ステップは、移動量が42.5μmにもなってしまいfsq85ed の焦点深度、31.8μmを飛び越してしまいそうですが、そのままで、行ってみましょう。

AF(オートフォーカス)ボタンを押すと画面が変わり、丸に右向き三角のスタックボタンに触れると、後は、フォーカスが合うまで介入の必要はありません。

自動で、星を選んで、2秒露出を繰り返して、星像のFWHMを取得しながら、横軸にステップ位置、縦軸にFWHMをプロットして、下に凸の近似曲線を描いていきます。

近似曲線が完成したら、最小値付近を細かに移動しながら最小値を見つけます。FWHM2.75pixが最小値ということになってフォーカス位置は、1993でした。

マニュアルで合わせたFWHM =2.18、フォーカス位置1979とは、14ステップ、59μmの差です。

次に、もう一度粗動10ステップ、微動3ステップでオートフォーカスしてみます。3ステップ(12.8μm)なら、fsq85ed の焦点深度31.8μmの範囲内に2点は、入るはずです。結果はFWHM=2.59、フォーカス位置は、1982で、マニュアルフォーカスとは、3ステップ差(12.8μm)でした。星像は、シーイングの影響で、かなり変動しますが、焦点距離は、かなりマニュアルと近い値でました。今後の設定は、微動3ステップ、粗動10ステップでいくことにします。

これ以外に、バックラッシュも値を入れることができるのですが、いつも0に戻ってしまいます。焦点距離と同じようにASI air  pro が測定した値で、入れ替えをしているとしたら、高橋製作所の工作精度は素晴らしいです。

EAFは、環境温度も測定できます。温度がピントに与える影響は、主に、鏡筒の熱膨張、空気密度の変化による屈折率変化、ガラスの膨張によるレンズの変形などが考えられますが、一番影響があるのは、鏡筒の膨張収縮でしょう。鏡筒を構成するアルミニウムの膨張率は2.38×10-5(1/℃)です。450mmでフォーカスが合っていたとすると1℃の温度変化で、10.7μm伸び縮みします。3℃の変化で、FSQ85edの焦点深度を超えてしまうことを考えると、環境温度が2℃変化したら、焦点を再設定したほうがよさそうです。

最後にオートフォーカスで撮影した。オリオン座アルニタク周辺です。

今回は、バーティノフマスクの付け外し以外は、導入から、オートガイド、フォーカス合わせ、撮影、全てを温かい部屋の中で行いました。もう、国立天文台三鷹キャンパスから、ハワイ、マウアケナ山のすばる望遠鏡を動かしている気分です。極楽、極楽。



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2 コメント

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Unknown (starskys2)
2021-12-01 09:39:01
新星空の友です。

オートフォーカスの馬頭星雲の写真、拝見しました。
東京都内の空でこれだけきれいに写せるのですね。
光害の空でHα赤外域の散光星雲を更に撮影して頂きたく思います。
私はオートフォーカスしていません。ε-130D望遠鏡を手動でピント合わせしています。特にピントずれはありませんから。ダイヤルゲージを付けて気温差によるピント位置ずれはチェックしています。
私の実験ではε-130Dは気温1℃の違いで約0.01㎜ピントが変化します。
貴殿も気温差の大きい時は、途中でオートフォーカスし直すことも必要かと思います。
尚、レナード彗星(C/2021 A1)が見頃、撮影頃になっています。
是非、東京の空でレナード彗星の観察・撮影に挑戦して頂きたいです。
東京の荻窪でレナード彗星撮影に成功している方がいますので、尾も含めて写せると思います。
どうぞよろしくお願いします。
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Unknown (balcon)
2021-12-01 17:37:51
新星空の友さん
コメントありがとうございます。
ε130D とは、うらやましいです。Balconも、明るい反射光学系に心が動いております。ε系かRASA8か、はたまた、R200ssかと揺れております。あるもので済ませと言われていますが、考えるだけなら自由ですものね。ε130Dだと、焦点距離 430mmなので、1℃で、10μm焦点が動くのは、納得です。
Leonard彗星は、一応興味がありますが、ベランダの東方向が視野が取れないので、十二月中旬以降、日没後を考えるていますが、地平高度が低いのと、まだ空が明るい時間帯なので、かなり難易度が高いんじないかと思っています。今後も、ご指導お願いします。
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