Aさんが震えながら、確認するようにポツリポツリと話し始めた内容は・・・・・。
先日、CAFEを後にして車で帰宅途中、
強い睡魔に襲われガードレールに接触・・・。
幸い大した事故ではなく、怪我も無傷・・・。
警察を呼び、自損事故として処理後、帰宅・・・・。
激しい疲労感を感じつつも、旦那さんの夕食の支度・・・。
途中・・・また強い睡魔に・・・。
焼けた臭いと激しい警報機の音で目を覚ますと・・油なべに火柱が・・・・。
隣人が慌てて消火器で鎮火させ、撒き散った消火液の処理・・・・。
残業のため、遅くに帰って来た旦那さんに事情を話し、
「疲れているな・・・・・。後はいいから横になりなさい・・・・。」
と、言われ寝室へ・・・・・。
旦那さんがベッドへ入るのを、うつらうつらと確認した後・・・・・・
突然、
金縛りに・・・・。
横を向いたまま身動きの出来ない中、懸命に旦那さんの名前を呼ぼうと
もがいてみても、声も出せず・・・・。
暗闇の中・・・神経ばかりが敏感になり・・・・
やがて・・・・小さな音が・・・・近くに聞こえるようになり・・・・
救急車のサイレンの音・・・・・・
階段に響く足音・・・・・・
家電のノイズ・・・・・・・・・・・
目をつぶって早く眠ろう・・・・・・
Aさんがそう思った瞬間・・・・・
寝室の隅にぼんやりと黒い影が・・・・・。
？・・・・・何？・・・・・・・・
「・・・か・・・・・・・・て・・・」
・・・何かいる・・・・・・・・・・
最初はぼんやりとしていた黒い影に、
周りの影を集まりはじめ、
徐々に輪郭がハッキリとしてきたそうです・・・・・。
見ちゃ駄目だ!!・・・・・見ちゃ駄目だ!!・・・・
目をギュッと閉めたAさんの耳元で・・・・
「オネガイ・・・・カエシテ・・・・・」
そこからAさんの記憶が無いそうです・・・・
だけど・・・確かに、寝室の隅で、両手で顔を塞ぎうずくまる
女性を見たそうです・・・・。
翌朝、そのことをAさんの旦那さんに話しましたが、
彼には聞き入れてもらえず、
「・・・・・・・疲れているんだよ。」
と言われ、信じてもらえなかったそうです・・・。
唇は青く、ガタガタと震えるAさん・・・・。
それを聞いたSさん夫婦も、しばらく鳥肌が収まらなかったそうです・・・。
「・・・・・・・ユタに・・・・診てもらった方がいいんじゃないかな・・・。」
「信仰の国」沖縄には昔から「ユタ」と呼ばれる、
神様と人の仲介人の役割をする方がいらっしゃいます。
（あまり適切な名称ではないので使いたくはないのですが、
平たく言えば、霊媒師です。）
昔から伝わる行事や、人の手に負えない難事などを、
神様からアドバイスを受け、答えを導いてくださいます。
「医者半分、ユタ半分」
という言葉があるぐらい、沖縄人は信頼を置いています。
この話を聞いたSさん夫婦は、Aさんに強く薦めたそうです・・・。
よく見ると・・・長い月日まともな睡眠を取っていないのか、かなり疲れ果てて、
目が虚ろになっているAさん・・・。
だが、Sさん夫婦に悩みを打ち明けて安心したのか、ソファーで
グッスリと眠ってしまいました・・・・・。
「目が覚めるまで・・・寝かせてあげよう・・・。」
翌朝、SさんがAさんの旦那さんに事情を話したところ・・・。
「彼女・・・。まだ、結婚生活に馴染んでないだけだから・・・・。」
と、取り合ってくれません・・・・。
お昼に目を覚めましたAさんは、慌てて旦那さんへ連絡を取り、
「急に押しかけてご免ね・・・・もう、大丈夫だから・・・・。」
と言って帰宅したそうです・・・・。
「いつでもいいからっ・・・またおいでね!!」
車に向かうAさんの背中に言うと、コクリと頭を下げ、
返事をしたそうです・・・・。
それからしばらく・・・・・・・・
Aさんと連絡が途絶えました・・・・・・・・。
心配になったSさんは、直接Aさんの家に行き
Aさんに会おうとしましたが・・・・。
「会いたくないっていってるから・・・・。」
と旦那さん言われ・・・・
それでも心配になったSさんは、何度も何度も
足を運びました・・・・。
だが・・・。
「いい加減にしてくれ・・・・夫婦の問題に他人が入るな!!」
と言われてしまいました・・・・・。
それから月日が経ち・・・・・
半年後の深夜３時・・・・・。
寝室にAさんの着信音が鳴り響きました・・・・・・。
つづく・・・・・次でラスト
http://barowl.ti-da.net/
