べきちゃんのライブ日記

行ったライブの感想とかCDレビューとかそんなもんです。更新頻度はマイペースに。

Fuji Rock Festival 2024 day1

2024年08月01日 10時10分29秒 | 日記


 <Day1> 
2023年の暑さに比べたらまだマシかな?と思っていてもやはり身体は正直で暑いものは暑い。
体調と体力に余裕があれば朝1でピラミッドガーデンの"さらさ"を観たかったがここはグッとこらえて断念。ヘブンで天国バーガーを食べたり川で涼んだりゆっくりヘブンを目指す。

 【渋さ知らずオーケストラ】(フィールドオブヘブン)
 なんとフジロック初日の1発目からあのお祭りバンドが見れるというタイムテーブル。一時期は喧嘩別れしていた時期もあったらしいがフジロックとは切っても切れない関係性の大所帯バンドだ。
相変わらずのカオスっぷりというか指揮者不破を中心としたクオリティの高い演奏と、世界観を彩るパフォーマーたちが入り乱れるステージに玄界灘渡部による煽りと盛り上がらない理由がない。無駄が多いようで一切の無駄がないパフォーマンスは国内外見渡しても唯一無二といっても過言ではない。 

最初の盛り上がりどころかは2曲目に披露した"Naadam"でこれぞ渋さの本骨頂。ハイテンションな1曲に会場も大盛り上がりだ。

特筆すべきはラストに演奏した代表曲"本田工務店のテーマ"だろう。1度聞いたら頭から離れないフレーズに加え、観客も巻き込みながら全員で雰囲気を作り上げていく熱狂感とエネルギーはすさまじいものを感じる。何度聞いても新しい発見があるような1曲だ。他のフェスで見せるような特殊な大仕掛けはなかったが、そんなものはなくとも会場の熱がグングンと上がっていくのを感じ取ることができた。朝イチの1発目から素晴らしいパフォーマンスに感動さえ覚えた。



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 それにしても暑い。
どうにもこうにも汗が止まらず、オレンジカフェの屋根の下で小休止。 割と広いエリアなので正直もう少し飲食店というか、せめてドリンクブースだけでもあったらいいのにと思はなくもないが、屋根があるだけでもかなりありがたい。
 昨年ほど暑くはないと思ってはいたが、夏の野外は気を抜いたら本当に危険だ。無理をしないことが1番だ。

 【家主】(フィールドオブヘブン)
 音源を聞いている限りではまったりした雰囲気でヘブンが似合いそうなバンドだなと感じていたがとんでもない。
いざライブが始まると出てきたのはいかにも普通の大学生か社会人ともとれるような4人組。つかみどころのないMCから、どんないい音を聞かせてくれるのかなと期待していたのもつかの間、暴力的で骨太なロックンサウンドがヘブンに鳴り響く。
さっきまでまったりMCしていたボーカルの田中ヤコブはこれでもかとギターをかき鳴らし感情的に訴えかけてくるような演奏を披露。個人的に嫌いではないがとにかく音源とのギャップがありすぎる。音源のような空気感を期待していた人はこの暑苦しいロックサウンドは少し耐え難いかもしれない。
たった50分の持ち時間で約15曲も披露しており予習していた曲はほぼ聞けたが、もはや原曲を聞いても満足できないかも…と感じるバンドサウンドを聞かせてくれた。


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家主を見ている途中から、身体中攣っているような感覚に襲われて、体調不良なのか脱水症状なのか、熱中症なのか全く判別がつかず、無理はいけないので会場から一旦離脱。
2時間ほど休んだおかげか身体もすっかり回復し、気温も少しずつ下がってきたように感じたので再び行動開始。

 【iri】(ホワイトステージ) 
1stアルバムが出たころから音源だけは聞いていて、いまでこそこういうアーティストも増えてきたが当時は女性アーティストの中では一線を画していたなという印象の彼女。このフジロックでようやくライブを見れる機会がやってきた。

 タイト目なシャツとゆったりしたパンツスタイルでステージに登場した彼女。

なんというか特徴的なファッション(流行なのかな…?)で登場したiriだったが、7-8年も活動している割には想像より淡泊なパフォーマンスだなという印象が強く、正直なところパフォーマンスよりもその容姿に目が行ってしまう。 
 楽曲の良さは言わずもがなで初っ端から次々と代表曲"Starlight""Sparkle""会いたいわ""ナイトグルーヴ"など披露してくれるのだが、自らが前面に出て観客を盛り上げるわけでもなく、バンドメンバーを目立たせるわけでもなく、ステージを右往左往しながら淡々と歌い上げているだけなので感想としては「ちょっと期待外れかな…」という印象。 
それが彼女のライブスタイルであるのなら仕方がないのだが、ホワイトステージの規模でライブできるのはそれだけでも立派なこと。まだまだ進化の途中であることを願うばかり。。 
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 【Ghost-Note】(フィールドオブヘブン) だいぶ日も陰ってきた19時過ぎからの出番だったが、リハーサル時点でそのパフォーマンス力の高さは既に垣間見えており、少し演奏しただけで既に出待ちをしているファンを更に期待させるような空気感を作り上げていたかと思う。 
 いざライブがスタートするとリハーサルの期待を裏切ることなく、ファンキーでエネルギッシュなライブが幕を開ける。 
ボーカリストの珍妙な動きとは反比例するようなキレッキレの演奏で身体が思わず動いてしまうことを止められない。
あまり技術的な細かいことはわからないのだが、こういったジャズ/ファンクバンドはとにかくひとりひとりのスキルが凄まじく、ソロパートなども確実に盛り上げてくる。 みているこちらはもちろんだが、演奏しているバンド側にも笑顔が溢れていてステージ全体に楽しさを感じるようなパフォーマンスだった。 
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 ゴーストノートの後、本来であればホワイトでRemi Wolfの予定だったのだが、残念ながら健康上の理由で前日キャンセルとのこと。健康リスクがあったならもう少し前にわかるだろう…世界中のフェスでヘッドラインを飾り、今なお第一線で輝き続ける現代最高峰のスタジアムロックバンドがこのフジロックのグリーンステージに登場する。

 【The Killers】(Green Stage) 
キラーズをフジロックのグリーンステージで見るという個人的な1つの夢が叶う瞬間だった。 
出演予定だった2009年のフジロックをバンド都合でキャンセルした結果、日本で人気の出る最大のタイミングを逃し、世界と大きな人気格差を生んでしまって以降、この夢はもう叶わないものかと諦めていたがまさかのチャンスが巡ってきた。 
 そもそもこれを読む人であれば大概の人は存じているだろうが最初からラインナップされていたわけではない。SZAのキャンセルによって空いた穴埋めのような形だ。とはいえ急な穴埋めでキラーズを呼べてしまうSmashの手腕にも感嘆した。
とにもかくにもキラーズをフジロックで見れる、日本とキラーズの確執を埋める歴史的なライブを見ないわけにはいかなかった。 

 トリ前のアーティストが終了し、全くのジャンル違いだったことが功を奏したか前方エリアががら空きの状態になったタイミングを見計らってモッシュピット内へ突入。
体調は不安だったがこのために来たんだと鞭を打つ。幾度のキャンセル劇を経験してきた自分にとっては始まる寸前まで本当にライブが始まるのか不安だったが、ついにその瞬間がやってくる。 

 ステージが暗転すると、特に演出やBGMもなく颯爽とバンドメンバーが登場する。白いジャケットに身を包んだボーカルのブランドンは相変わらずのベイビーーフェイスだ。 
「コンバンワ!」という第一声の挨拶に大歓声。ここにいるみんながこの瞬間を待っていた。 ブランドンの「We Are The Killers,Fablous Las Vegas the Band!」のMCから"Somebody Told Me"でライブが始まる。キラーズの中でも初期の大名曲だ。 
曲のスタートと同時に浮かび上がるシンセサイザーの「K」の文字。これで盛り上がらないわけがなく、初っ端からモッシュピット内では大歓声と大シンガロングが巻き起こる。 

 正直この瞬間を待っていた。日本ではよっぽど有名アーティストの有名な曲でなければシンガロングは起こらない。海外のフェスやライブに行けば解決できる問題ではあったが、それでは根本的な解決にならない。日本の大きなステージでそれを体現する必要があった。この日の観客はそれをよく理解できていたと思う。キラーズを迎え入れようとばかりのシンガロングが巻き起こった。 

 続く2-3曲目でもう大発狂。これは夢か?
"Enterlude"から"When You Were Young"と、ライブ終盤で披露されることも多い楽曲で畳みかけてくる。大サビではステージ上に花火を散らせる演出も披露し、ヨーロッパと同様のスケールでの全力パフォーマンスを披露してくれる。 

4曲目はこれまた初期の名曲、デビューアルバム1曲目を飾る"Jenny Was a Friend of Mine"だ。
音源よりもソリッドなカッティングギター音で演奏力の高さも垣間見れた。ここまで興奮しっぱなしでキラーズのライブを見ているという現実感が全くなかったのだが、少しずつ実感が湧いてきたのかじんわりと涙が溢れてきていた。アラフォーのおじさんが泣きながら飛び跳ねてのシンガロングしているのである。現実社会なら即通報されているだろうがこの場所では勘弁してほしい。

往年の名曲や最新曲など挟みながら全曲がクライマックスレベルの盛り上がりを見せるか中、このライブの行く先を決定づけたのは中盤で披露した"For Reasons Unknown"だろう。
数年前からこの曲ではロニーを前に出したいということもあって、観客をステージにあげて代わりにドラムを叩かせるという半分ジョークのようなサプライズ演出があるのだが、正直日本では難しいだろうな~と思ってはいたが、この日ばかりは様子が違った。
ブランドンが客席から何かを見つけたらしく指差しでステージに上がってこいと言うと、ひとりの青年が猛ダッシュでステージに飛び込む。普通目の前に大好きなバンドのメンバーがいたら多少浮ついたりするものだと思うが、ステージに上がった彼の表情は決意に満ちた硬い表情で、「おれに任せろ」と言わんばかりにブランドンと言葉を交わしていた。
いざ始まってみるとそのドラムプレイは圧巻だった。最初の数カウントこそはズレたものの即時修正。何万人もの観衆の前で突然ステージに飛び込み、やったこともない環境で合わせたこともないメンバーと完璧な演奏をやりきった。よほどの自信があっても早々できることではない。正直仕込みなんじゃないかとも思わせてしまうほどの完璧っぷりでこのライブの勢いを決定づけた彼の演奏には賛辞しかなかった。

以降は各アルバムの代表曲を次々と披露し、盛り下がるどころかドンドンと熱を帯びていくそのパフォーマンスにこちらも応えるべくシンガロングし続けた。

本編の最後にはキラーズのライブには絶対に外せない大名曲"All These Things That I\\'ve Done"が披露される。
とあるパートの唄パートを観客に全任せする大シンガロングナンバーだ。
キラーズが来日した中でも最も大きいステージだった武道館では殆どシンガロングが起こらず個人的には苦い思い出もあった1曲だったが、この日ばかりはシンガロングが巻き起こっていたと思う。
そりゃ海外のフェスに比べたら大したことはないものだったかもしれないが、日本のこれだけ大きなステージでキラーズのライブでシンガロングを巻き起こしたのだ。 感涙の光景だった。
ここまでの全曲唄いっぱなしと体調不良で喉が死んでいた自分だったが、ここで盛り上げられなければ来た意味がない!とばかりに全力を振り絞って歌う。
シンガロングパートが終わって大サビに入った瞬間の紙吹雪発砲による演出。多幸感あふれたこの瞬間にバンドの持つエンターテイメント性と世界最高のスタジアムロックバンドたる所以を見せつけられる結果となった。 

本編終了時点でもはや日本でのベストパフォーマンスが確定していたような状況だったが、キラーズはまだまだ終わらない。 
再登場したブランドンは何故か紫色のジャケットに着替えていたが、5thアルバムから"The Man"でアンコールが再開。またも繰り出される紙吹雪による演出で、一瞬は落ち着いた会場の雰囲気もすぐに最高潮に戻ったと思う。

 続いては名曲"Human"で場内沸騰。ジャンプモッシュとシンガロングの応酬でアンコールとは思えないダンスフロアな雰囲気にさせてくれた。 

ラストはもうこれしかない"Mr Brightside"で締め。50/50verという観客がシンガロングに参加しやすいよう前半部分をアレンジしたライブバージョンだ。
いやはや流石にキラーズ1の代表曲である。この日1番の大シンガロングにブランドンも笑顔を隠せない。
前半部分が終わりあのギターイントロが鳴り響くとこの日1番の大歓声で場内も大爆発。あの瞬間の興奮は今後一生忘れないだろう。
曲のアウトロは本来さっさとブランドンが捌けてバンドセッションになるのが通例だったが、最後の最後までステージに残って観客をあおり続けるブランドンの姿がこの日のライブの出来を物語っていた。

凄まじいライブだった。ずば抜けた演奏力があるとかそういうものではない。エンターテイメントショーとして完成されたステージはまさしく王者の風格すら漂う「Fablous Las Vegas the Band」を体現したものだったかと思う。

 「人生におけるベストライブ」を見た。胸を張ってそう言えるとんでもないパフォーマンスだったと個人的には思う。
この記憶を塗り替えたくないのでもう2度とキラーズは見なくていいかなと思わせるほどでもあった。







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なんというかこの興奮と感動を自分の内から出したくなくて、本当は友人に会ったり少し場内うろついてから帰ろうかと思ったけど、気付いたら会場外の駐車場までついていた。わざわざ戻るのもなんだったのでそのままの足で帰宅することに。
そのくらい衝撃を受けたライブだったのだと思う。 これを書いてる今でも当時の記憶が蘇ってきて感動できるし、言語化できるうちに文章にしておけばいつまで経ってもこの感動を共有できそうだなと、今回久しぶりに感想を書いてみた。 

正直フジロック自体は暑かったし体調不良もあったりで散々だったけど、こうしてキラーズのベストパフォーマンスに出会えたことだけは本当に感謝している。

現時点で来年も行くぞフジロック!とはならんけど、この感動を越えるようなラインナップに期待だけはしています。

兎にも角にも今年は「ありがとうキラーズ(そして妻)」に限る。


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