『聞いたって教えない。なんの指図もしてくれない。そのくせ「いけない」とは言う。「いけない」のはわかっても、どうすればいいのか見当もつかない。こうしようか、ああしたらどうかと迷いながら、深く思いをひそめる。なやみになやんだ果てに、やっと本当のものにぶつかる。これではじめてその人のものになる。理屈ではなしに体当たりで、肌から感じとらせようという師匠のねらいは、やっと満足される。日本の芸道は、このようにして伝承された。』と、八代目坂東三津五郎著書「歌舞伎虚と実」の帯紙に、当時の侍従長であり、随筆家の入江相政氏が書いています。
私の育ったころも、まだまだそのような時代でしたが、今思うと、先輩方の芸の確かさは、きっと、そのような時代ならではの、賜のように思われてなりません。
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