MSN産経ニュースを見ていると「前代未聞、恐怖の逆走…韓国高速鉄道「海外進出」に批判の声」(←クリックで記事にジャンプ)という記事があった。
本記事によれば、韓国高速鉄道(KTX)は常日頃から故障や運行遅れが目立つ上に、運転ミスで停車駅を通過後に停車駅に戻るために約10分間逆走したとのこと。韓国内では「輸出など時期尚早」との声がでているとの事である。
確かに我が国の新幹線を始めとする鉄道は定時定刻運行が当たり前であり、ましてや10分間の逆走など今後も起こることが無いであろう。
このような正確無比なシステムを擁する我が国の新幹線に韓国の高速鉄道が挑むなど早い早い・・・と、本記事を読めば思う人が多いのではないだろうか。
しかし、少し考えれば、本記事の記者を始め、だから韓国は・・・と考えている方は、サムソン電子が弱電部門で日本企業からシェアを奪い今や世界最大の電気メーカーになり、現代自動車が北米市場や新興国市場で躍進著しい要因を完全に見落としているのではないだろうか。
韓国企業の強み、それは輸出先の徹底したマーケティングにより、カスタマーニーズを満たしつつ安価な製品を販売していることにあるといえる。これにより、市場を開拓し、シェアを伸ばしていった。
一方、日本勢は成熟市場や新興市場いづれにおいても日本スタンダードのハイスペックかつハイプライスな製品を供給し、結果としてシェア獲得競争に敗れ、最悪の場合は撤退に追い込まれる。撤退に追い込まれなくても苦しい競争を強いられているというのが現状であろう。
このような過去の経験から考えると、新幹線とKTXが競合した場合、KTXの輸出の成否は、輸出先において住民が許容できる運行遅れの幅と輸出先の国がインフラ整備に投資しうる金額との兼ね合いで決まるのであり、仮にKTXが提示する性能(特に運行面)が相手側の許容する範囲内で収まっていれば、新幹線側がどんなに正確な運行時間と安全性を強調したところで、KTX側が新幹線側より安価な値段を提示したとすれば、落札されるのはKTXである。
一般論でいって、相手が許容する範囲まで性能を落として製品を開発すれば、相手の要求する性能を遥かに上回るハイスペックな商品を作るより安価に製品を作ることができる。このことからすると、ハイスペックを追い求める新幹線より、ある程度性能は犠牲にしているがコストは安いKTXの方が輸出競争に勝つということになる。
産経の記者も、韓国を冷笑するのも結構だが、韓国企業が軒並み日本企業から市場からシェアを奪っている要因をもう少し分析してから記事を書くべきだろうし、それこそがマスコミ人の社会貢献であろう。
いつまでも戦後の成功神話に酔いしれ相手国を侮っていては、日本は勝てる競争にも勝てなくなるのではないかと危惧する。韓国が日本のチャレンジャーとして出てきた以上、韓国という国を蔑視・冷笑ではなく、正面から見据えて分析する努力を社会としてしなければならないし、それを国民に普及することがマスメディアの役割であろう。
少なくても、韓国社会は日本を真面目に分析していたし(例:朝鮮日報刊『(邦題)韓国人の見た日本』)、現在も行っている。我が国のマスコミも、この本のような深い韓国社会分析を行った記事を連載してもらいたいものである。
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