大型トレーラーが横転して、それで人が死亡したというニュースを、ちょくちょく耳にする。
横転した現場の様子がテレビで流されたりもしている。
それを見ると・・・色々、思うことがある。
道路を走ってて、自分の乗ってる車が自家用車だとする。タクシーでもいい。
自分の乗ってる車のすぐ前や、横、すぐ後ろに、大型トレーラーやトラックがいる場合がある。
そんな時・・。
つい思い出してしまう映画がある。
その映画とは、若き日のスピルバーグが撮った映画「激突!」だ。
私の好きな映画のうちの1本だ。もともとはテレビ用作品だったらしい。
この映画は、普通の乗用車と、大型タンクローリーが出てくるだけの映画・・と極論できるのだが、この両者の関係がとんでもないのだ。
乗用車とそのドライバー、そして謎のドライバーが運転する大型タンクローリー。
この2者だけで、よくもまああそこまで面白い映画を作ったもんだ、さすがスピルバーグ・・って感じだ。
この映画は主人公が運転する乗用車が、ハイウェイで、行く先を阻む大型タンクローリーを抜いたことから始まる。
乗用車に抜かれて腹を立てたタンクローリーは、その後、執拗なまでに、自分を抜いた乗用車をつけ狙う。
乗用車をあの手この手で追いつめ、命を狙ってくる。
大型車と、普通の乗用車では、その図体の大きさからいって、明らかに乗用車は「弱者」だ。
大型車は運転席が高い位置にある。
そのため、大型車を運転してる人は、小型車を「見下ろす」アングルになる。
この「見下ろす」というのが、単に視界上のことにとどまっている分にはいいのだが、時にそれは大型車の運転手の「人間性」「態度」「考え方」にまで影響を与えてしまう場合がある。
つまり、自分より低い位置に居る乗用車、自分よりも不利な位置にいる人に対して、傲慢になってしまうドライバーがいるということだ。
もちろん、そうじゃない、親切なドライバーもちゃんといるのだけど、そうじゃない傲慢なドライバーは大型車であればあるほど目立つ気がする。
映画「激突」ではタンクローリーは、さながらモンスターのようであった。
モンスターに人間がおちょくられたり、いじめられたり、襲われたりしているかのようだった。
「激突!」の中のタンクローリーの運転手は、自分の乗るタンクローリーが乗用車とぶつかっても、自分は怪我をしない、負けない・・ということを利用して、傲慢で傍若無人な運転をする。
これが逆の立場だったら、そんな運転はしないだろう。
立場が逆なら、やられるのは自分の方だから。
そんなことを・・・リアルの世界でのニュースで「大型車が横転して、あたりの車を巻き添えにしてる光景」を見た時や、道路で大型車が至近距離にいる場合に、どうも思い出してしまう。
映画「激突」では、タンクローリーの運転手は、乗用車の運転手に向かって明らかな殺意があった。
現実では、不注意や不慮の事態で、弱者(小型車や通行人など)を死亡させたり怪我させたりすることがある。
現実では、特殊なケースを覗いてそこには殺意はないだろう。おどす意図はある場合もあるだろうが。
殺意がなく、不測の事態で相手を死亡させたりするから、余計に怖い。
できれば、大型車の近くにはいたくない。
大型車同士の追突なら別だが、中・小型車と大型車が追突した場合、中・小型車に乗ってた人が大けがしたり死亡しても、大型車の運転手はほとんど怪我すらしてない場合は多い。死亡するケースは更にまれ。
大型車が加害側だったりすると、そんな現実に、複雑な思いを持つことが・・・ある。
普通の乗用車などとぶつかっても、大型車の運転手は自分が死んだり大けがしたりする可能性は低い。
自分の方が少なくても肉体的に痛い思いをするわけじゃないから、不注意だったり、嫌がらせしたりするのではないか・・と思いたくなることがある。
ただね・・確かに肉体的は痛い思いをする可能性は低くても、その後の「補償」では精神的に、そして経済的に、そうとう「痛い」思いをするってことは、肝に銘じておかねばならない。
理屈では分かっているはずなのだが、運転中の傲慢さ(たとえそれが刹那的なものであったとしても)が、「普段肝に銘じていること」を麻痺させることはあるから。
ともあれ。
大型車の運転には傲慢さを感じることがけっこうあるので、私は、トレーラ-、トラック、タンクローリー、バスなどの近くにいるのは、乗用車を運転してて嫌だった。
もっとも・・・傲慢な運転という意味では、それは大型車には限らないとも思う。
普通の乗用車でも、自分よりも弱者に思えるバイク、自転車、歩行者に対しては傲慢な運転をしている光景をよく見かける。
また、バイクは自転車に、自転車は歩行者に対して傲慢な運転をしてたりする光景もよく見かける。
人間ってのは、弱者に対しては、傲慢な態度にでてしまうことが多いんだね。
それって、歴史が物語ってもいる。
他人事のように思えても、いつ自分が加害者になってしまうか分からない・・というのが、また恐怖。
その恐怖を肝に銘じていたいと思う。
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