半澤正司オープンバレエスタジオ

20歳の青年がヨーロッパでレストランで皿洗いをしながら、やがて自分はプロのバレエダンサーになりたい…!と夢を追うドラマ。

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第119話

2022-09-19 07:22:24 | webブログ

バレエ教師の半澤です。

平日は朝は11時から初中級レベルのレッスン、水曜日、金曜日の
夕方5時20分は子供の初級、夜7時から中級レベルのレッスンです。
土曜日は朝11時からのレッスン、夕方6時です。ポアントもあります。
日曜日と祭日も朝11時から初級のレッスン、ポアントもあります。

皆さま、お待ちしております!

ホームページ半澤正司オープンバレエスタジオHP http://hanzanov.com/index.html
(オフィシャル ウエブサイト)

テラコヤプラスで紹介されました。https://terakoya.ameba.jp/a000001572/

私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp
http://fanblogs.jp/hanzawaballet3939/

連絡をお待ちしてますね!

2022年12月27日(火曜日)寝屋川市民会館にて
半澤正司オープンバレエスタジオの発表会があります。


Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

バリエーションは「パキータ」からのエトワールのVaです。堂々としたプリンシパルの
踊りでありながら、曲調が静かに繊細な振り付けを支えて行きます。所々にキャラクターが
入り、私も大好きな踊りです。男性陣は「眠りの森…」からデジレの王子の踊りです!
さ、やりましょう!!

男性陣は「海賊」からアリのVaです!

一歩一歩ゆっくりと楽しみながら踊りましょう!
さ、やりましょう!

連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第119話
兎に角、知っている限りのロシア語を使ってその老紳士に
「イズビニーチェ!パマギーチェパジャールスタ!!ヤ、
トージェバリェット アルチースト!ヤ ハチュー ウチッツァ 
バリェット、ズジェーシ ヴ ラシヤ!パジャールイスタ!
「すみません!どうぞ助けて下さい!私もバレエアーティストの
一人です!私はこのロシアでバレエを勉強したいのです!
どうぞ話を聞いてください、お願いです!」と声を出したのだ。
いわゆる直訴であった。

ショージは爺ぃたちの揺ぎ無い攻撃に会いながらも、兎に角、
必死で声の続く限りその紳士の目を見ながら何度も懇願した。
ところが、爺ぃたちの力は半端じゃない。ショージはそのままの
態勢で引きずられた。身体中の服が脱げそうになって滅茶苦茶
であった。

ショージのたった一回のチャンスなのだ。全身全霊ただただ
命掛けての懇願だった。そして「もう駄目か…」と思った時、
その老紳士が爺ぃたちに向かって物静かに手を上げた。
「良い良い…ちょっと手を離してあげなさい…」老紳士が静かに
手を上げると、目を吊り上げて怒り顔になっている爺ぃ2人は
「えっ!?」と驚きながらパッと手を離したものだから、
ショージはそのままドッカーンと床に反動で転がってしまった。

「こ、この爺ぃ~っ!手を離すんだったら、離し方があるだろ!」
と言ってやりたいところだが、この状況下ではそれどころではない。
関係者入口は大騒動に発展してしまい、床の上に転げてしまった
ショージが態勢を整えようとした時には、入口付近は黒山の人だかり
になっていた。皆、オーケストラの奏者たちやらダンサーたちが
「な、何が起こってるの!?」と不審な目で見つめた。

しかし今のショージにはこの大事な一瞬を怯むわけには
行かなかった。ショージの目の前に立っている黒ぶちの
分厚い眼鏡の老紳士、この老紳士の前頭葉はとても発達
している上、その丸く頑丈そうで実がたっぷり入って
そうな頭部が実に独特で、一見怖そうなのだがその静かな
動作や目で、その人柄が表れていた。が、この時のショージは
それどころではない。

老紳士は「ちょっとこちらに…」とショージに言って、
黒山になってる人々に通路を与えて皆を行かせた。ショージの
顔をじっと静かに見ながら「私に用なのかね?」と静かな声で
話し掛け、「良いかい、ゆっくりと喋りなさい…ロシア語
出来るかね?」

ショージは「トーリカ チュチュ…」(少しだけですが…)と
答えて、老紳士があまりにじっと見るので涙が零れて出て来た。
「あの…バレエの関係者ですか?」老紳士は「そうだが…」
「ああやっぱり!良かった!僕はロシアでバレエの勉強がしたい
のです…ですが、僕は日本人なので私個人ではこの国に来るのが
難しいのです。あの…僕を助けて下さい、お願いです…」

泣きながら懇願するショージを静かに見ながら、老紳士は
ショージを大きな瞳で瞬きもせず、じっと見つめた。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第118話

2022-09-18 07:29:55 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第118話
それが一体どれだけ大切で重要な人なのか瞬時に爺ぃは
思い出したようで「ん…終わるのは2時過ぎだっ!
でもここで待つな、邪魔だからなっ!出なおして
来いっ!邪魔だ邪魔だっ!」ショージもここは潔く
「あっそう…じゃ、2時前にはまた来るわな。今、
2時過ぎって言ったんだよな?」

もうそれには爺ぃは答えなかった。あっち向いてホイッ!
である。劇場の中は関係者入口であっても本当に温かい。
ここに留まっていたいし、中に入ってワシリエフ氏の
新作を見たいのだが、あまり事を大きな問題にまで
発展させるとその内、警察沙汰になっても大変で
ある事からショージは言う事だけを言ったら外に出た。

「うう~寒過ぎ、何処に行こうか?」行く宛てはなかった。
目線を宙に向け、ショージがもし本当にワシリエフ氏に
会えたとしたら何を言いたいのかを考えた。

人間の脳

時間をようやく潰し、またもや関係者入口へと近づいて
行った。ショージはこう!と決めたら蛇の様にしつこい。
もう入る前にどういう風になるのか目に見えて分って
いたが、血の雨が降ろうとショージは行かなければ
ならない。雨にも負けず風にも負けず…である。
そしてショージがボリショイ劇場の二重の門の関係者
入口に来ると、「お?」まだ時間も早めだと言うのに、
何故かオーケストラの奏者が少しずつ向こうから出て
来た。「ん?もしかしたら早めに終わったのかな?」

爺さんはショージを見るなり、決まり悪そうに「チッ!」
と舌打ちしたが、ショージは爺さんにさっき釘を刺して
おいたから悪態はつかなかった。そして1人、2人…と
オーケストラの奏者たちが門から消えて行く時、向こう
から一人の黒い眼鏡を掛けたやはり老年の紳士が歩いて
こちらの方に向かって来るのが見えた。

10メートルくらい近づいて来た時にショージはその
老年の80歳は超えているだろう紳士に目線が集中した。
「もしかしたらバレエ関係者か…」もう既に犬の直感
とでもいうのであろうか、ショージはその人の姿を見た
瞬間から他の者が全く見えなくなった。

人間は信じられない脳の素晴らしさを持っており、ここ
一番と言う大事な時には全ての物がスローになり、最後の
瞬間はまるで時空が全て止まったかのようになる。

謎の紳士

ショージは関係者入口に向かって3メートルほどの近さ
までやって来た老紳士を見て確信した。バレエをしている
かどうかは歩き姿だけで判断が付くのだ。「この人はバレエ
ダンサーだった人に間違いない!」ショージの方から
近づいて行った。

その瞬間、4人の内の2人の爺ぃが飛び上るようにしながら
「あっ!?こ、この馬鹿が何を晒すっ!こいつ!」そう言い
ながらショージの後ろ首と両腕、ジャケットの背後を
鷲掴みにしたのだ。ショージは絶対に動きたくなかった。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第117話

2022-09-17 07:30:54 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
小道具を手に持って
第117話
バッグがあるのだからバレエシューズをわざわざ手に
持つのもどう見てもおかしい。しかし2秒であの人を
こっちのペースに巻き込むのだから、小道具は絶対必要
不可欠とショージは寸劇に出たのだ。そしてショージの
期待通りに男は応えたのだ。「あー、今日は直ぐに舞台で
リハーサルだ。明日がバレエ『アニョータ』のプルミ
エール(初日公演)だからな!今からドレス・リハーサル
をやって今晩にはゼネラル・リハーサルだ、んじゃな!」
と言って立ち去ろうとした。

「はは~ん、やはり僕のバレエシューズを見て仲間と
思ってくれたんだな!遠目で僕のプリエをきっと見て
いたんだろうな…でも行かれちゃうと困る」 ショージは
男を呼び止めた。「あ、ちょっと!あ、アニョータって、
モダン?それともクラッシックなの?」すると男はまた
立ち止まって「アニョータを知らないのか?ウラディーミル・
ワシリエフの振付だ…クラッシックと言えばクラッシックだし、
モダンかと言えばモダンだ…そんな事は自分で見て判断
すればいいだろ…んじゃな」そう言うと、4人の爺ぃたちの
座っている筈の関係者入口の中に消えて行ってしまった。

「アニョータ…?ドレス・リハーサルだって?み、見たい、
う~絶対に見たいっ!こうなったら怒られてもいいから
関係者入口に入って見よう!そしてショージは再び二重の
門を開き、中に入って行くと直ぐに爺ぃ4人の内の1人と
目が合ってしまった。

「お、お前は今度は何の用で入って来たんだーっ!」爺ぃは、
いきなり喧嘩腰だ。ショージも咄嗟に言い返した。「えー?
何って、今日はバレエ・アニョータのドレス・リハーサル
(衣装を装着してのリハーサル)なんだし、今夜はゼネラル・
リハーサル(メーク、衣装全てを着けての本番さながらの
リハーサル)じゃないか!」と如何にも知っていたかのように
答えた。

「どうだ爺ぃ、こっちが知っているって思わなかっただろう、
えー?どうだ、すんげーか…?お前ら爺ぃ4人はどうせ
寄ってたかって井戸端会議ってもんだろうが!こっちの
知恵袋はあんたらとは、ちと大きさが違うんでね!」

ドレスリハーサル

「だ、だから何なのだ!?お前が何で関係があるんだ!
お前はこの劇場のダンサーでも無いのに、一体何しに
来た~っ!」「おいおいおい爺さんよ、そんなに怒らなく
たっていいじゃん全く。」齢を取ると人間は怒りっぽく
なるのだろうか?「関係あるさ!僕はバレエダンサー
だからな!それでドレス・リハーサルは何時に終わるん
だい?」すると頭部の横のこめかみに血管を浮かばせて
爺ぃはワナワナと震えながら「時間をお前に教えて
どうなる?お前には関係が無いっ!」

ショージは落ち着き払って爺ぃの目を見た。「あのね、
僕はここで会わなきゃいけない人がいるんだよ…」すると
言葉も終わらない内に「またか!言っただろ~が!
マエストロ・グリゴ―ローヴィチはここからは出入りを
しないって!向こうに廻れって言っただろうがっ!
こいつは~っ」

ショージは首を横に振り「違うよ違うよ!昨日ちゃんと
向こう側に廻ったよ!今日はミスター・ウラディーミル・
ワシリエフ(ボリショイの最高トップダンサー)に用があるから、
ここで待たなきゃいけないんだって!」すると「な、何~っ!
誰だ?誰だ~っ?ウラディーミル・ワシ…あん!?」
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第116話

2022-09-16 07:27:22 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第116話
後になって知った事なのだが、彼こそ世界的に有名な
ダンサーで名前をユーリー・ウラディーミロフと言う。
モスクワ国際バレエコンクールで金賞に輝いた驚きの
バレエダンサーだ。

彼の神々しいまでの上半身と誰もやれそうにない神業的な
空中での斜めの回転、更にはピルエット(こまのように
回転する技術)からいきなり、パンシェ(片足を背中の
後ろに高々と上げて止まれる技術)して回ってしまう
突拍子もないテクニックだ。そしてクラッシックバレエ
ダンサーと思えないような醜い足先をしている。(世界的な
ダンサーに対して失礼しました)

しかし、彼の出場したモスクワ国際バレエコンクールの
決選における審査員たちも「む~…これは困った事に
なったぞ!あいつはボリショイバレエの代表でこのコンクール
に出て来たものの、何と野獣の様な足先…これじゃバレエ
ダンサーとは言いずらいが…。

しかし、ずば抜けたテクニックに唸るほどの強烈な個性!
あいつに付ける点数はゼロか100点しかない…む~、
これは困った…」と審査員全員が評議に掛けたと言う。
そして彼はとうとう1位に当たる金賞に輝いたのだ。
そんなユーリー・ウラディーミロフにショージはプレゼント
したいものがあった。「今回は持って来て無いからあげる
事が出来ないけれど、シャンプーとリンス…これが
あなたには絶対に必要かもしれない。」

ダンサーとしての誇示

ダンサーに話しかければ、何らかの切っ掛けでボリショイ
劇場の中に入れて貰えるんじゃないかという甘い期待を
抱きながら門の前に立っていたが、ダンサーたちが
オーケストラの連中と混ざって入ってしまったり、人相が
怖かったり、そうこうしている内にどんどんダンサーが
中に消えて行ってしまった。

 ショージは焦るばかりで前を通りすがるダンサーたちに
話し出す切っ掛けが掴めなかった。と、ようやく若い男性
ダンサーが向こうから来たので、ショージは急にバッグから
バレエシューズを取り出して向こうからやって来る男性
ダンサーに見えるようにしながら、足を開いて2番のプリエを
しながら股関節が詰まっている時にするような仕草をした。
明らかに「私はバレエダンサーなのだ!」と言う事を誇示
するために他ならない。

 しかし、限界温度のマイナス40度の中で股関節を
鳴らそうとした時に本当に股関節が「バキッ!」と音が
して眼の玉が飛び出しそうになった。「ぎょえ~っ、
痛~っ!」ショージのような見知らぬ男にいきなり声を
掛けられれば相手も怪しむだろうが、バレエシューズを
片手に2つとも持って二番でプリエしたら、ショージも
そのような人に声を仮に掛けられたとしても安心して
「あ、君もダンサーなのか…いやー、仲間じゃないか!」
と思ってもらえるかもしれないからだった。

恐らくそれも一人合点であろう。「あれ?」遠目で見て
いると向こうから若そうな男ダンサーが…と思っていると
近づいて来た男はおっさんだった。でももう怯んでいる
場合ではない。

「アー、ドウブレイ ウートラ!(お早う!)今日は何の
リハーサルがあるのかな…レッスンもあるんでしょう?」
と言いながら、これ見よがしにショージの汚いバレエ
シューズ見せつけるように、アキレス腱なども伸ばすような
仕草までしながら聞いてみた。 これを普通の人が見たら、
「ちょっと、ちょっと何してんですか?もっと普通に
動かないで喋れないんですか?」と言いたくなるだろうが、
ダンサー同士なら分って貰えるのではないか…と自問自答
していると、そのおっさんダンサーは反応した!

人間は最後の最後まで結果は分からないのだから諦めては
いけないという事なのである。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第115話

2022-09-15 07:37:07 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
友だち作り
第115話
例えば何処の国であろうが誰であろうが、劇場の門前で
ダンサーたちと一瞬で友達になれる人はいるだろうか?
仮にここがスイスやイギリス、またはフィンランドだと
したらまだ可能性は少しだけでもあるかもしれないが、
ここはソビエト連邦のど真ん中のモスクワだ。共産圏の
人々には笑顔など無いのだ。そして強烈に寒く、知らない
人間なんかと一瞬でも時間を潰す人はいないだろう。

共産圏では自分が暮らすのに必死で、他人の事なんかに
構っている余裕は無いに違いない。「さてどうしたものか…
仮に知らない人間が僕に話しかけ来たら僕は直ぐに
友だちになれるだろうか…訳の分からない外国人で
見かけが貧相で実に怪しい風体にしか見えないだろうな。
しかも話す言葉が「あ~、う~…」の連発でまるで
大平元総理大臣みたいじゃないか…う~寒気がして来た!
さ、本気で考えなきゃ…どうやって話し掛けようか…。」

ショージ空想の中でどのようにダンサーたちに声を
掛けたら良いのかシミュレーションしてみた。「ハーイ!
How are you!元気かーい?僕は君と友だちになろうと
思ってここにこうしているんだよ!君はどう思う?さ、
友達になろうよっ!」

「これじゃ精神科に行った方が友だちではなくて、仲間が
たくさん出来るに違いないか。こんな訳も解からない
小さな変人を相手に止まってくれる人はいないかもな。
あっ!来た来た、あれは女性バレリーナだな…それにしても
随分と大きな女性ダンサーだな、ちょっと最初は男性の
ダンサーに話しかけるとしよう。」

女性ダンサーがショージの前を通り過ぎる時、ショージの
身長を遥かに超えているのを茫然としながら上目づかいで
見送った。「今日はアンドリスは来ないのかな?彼が
来れば話しが一番早いのに。おっ、あれもダンサーだな、
よしっ、男だぞ!あの人…ん?ダンサーか?背中が丸く
なっているけど、足が外股だし…兎に角、話し掛けて
一刻も早くチャンスを作らなきゃ…!」

世界バレエコンクール金メダリスト

向こうからやって来た男性ダンサーが関係者入口に
近づいてくるにつれて、その容貌がはっきりして来た。
この極限の寒さの中だというのに帽子もシャプカも
被っていない。そしてその男は若くはなかった。
40歳くらいか。頭の髪は前頭葉に辛うじて少し生えて
はいるが、後頭部の髪が肩まで長く「落ち武者」の
ばさら髪みたいだ。しかもギトギトの油の様な物で
べったりとしている。

男がショージの直ぐ傍まで来た時にその顔はまるで鬼の
様に怖い顔で死神の様な冷酷さをショージは感じ取り、
話しかけるどころか顔を見るのも怖くなった。ショージが
顔を向こうに背けようとした刹那、彼にギラっとした目で
瞬間見られた時には背骨がゾワ~ッとし、悪魔にでも
見られた様な怖さを全身で感じた。

男が離れて行く時にショージはその後ろ姿を横目で見ながら
「あー、話しかけなくて良かった…ふー」と溜息が出た。
(つづく)