長唄 「晒女」(1813年・文化10年・森田座初演)
鎌倉時代、近江国に"お金"という遊女がいたそうです。
お金は暴れ馬の手綱を高足駄で踏み止めたという、怪力伝説の持ち主。
二代目桜田治助はこれを団十郎の所作に仕立て「心猿」で猿に扮していた団十郎が、引抜きで近江のお兼に早変わり。
素足に高下駄、晒桶を持ったお兼が、琵琶湖畔に洗濯に来て暴れ馬の手綱を踏んで見栄を切るという始まり。
歌詞を紐どいてみましょう。
『留めてみよなら 菜種に胡蝶 梅に鶯 松の雪 さてはせな女が袖袂』
留めてみたいもの。菜種に胡蝶。梅に鶯、松に雪。さてまた、可愛い女に袖を引き留めてもらいたいもの。
馬の手綱を踏んで止めた、所作から連想しての留め物づくしで始まります。
『色気白歯の団十郎娘 強い強いと名に触れし お兼が噂 高足駄』
色気を知らないこの娘。強い強いとその名も高い、皆様ご存知の怪力お兼。
でも、どれほど強い女性が人気?だったのでしょうね。強い女と言えば、「女伊達」もそうですよね。
浴衣浚いに強い女を地で踊ります。(笑)