時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

あの町を流れた 信濃川♪

2008年02月07日 | 音楽活動
最近、久々に曲が1曲できた。
信濃川のことを歌った歌だ。
いや、厳密に言えば、信濃川を歌った歌というよりも、信濃川ぞいにあったある町の、昭和30年代の原風景を歌にした曲だ。

私は、幼い頃に、信濃川沿いに住んでた祖母の家に預けられたことがある。
後で聞いたところによると、預けられたのはたった1ヶ月ほどだったらしい。
だが、私の記憶の中では、数ヶ月にも及ぶ田舎暮らしだったような印象がある。

幼稚園に入る前だから、かなり幼いし、今となっちゃ大昔のことだ。

だが、当時のその町の風景は今も断片的に思い出せる。
一場面一場面に繋がりがなくても、スナップ写真のような記憶が何枚も頭に残っている感じ。

この記憶を、どうしよう・・と思っていた。
何かの「形」にできないものかと思ってた。

去年、遊びでギターをポロンポロンと弾いてた時に、あるメロディが浮かんでいた。
完成させるつもりのなかったメロディではあったが、ポロンポロンと弾いてるうちに、1つのメロディとしてまとまってしまった。
だが、どんな歌詞を乗せていいか、皆目見当がつかなかった。
そのメロディは、極めてイモっぽい。しかも、古くさい。洗練からは、ほど遠い。
高校生時代に、中原中也の詩に曲をつけたことがあるのだが、そのメロディの延長線上にあるメロディだ。
つまり、高校時代の私の作風に近いメロディだ。

で、歌詞がつかぬまま、そのメロディは放置された。

最近、田舎に預けられた時の記憶の断片がけっこう頭に浮かんできていた。なぜだかは分からない。
なにげに、幼い頃に体験した信濃川べりの町の記憶を、去年作ったメロディに乗せてみた。

そうしたら・・・出て来る、出て来る。
言葉が。歌詞が。記憶が。あの当時のあの町の風景が。人物が。
1つの記憶を歌詞にすると、次から次へと記憶が蘇ってきた。で、それがまた歌詞となり、メロディに乗る、乗る。
あんなに幼い頃の記憶なのに、よくもまあこんなに覚えてるもんだ・・・と、我ながら呆れてしまった(笑)。

思いつく限りの記憶を歌詞にしていったら、いつしか長い1曲が完成していた。

最近、私が幼かった頃の信濃川べりのその町の記憶が頭によく浮かんできてたのは、このメロディにその歌詞を乗せなさいという「何かの導き」だったのかもしれない。

完成したはいいが、いかんせん長い曲なので、人前で歌う機会があるかどうかは、まだ分からない。
歌ったとしても、短縮バージョンになるかもしれない。
もっとも、長い・・とは言っても、1コーラス1コーラスの長さはあっけないくらい短いし、テンポも早い。だから、長い歌詞を早口で歌うことになる。
だから、やはりできれば完全版のほうが、伝える側としてはウレシイ。
ちょっとしたストーリーぽい流れになってるし。

まあ、それでも・・聞かされる側は、迷惑かなあ(笑)。

このへんは、悩みどころではある。


でも、いつか、正規の長さのバージョンを、人前で歌ってみたい。
時代屋では無理だと思うので・・・その時は、弾き語りでやるしかないかもしれない。


あの町を流れた 信濃川。
その歌には、そこには昭和30年代の信濃川べりの田舎の町の原風景がギュウギュウと詰め込まれた。
もう誰も戻る事のできない風景を、そこに描いた。歌にして残した。
自分にとっては新曲ってことになるのだが、新曲であって、新曲ではない・・そんな感じ。

幼児時代に預けられた信濃川べりの風景の記憶を、どうしようか、何か「形」にして残せないか・・と考えていたのだが、それは「自作曲」として形になった。こんな時、曲作りが趣味であったことを我ながら有り難く思えた。
古くさく、イモっぽい曲に仕上がった。でも、それは狙い通りでもある。

ちなみにその町には、もう長いこと行っていない。
お婆ちゃんはとうの昔に亡くなってしまったし。
お婆ちゃんの死と共に、その町とは縁が切れた感がある。

でも・・そのうち行ってみたい。
そして、この歌に歌われた風景のかけらでもいいから、探してみたい。
もうすっかり様変わりしているんだろうけどサ・・。

あの土手は・・今もそのままかい?
あの里山は・・今もあるのかい?
あの池は・・ 今も水草を浮かべているのかい?
あの材木屋は・・今も木材の匂いをあたりに漂わせているのかい?
あの家は・・・随分前から誰も住んでないという噂を聞いた。もう取り壊されちゃったんだろうね。
あの川は・・・いや、信濃川は今も流れているのだろうね。
長い時間の変遷を見つめながら、黙して語らぬまま。
時々、荒れることもあるんだろうけど。
信濃川は、シンボルだった。私の心の中で。

深く、私の心の中に刻まれ、もしかしたら今も私の心の中のどこかで、あの信濃川は流れている気がしている。
大きな川だった。













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