オカルト系やミステリー系のバラエティ番組などでよく流れるBGMがある。
まるで定番BGMのように。
たとえばその中の1曲は「The X Files」である。
聴いたことがある方は多い筈だ。
この曲など、今ではどちらかというとUFO関係のテーマソングみたいに思われているのではないか・・と思うぐらい、定番化している。
そして「The X files」と双璧なぐらいに、良く使用される曲がある。
それこそ、マイク・オールドフィールドの「チューブラベルズ」の初期バージョンだ。
これなどは、UFO系というより、恐怖系のバラエティのBGMの代名詞的な存在になっている。
まあ、元々この曲が知られるようになったきっかけが、恐怖映画「エクソシスト」だったから、そのイメージがこの曲にどうしてもつきまとっているのだろう。
この「チューブラベルズ」を耳にしたことがある方は多い筈。
映画「エクソシスト」を見てない人でも、この曲といえば恐怖系BGMとして刷り込まれている方は多いと思う。
確かにこの曲が「エクソシスト」でテーマソングとして使われたことで、映画の大ヒットもあって、全世界に知られるようになったのは確かだ。
それによって、マイク・オールドフィールドの名前も世界に知れ渡ったし、アルバム「チューブラベルズ」を販売したヴァージンレーベルも軌道に乗った。
マイクやヴァージンレーベルの成功におおいに貢献したことになるし、もしもこの曲が映画に使われなかったり、ヒットしなかったら、その後のマイクの音楽活動やヴァージンレーベルの存続にもかかわった問題になったのかもしれない。。
この曲があたったからこそ、マイクはその後も音楽活動を続けていけるようになったのかもしれない。それぐらい大きな作品であった。
だが・・その一方で。
この曲の「エクソシスト」でのイメージは相当強力すぎたかもしれない・・・と私は思っている。
それは、この「チューブラベルズ」のアルバムを丸ごと聴いてみらったり、その後マイクが発表したアルバムの内容を聴いてみれば納得してもらえるのではないか。
この「チューブラベルズ」はアルバム1枚で1曲という構成のアルバム。
もちろん、発表時にはLPという形式だったので、レコードにはA面B面があったので、A面が「パート1」、B面が「パート2」という形式になっていた。
つまりアルバムの最初から最後までが1曲というコンセプト。
ということは、その1曲はアルバム1枚分の長さがあることになる。
で、その長い1曲は、場面場面で刻一刻とサウンドや曲調が変わっていく。
最初から最後まで、エクソシストのテーマソング風な曲調というわけではない。
牧歌的で美しい個所もあれば、ハードなサウンドの部分もあるし、様々な楽器がだんだん入ってきてドラマチックな展開を見せる個所もある。
最初にこのアルバムを丸ごと聴いた時に私が一番驚いたのは、ラストの部分。
トラッドソング「セイラーズ・ホーンパイプ」がマイクの手によって編曲され、それがこの「チューブラーベルズ」のラストに組み込まれている点。
このラストは楽しく浮き立つような軽快なリスムで、この壮大な「チューブラーベルズ」という組曲(?)を賑やかに平和にしめくくっている。
聴いてると高揚してきて、思わず踊りだしたくなるようなパートだ。
この点など、冒頭の「エクソシスト」に使われたパートとは全く別の・・・正反対ともいっていいぐらいの流れ。
で、全体を聴き終わって感じることは、エクソシストの不気味さではなく、平和で美しい自然を感じさせる牧歌的な音楽であるということ。
決して不気味な音楽なのではないのだ。
仮に冒頭の部分が不気味に聞こえたとしても、それはあくまで冒頭の部分のみ。
あとは変幻自在に曲調が変わっていく。
全体的には平和で美しい世界なのに、冒頭の部分のミステリアスな部分のみがクローズアップされ、その結果この音楽はかなり誤解されてしまっている。
このことに関しては、マイクも「エクソシスト」で不気味な印象で使われたことに当惑していたらしいとも聞く。
まあ、その映画のおかげで大ヒットし、知名度アップや関心度アップや収入にも繋がったわけだから、その点には感謝もしてたらしいが。
今では冒頭のパートは「チューブラーベルズ」とは認識されずに、「エクソシストのテーマ」という感じで世界では認識されてしまっている面はあるのではないか。
少なくてもマイクの音楽を知らない人たちにとっては。
テレビのオカルト番組などでは、あくまでも「チューブラーベルズ」の冒頭の部分しか使われない。
それ以外のパートは、ほとんど使われない。
なので、マイクオールドフィールドというと、オカルト系の音楽を作るミュージシャンみたいに思われているのではないか。
そのへんが、マイクの大ファンである私としては残念だし、悲しくもあるし、ちょっとくやしい思いがあるのだ。
「そうじゃないんだよ」と言いたい。
あくまでもマイクの音楽は、トラッドで平和で美しい音楽が根底にある。
その証拠に、皆さまお馴染みの「チューブラーベルズ」の冒頭の部分をしばし先まで聴き進めていってみてほしい。
あの神秘的なパートが、徐々に平和で美しく、心休まるような曲調に変わっていくから。
私の考えるマイクの音楽の真骨頂はそういうパートにこそあると思う。
曲が更に奥に奥に進むと、けっこうハードな部分が出てきたり、ドラマチックだったりする。
また、時にマンドリンのトレモロ奏法が入ってくるあたりもあったりするが、そんな繊細なパートなどは聴いててうっとりするぐらい美しく、かつ切ない。
自然に包まれたユートピアがあるかのようでもある。
チューブラーベルズの冒頭の「エクソシストで使われた部分」は、あくまでも繊細で美しい音世界に入っていくための導入部でしかないのだ。
なので、あのパートをもし聴くとしたら、不気味というよりも、神秘的なパートとして聴いてもらった方が、その後の曲調の変化についでいきやすいと思う。
それなら個人的には納得できる。
ちなみにマイクが本国では音楽家として、どんな評価をされてるかというと。
ロンドン五輪で開会式の音楽演出を任された、それほどの音楽家なのだ。
ロンドン五輪は、その前の北京五輪でのラストでのロンドン五輪への引き継ぎ式の時は、元レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジが担当し。
ロンドン五輪の開会式ではマイク・オールドフィールドが音楽を担当し、閉会式ではポール・マッカートニーが場を盛り上げた。
マイクというのは、本国ではそれほどの評価と存在感の音楽家なのだ。
ともかく。
マイクはオカルト音楽のミュージシャンじゃないし、多くの人に誤解されているような気がしている私。
オカルト系バラエティ番組で、定番のように「チューブラベルズ」の冒頭の部分がBGMで使用されるのを耳にするたび、私は複雑な思いにかられてしまう。
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