私が幼少の頃は、まだラジカセすらなかった時代だった。
今の若い人はラジカセすら知らない人もいるだろうが、そのラジカセすらなかった時代に、我が家にはオープンリールレコーダーがあった。
多分、クリスマスか誕生日か何かに親に買ってもらったのだと思う。
値段は安いモデルだったと思う。
オープンリールレコーダーは、カセットテープよりも幅広のテープを装着して、音声を録音できるアイテムだった。
テープの取り外しが面倒だったし、機器はゴツかったし、家庭用としての気軽な使い勝手はラジカセに比べると、やや使いにくかった。
だが、録音できるアイテムということで、私には新鮮だった。
我が家には、そんな機能を持ったアイテムは他になかったから。
これが我が家に来た時、私はとにもかくにも何かを録音したがった。
とりあえず家族同士の会話を録音したり、テレビにレコーダーのマイクを近づけて、じかにテレビの音を録音したり。
歌謡曲や、30分のテレビアニメをそのまま録音したりした。もちろん音声のみだった。
録音したテレビアニメなどは、何回も聴いたと思う。
家族同士の会話を録音したテープには、自分の声も録音されており、録音された自分の声に「僕って、こんな声してるの?」などと思って驚いた覚えがある。
どうも自分の耳で聞いてた自身の声とは別人の声に思えて。
そういう音源を何度も聞いてると、だんだん既成の音を録音するだけでは物足りなくなってきた。
ならばどうするか。
当時はまだギターなど弾いていないし、ましてや弾き語りなど考えられなかった。
そんな私が思いついたのは、オリジナルの音声ドラマを作ることだった。
ラジオドラマみたいな、音声だけのドラマ。
机をたたいたり、ライトの骨の鉄の部分を叩いたりして効果音らしきものを録音し、主人公と敵キャラの一騎打ち・・そんなしょぼい音声ドラマだった。
1人でやっていたから、当然主人公キャラの声も、敵キャラの声も自分で出すことに。
今考えてみれば、その主人公の設定も、敵キャラの設定も、あやふやだった。
ともかく、主人公と敵の一騎打ち・・・それでしかなかった。
主人公はとりあえず武器はもっていたが、その武器がどういうものかははっきりせず。
何かガンを持っていたのか、あるいは体のどこかから(指など)光線ビームみたいなものを出したのか、あやふや。
敵も、なんでその敵が「悪」なのかもはっきりせず。
ほとんど「ないないづくし」ではあった。
とりあえず、何かオリジナルのドラマみたいなものを録音したかったのだ。
正味5分~10分くらいの短いドラマ(?)だったが、とりあえず効果音が入ってて、自分が主人公と敵の2種類のセリフをしゃべっている・・・という状況が楽しかったんだと思う。
とはいえ、とりあえず完成(?)して1回聞いたら、幼心にもあまりに「チープ」だったので、2度とそういうのは作らなかったと思う。
なにかの拍子に、そのオリジナルのドラマを親に聞かれてしまい、それがめちゃくちゃ恥ずかしかった。それも大きかった。
人に聞かれちゃ困るようなものは、もう録音するまいと思った。
それに懲りて(?)、今度はラジオで流れる曲を、録音したと思う。
もちろん、方法はレコーダーのマイク部分をラジオに近づけて直に録音してたと思う。
何曲か録音したと思うが、その中のひとつにまったく正体不明の曲があった。
不思議なことに、その曲を私はいつ録音したのか全く覚えていなかったし、曲自体知らない曲だった。
気付いたらいつの間にか録音されていたのだ。
しかも、回転数がおかしくて、録音状態もよくなかった。
未だに、その曲の正体が何だったのか、いつ録音したのか謎のまま。
そのオープンリールレコーダーは、我が家にいつまであったのだろう。
ラジカセを入手してからも、そのオープンリールレコーダーは、しばらく家に残っていた。
だが、ラジカセの便利さや気軽さに慣れてしまうと、オープンリールは全く使わなくなっていった。
だがその後1回だけ、久々に使ったことがあった。
多重録音がやりたくて、まずはオープンリールに弾き語りで自作曲を録音し、その音源を流しながらリードギターだったか笛だったかを合わせて演奏しながら、ラジカセに録音する・・という方法をとったことがあった。
だが・・・出来は最悪。
音質はひどいし、回転数の違いからかチューニングもあってなくて。
あまりのひどさに自己嫌悪に陥り、それ以来オープンリールは全く使わなくなった。
で・・気付いたらいつのまにか、そのオープンリールレコーダーは我が家から消えていた。
多分親に捨てられたのだとは思うが、もしかしたら自分の意思で処分した可能性もある。
「ラジカセがあれば、もうこれはいらない」と判断して。
今思えば、そのオープンリールが我が家で一番輝いたのは、オリジナルの音声ドラマを作った時だったかもしれない。
そのドラマの完成品には幻滅したけれど(笑)、制作してる最中は楽しかったから。
録音できるレコーダーを初めて入手した時、あなたはオリジナルの音声ドラマみたいなものを作って遊んだことは、なかっただろうか。
それと、録音した自分の声を初めて聞いたとき、自分の声ってこんな声だっけ?と、違和感を感じたりしなかっただろうか?。
なお、写真はイメージです。
我が家にあったオープンリールデッキは、こんな立派なデッキではありませんでした(笑)。
オヤジが、ラジオの音楽番組を録音するのに買ったもので、
ボクは、たまに借りて使ってました。
あの頃、主に録音したのは、テレビアニメのテーマ曲でした。
ジャングル大帝、マッハGoGoGo、JQ、サンダーバード、仮面の忍者赤影、
等のオープニング曲です。
7号リールで往復2時間の録音ができたのですが、テープの最後に
なったら、リールを掛け変えるのが面倒でした。
それ以外に使ったのは、国語の教科書の朗読の練習で録音しました。
でも自分の声を、聞くのって照れ臭いモノですよね。
だんぞうさんは、音声の作品を創作していたのは流石だと思います。
今の学生さんだと、動画で作品を撮ってyoutubeにアップ
するのが普通になりました。
21世紀の現代、スマホのアプリや、ICレコーダーで簡単に
音楽が録音できます。
オープンリールのテープの大きさに比べ
指の爪くらいの大きさのマイクロSDカードに、1000曲以上の
音楽のjpegファイルが、記録できるなんて夢のようです。
【正】 音楽のMP3ファイルが
タイプミスです。失礼しました。
当時は、テレビ音源やレコードなどの音を録音する時は、レコーダーのマイク部分を直にテレビやステレオに近づけて、直に録音してました。
だから、テープには、関係ない音も録音されてしまったものでした。
家族の会話とか、自分が思わず発してしまった言葉や物音とか。
テープのチェンジは大変で、めんどうくさかったものでした。
今思うに、私も朗読とかを録音すればよかったです。
へたなオリジナルドラマなんかより(笑)。
全部アドリブでしたから…。
今のSDカードなんて、当時の人間が見たら、まさに未来アイテムでしょうね。