時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

昔読んだ、岡林信康と矢沢永吉の対談で、特に印象的だったくだり。

2015年01月07日 | 音楽全般

確か・・・ギターライフという季刊誌の企画だったと思うのだが、かつて岡林信康さんと矢沢永吉さんが二人で対談した記事を、私は読んだことがある。

なんてったって、あの岡林さんと矢沢さんの対談!!

今となってはちょっと考えられないぐらいの、夢の顔合わせだった。

ほんと、よく実現したものだ・・・と今でも思う。

その対談が行われたのは、確かフォーライフという会社が設立されて話題になっていた頃・・・だったように思う。

フォーライフ・・・そう、吉田拓郎さん、井上陽水さん、小室等さん、泉谷しげるさんの4人で設立されたレコード会社だ。

当時の岡林さんは、「フォークの神様」と形容されて、とうに伝説のフォークシンガーとして大御所的存在であったし、矢沢さんはキャロルというロックンロールバンドで一大ブレイクを果たしている頃だった・・・はずだ。

フォークの大御所と、ロックのトップスターの対談だった。まあ、その2人の存在意義は、今も基本的にはあまり変わっていないかもしれない。

 

さて、今となってはとても実現しそうもない組み合わせの2人の対談であるが、その対談の中身の細かいところまでは、私は覚えていない。

だが、その中で、特に印象的だったくだりは今も覚えている。

 

対談の中で、2人の話題は、レコードの売れ行きについての話題になったくだりがあったのだ。

 

岡林さんは、こんなことを矢沢さんに言っていた個所があった。

「わしのレコードは、フォーライフの先生方に比べたら、売れよらん。これは、くやしいわ。」

すると,矢沢さんはそれにすかさず反応して、

「くやしいね!」

と同調したのだった。当時、矢沢さんのレコードもかなり売れてるように思えていた私だったが、フォーライフ・・・というか、特に拓郎さんと陽水さんのレコードの売り上げが、群を抜いていたからだろう。

2人とも、フォーライフの面々にかなり対抗心を持っているような印象を受けた。

矢沢さんはともかく、フォークの神様とも言われた岡林さんが、当時大ブレイクしていた拓郎さんをどう思っているのか、私は非常に興味があった。なので、この対談のくだりはすごく印象に残ったのだ。なるほど、やはり対抗心はあったのか・・と思ったものだった。

 

岡林さんが出てきて活躍した頃、フォークは売れてはいけない、それは商業主義に魂を売り渡したようなものだ・・・みたいな風潮が世間にはあったようだった。だからその後、吉田拓郎さんが「結婚しようよ」で大ヒットした時に、拓郎さんはステージに立つと客から「帰れ!」などと言われたりしてたことでも、それはうかがえた。

だが、売れるということは、そのシンガーがプロ活動を続けていけるようになることでもあるし、「売れる」ということを非難する風潮は沈静化していった。ファン層も、気質も変わっていった。

岡林さんなどは、当初、古いファン体質の中で 、そのへんの葛藤もあったのではないか。だがファンの気質も変化し、「フォーライフの先生方(特に、拓郎さんや陽水さんのことだろう)に売り上げがかなわないのが悔しいと言えるようになったのだろう。 

岡林さんが、売り上げという点に関してこういうセリフを吐いたことに、当時の私は当初少し意外にも思ったが、そこに対抗心の心情も出ていて、かえって岡林さんに親近感を感じ、より好きになった気がした。

 

 一方、矢沢さんはロック畑から出てきたこともあり、彼のファンは「売れるのは商業主義」みたいな認識ではなかったようにも思う。

なにより、矢沢さん本人が「売れる」ことに強い野望を持ってたし、それを隠そうとしないどころか、むしろそれをアピールしていた。

だからこそ、岡林さんが言ったことに、強い共感を覚えたに違いない。

 

 

そういえば拓郎さんがブレイクしていた頃、フォークファンの間ではよく岡林さんと拓郎さんが比較して語られていたことがあった。

一方、陽水さんが岡林さんと比較されて語られていたケースは、私は見たことが無かった。

拓郎さんは、自身のライヴ(例えば、ライブアルバム「ともだち」内)で、岡林さんを意識したMCをしてる個所があった。

 

拓郎さんのかつてのそのMCといい、岡林さんの「フォーライフの先生方」発言といい、2人はかなり意識し合っていたのは・・・少なくても当時は・・・間違いないと思う。

かたや「フォークの神様」と呼ばれた岡林さん。かたや「フォークのプリンス」と呼ばれた拓郎さん。

どちらも、フォークと呼ばれたジャンルの中で、トップをとった存在だ。

そして、どちらも道を切り開いた存在。

しかも、ふたりとも「ボブ・ディラン・ファン」という点でも共通していた。

意識するな・・というほうが無理かもしれない。

対抗心を持つな・・というほうが無理かもしれない。

 

だからこそ

 

一度でいいから私は・・

 

岡林信康さんと吉田拓郎さんの対談というものを、見てみたかった。

 

拓郎さんは、プライベートで飲みに行った時に、店で矢沢さんとバッタリ会ったりして、飲んだこともあるらしい。そんなことを最近のラジオ放送で、拓郎さんは語っていたと思う。

だが、岡林さんに関しては、そういう話は聞かない。

 

最近、あるユーチューブ映像で、岡林さんが泉谷しげるさんの曲「春のからっ風」を歌っている映像を見た。その時、歌う前に岡林さんは、こんな主旨のことを語っていた。

「自分ももう長いこと、歌ってきました。自分の後に、たくさんのシンガーが出てきたけど、その中で唯一気になった人物・・・それが泉谷君です」

 

 

 

きっと、岡林さんと拓郎さんの対談など、・・・・いや、対談どころか対面すら・・・難しいのだろうなあ。

なんか、互いにそれは避けているようにも見えてきたし。

そんな話がでることすら、お二人にとっては迷惑なことかもしれない。

 

でも、実現したら・・・これはすごいことだ。

 

もっとも・・私が思うに・・・

お二人は、その生き方や、活動ぶり、音楽性で、これまで間接的にず~っと対話をし続けていたのかもしれない。たとえ顔を合わせずとも。

そんな気もしている。

 

話を岡林さんと矢沢さんに戻すが・・

岡林さんと矢沢さんの顔合わせ・・・これにしても、もしも今再び実現したら、これまた凄いことではある。

過去に実現したことがある・・ということだけでも凄い。

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 渋滞とマイカー | トップ | ビートルズへの旅  by ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

音楽全般」カテゴリの最新記事