某予備校に通ってた頃。
その頃私はレコード集めにやっきになっていた。
金はない。でも色んな音楽は聴きたい。でもやっぱ金はない。
どうすりゃいいのさ、このジレンマ。ほら、気づけばカラスは呑気に飛んでいる。
とにもかくにも少ない経済状態であれ、レコードを買う金は確保したい。
そうなるとまずは飯代を切り詰めるしかなかった。
買うレコードは新譜はあきらめる。新品で欲しいなどというのは贅沢だ。買うのはもちろん中古レコード。
幸い、新宿に中古レコード屋さんという存在があった。
まさに貧乏で音楽好きな学生の友だった。
その店の名は「ディスク・○ニオン」。
買うでもなく買わぬでもなく、週に何度もその店にテクテク歩いて通い、中古盤コーナーを漁った。
漁れば、たまにめっけものもある。
凄い勢いで中古コーナーを探し、めっけものを見つけた時の喜びたるや相当なものがあった。
この店のおかげで、ずいぶんLPが溜まったもんだった。
飛躍的に私のレコードライブラリーは充実した。
たまに中古レコードバーゲンをやる時もあり、その時はまさに戦場だった。
よく、おばちゃんが福袋を買うために血眼になったりするが、その気持ち,正直言うと私にはある程度理解できる。
中古盤バーゲンでの私がそれに近かったはずだから。
ああ中古。されど中古。でもレコード。そこには色んなタイプの音楽との遭遇が。
それもこれも飯代を切り詰めたおかげ。
でも、若者はとかく腹が減る。
昼飯を抜く日もあったが、さすがに我慢できない日もあった。
何か胃袋に入れねばならぬ。
そんな時は・・・立ち食いソバだった。
しかも、天ぷらだの油揚げだのを乗せるなんて贅沢だった。
頼むのはもちろん・・・かけゾバだった!!
かけソバ・・。なんか悲しい。寂しい。物足りない。
でも、贅沢は的。贅沢三昧じゃあ、戦にも勝てぬ。日々是決戦は、日々是欠銭でもある。
やはりかけソバしかなかった。
かけソバを頼む。立ち食いだからすぐに出て来る。
じっとソバを見る。何も乗ってない。
おかずなしで御飯を食べるようなもの???
いや・・・確かに総菜はない。
だが、よく見ればあるじゃないか。総菜が。かけソバにも。
そう・・・
それは
ネギだ!!
そう、ネギ。刻みネギ。ただだ。とかく「オマケ」あつかいされがちな、控えめな「具」。
明日に架ける橋、かけソバに架かる橋。それが、かけソバに乗るネギだ。←ナンノコッチャ・・。
見よ、この勇姿を。
何も乗ってないかけソバの上に、誇らしげに燦然と輝く「具」ではないか。
よく見れば愛しくもある・・ってなもんだ。
そう、これはれっきとした「具」なのだ。なかなか「具」扱いされないけど。
唯一の・・栄養源だ・・。
貴重だ・・。
おお、刻みネギよ。ネギちゃんよ、いや、ネギ様よぉ。ヨヨヨ・・・(泣)。
刻みネギがこれほどありがたいものだなんて、金持ちの奴らには分かるまい。
貧乏学生だった私は、つい、そう思ってしまったものだ。
へたしたら、乗ってたネギの数を数えたこともある。
汁をすする時、そばはアップになる。すると当然、刻みネギもアップになる。数えやすい・・。
中にはそばの上に乗ってるネギもあれば、半分そばの中に埋没しながらコンニチワしてるネギもいる。
かと思えば、モグラのようにソバという密林の中に隠れてるネギもいる。
昨日より今日。今日より明日。なにか前進がほしい。
昨日よりもネギの数が多ければ嬉しく、少なければ過去の自分に逆戻り。
3歩進んで2歩下がる。ならば明日は4歩は進みたい。ネギの数、ひとかけらでも多くあってほしい。それが明日への希望というものさ。
金持ちは、ちゃんとしたソバ屋で、天ぷらソバでも食べてりゃいいさ。きつねでも何でも乗せてりゃいいさ。
で、美味いだの、マズイだのゴタクを抜かしているがいいさ。
おいらは、立ち食いソバ屋でかけソバだ。
貧乏学生だんぞうは、そう思って自分を慰めていた。
ああよかった。刻みネギのありがたみを感じられて。
ここでは、ネギは主役だ。
主役ばかりにこだわって、ちょい役をやらない役者にはこんな気持ちは分かるまい。
グルメだがぞろ目だが知らないが、食通という名の贅沢人間には、ひとつまみのネギの価値など分かるまい(?)。
昨日よりも1切れ多く刻みネギが入っていた時の嬉しさなんて・・分かるまい。
アップになった刻みネギの数を数えた時の悲しさなんて・・分かるまい(笑)。
刻みネギの数。そこに人生の運というものが あるような気さえするではないか。
そういう「ささいなこと」に喜びを感じられるなんて、人間の幅ができたような気もするではないか。
もしそのころ「美味しんぼ」という漫画がすでに存在したとしたら、以下のことを思ったにちがいない。
なに?海原雄山だ?あんたは贅沢なものでも食べてろ。
いちいち「あれが劣る」「こんなの食べられるか」などと贅沢なことをぬかしおって。
でも、あんたは安い立ち食いソバ屋のかけソバに乗った安いネギの数に喜びを感じられるか?そのありがたみを理解できるか?
私には感じられる。それだけでも、十分(?)だ。
身近なことに小さな幸せを感じられずして、至高のメニューも何もないもんだ。
あの日々。
かけソバに乗った刻みネギは、ありがたかった。数が多ければ多いほど、小さな幸せを感じた(?)。
で・・いつかは、天ぷらソバを。きつねも乗せられる日が来る事を夢見てた。
それも、ネギのありがたさを知った上で。
あの日々は、貧乏学生にとっては、本当にそんな気分だった。
やっぱり・・・かけそばに乗った刻みネギは、「明日にかかる橋」の「小さなひとつ」のようなものだった・・・。。
そう、かけぞばを食べる時って、とかく「オマケ」扱いされそうな刻みネギが、実にありがたく感じられたんだ。
で、運が良ければ、それが明日に繋がるように思いたかった。
・・・ハッ!?
すいません・・単に「かけソバの刻みネギの話」が、意に反して(?)壮大になってしまいました・・・。
まったく、私ときたら、オーバーなんだから(笑)。
とまあ、かつて「かけぞば族」であった私ではありますが、今では生意気にもライブなどをやらせてもらえる贅沢を味わっております。それもこれも、かけそばの上に乗った刻みネギのおかげかもしれません。
刻みネギ君、ありがとう。
おかげで、こんなオヤ~ジに育ってしまったヨ。
もしよろしかったら、2月10日、かけそばで育った(?)私のユニット「時代屋」のライブに遊びにに来てくださると嬉しいです。
遠くてライブに来れそうもない方は、次回そばを食べる時、刻みネギを見つめ「そういえば、だんぞうって奴がいたっけ」と、私を思い出してください(笑)。
↓
日 08年 2月10日(日)
場所 瑞江 「Hot コロッケ」HPはこちら→http://plaza.harmonix.ne.jp/~hotcroq/
開場 18:00~
開演 19:00~
入場料 1500円 & 飲食費実費
出演バンドは↓ (あくまで予定です)
1. ザ・DANNA
2. M・MOS
3. 時代屋
4. 凛音
その頃私はレコード集めにやっきになっていた。
金はない。でも色んな音楽は聴きたい。でもやっぱ金はない。
どうすりゃいいのさ、このジレンマ。ほら、気づけばカラスは呑気に飛んでいる。
とにもかくにも少ない経済状態であれ、レコードを買う金は確保したい。
そうなるとまずは飯代を切り詰めるしかなかった。
買うレコードは新譜はあきらめる。新品で欲しいなどというのは贅沢だ。買うのはもちろん中古レコード。
幸い、新宿に中古レコード屋さんという存在があった。
まさに貧乏で音楽好きな学生の友だった。
その店の名は「ディスク・○ニオン」。
買うでもなく買わぬでもなく、週に何度もその店にテクテク歩いて通い、中古盤コーナーを漁った。
漁れば、たまにめっけものもある。
凄い勢いで中古コーナーを探し、めっけものを見つけた時の喜びたるや相当なものがあった。
この店のおかげで、ずいぶんLPが溜まったもんだった。
飛躍的に私のレコードライブラリーは充実した。
たまに中古レコードバーゲンをやる時もあり、その時はまさに戦場だった。
よく、おばちゃんが福袋を買うために血眼になったりするが、その気持ち,正直言うと私にはある程度理解できる。
中古盤バーゲンでの私がそれに近かったはずだから。
ああ中古。されど中古。でもレコード。そこには色んなタイプの音楽との遭遇が。
それもこれも飯代を切り詰めたおかげ。
でも、若者はとかく腹が減る。
昼飯を抜く日もあったが、さすがに我慢できない日もあった。
何か胃袋に入れねばならぬ。
そんな時は・・・立ち食いソバだった。
しかも、天ぷらだの油揚げだのを乗せるなんて贅沢だった。
頼むのはもちろん・・・かけゾバだった!!
かけソバ・・。なんか悲しい。寂しい。物足りない。
でも、贅沢は的。贅沢三昧じゃあ、戦にも勝てぬ。日々是決戦は、日々是欠銭でもある。
やはりかけソバしかなかった。
かけソバを頼む。立ち食いだからすぐに出て来る。
じっとソバを見る。何も乗ってない。
おかずなしで御飯を食べるようなもの???
いや・・・確かに総菜はない。
だが、よく見ればあるじゃないか。総菜が。かけソバにも。
そう・・・
それは
ネギだ!!
そう、ネギ。刻みネギ。ただだ。とかく「オマケ」あつかいされがちな、控えめな「具」。
明日に架ける橋、かけソバに架かる橋。それが、かけソバに乗るネギだ。←ナンノコッチャ・・。
見よ、この勇姿を。
何も乗ってないかけソバの上に、誇らしげに燦然と輝く「具」ではないか。
よく見れば愛しくもある・・ってなもんだ。
そう、これはれっきとした「具」なのだ。なかなか「具」扱いされないけど。
唯一の・・栄養源だ・・。
貴重だ・・。
おお、刻みネギよ。ネギちゃんよ、いや、ネギ様よぉ。ヨヨヨ・・・(泣)。
刻みネギがこれほどありがたいものだなんて、金持ちの奴らには分かるまい。
貧乏学生だった私は、つい、そう思ってしまったものだ。
へたしたら、乗ってたネギの数を数えたこともある。
汁をすする時、そばはアップになる。すると当然、刻みネギもアップになる。数えやすい・・。
中にはそばの上に乗ってるネギもあれば、半分そばの中に埋没しながらコンニチワしてるネギもいる。
かと思えば、モグラのようにソバという密林の中に隠れてるネギもいる。
昨日より今日。今日より明日。なにか前進がほしい。
昨日よりもネギの数が多ければ嬉しく、少なければ過去の自分に逆戻り。
3歩進んで2歩下がる。ならば明日は4歩は進みたい。ネギの数、ひとかけらでも多くあってほしい。それが明日への希望というものさ。
金持ちは、ちゃんとしたソバ屋で、天ぷらソバでも食べてりゃいいさ。きつねでも何でも乗せてりゃいいさ。
で、美味いだの、マズイだのゴタクを抜かしているがいいさ。
おいらは、立ち食いソバ屋でかけソバだ。
貧乏学生だんぞうは、そう思って自分を慰めていた。
ああよかった。刻みネギのありがたみを感じられて。
ここでは、ネギは主役だ。
主役ばかりにこだわって、ちょい役をやらない役者にはこんな気持ちは分かるまい。
グルメだがぞろ目だが知らないが、食通という名の贅沢人間には、ひとつまみのネギの価値など分かるまい(?)。
昨日よりも1切れ多く刻みネギが入っていた時の嬉しさなんて・・分かるまい。
アップになった刻みネギの数を数えた時の悲しさなんて・・分かるまい(笑)。
刻みネギの数。そこに人生の運というものが あるような気さえするではないか。
そういう「ささいなこと」に喜びを感じられるなんて、人間の幅ができたような気もするではないか。
もしそのころ「美味しんぼ」という漫画がすでに存在したとしたら、以下のことを思ったにちがいない。
なに?海原雄山だ?あんたは贅沢なものでも食べてろ。
いちいち「あれが劣る」「こんなの食べられるか」などと贅沢なことをぬかしおって。
でも、あんたは安い立ち食いソバ屋のかけソバに乗った安いネギの数に喜びを感じられるか?そのありがたみを理解できるか?
私には感じられる。それだけでも、十分(?)だ。
身近なことに小さな幸せを感じられずして、至高のメニューも何もないもんだ。
あの日々。
かけソバに乗った刻みネギは、ありがたかった。数が多ければ多いほど、小さな幸せを感じた(?)。
で・・いつかは、天ぷらソバを。きつねも乗せられる日が来る事を夢見てた。
それも、ネギのありがたさを知った上で。
あの日々は、貧乏学生にとっては、本当にそんな気分だった。
やっぱり・・・かけそばに乗った刻みネギは、「明日にかかる橋」の「小さなひとつ」のようなものだった・・・。。
そう、かけぞばを食べる時って、とかく「オマケ」扱いされそうな刻みネギが、実にありがたく感じられたんだ。
で、運が良ければ、それが明日に繋がるように思いたかった。
・・・ハッ!?
すいません・・単に「かけソバの刻みネギの話」が、意に反して(?)壮大になってしまいました・・・。
まったく、私ときたら、オーバーなんだから(笑)。
とまあ、かつて「かけぞば族」であった私ではありますが、今では生意気にもライブなどをやらせてもらえる贅沢を味わっております。それもこれも、かけそばの上に乗った刻みネギのおかげかもしれません。
刻みネギ君、ありがとう。
おかげで、こんなオヤ~ジに育ってしまったヨ。
もしよろしかったら、2月10日、かけそばで育った(?)私のユニット「時代屋」のライブに遊びにに来てくださると嬉しいです。
遠くてライブに来れそうもない方は、次回そばを食べる時、刻みネギを見つめ「そういえば、だんぞうって奴がいたっけ」と、私を思い出してください(笑)。
↓
日 08年 2月10日(日)
場所 瑞江 「Hot コロッケ」HPはこちら→http://plaza.harmonix.ne.jp/~hotcroq/
開場 18:00~
開演 19:00~
入場料 1500円 & 飲食費実費
出演バンドは↓ (あくまで予定です)
1. ザ・DANNA
2. M・MOS
3. 時代屋
4. 凛音