蟷螂の独白

世に背を向けた蟷螂です。喜怒哀楽を綴って19年モットーは是々非々の団塊世代です。

僧帽弁閉鎖不全症の顛末その5

2022-01-12 01:06:00 | 徒然

J大学病院の玄関ホールに立って、その巨大さに圧倒されました。

とにかく広い。
エスカレーターで中2階のようなフロアに登ると、まるで通勤ラッシュ時のホームの上と見間違えるほど人が多い。
患者1人に付き添いの家族が地方から出てきて団体様に。
中には孫まで連れて・・・
東京見物にきているのかと思いました。
キーキー騒ぎ回る子供も親は放置していて、とにかくプラ椅子は満席なので、蟷螂は壁の黒薔薇とあいなった次第です。
ましてやインフルのオンシーズン。
思わずマスクをぴったりと顔に押し付けます。
自動精算機の前など、長蛇の列すぎて、どこが最後尾だかわからないありさま。
とりあえず初診受付に紹介状提出(ここは混んでなかった)。
直ぐに診察券が発行されて、循環器の受付のある上の階へ行こうと思ってもエレベーターが見当たりません。
この段階でマイナス1ポイント。
ようやく隅に階段を見つけて上の階へ辿り着きます。
階段を登っているときに期外収縮が起きます。
思わずわが心臓を励ましたりしました。
ようやく2階に昇りついても、受付の前は人が渦のようにいます。
その患者の殆どが白髪の老人。
それも男性患者がやたらと多く、ライトに白髪が眩しかった。
隅の予備のパイプ椅子を奪い合って腰掛けます。
カルテを提出した循環器の受付のお姉さんは落ち着いていて、そこだけは救われました。
そして待ちます。
途中で携帯で家に電話を入れようとすると、直ぐにガードマンが飛んできて壁の貼り紙を指さしました。
『携帯電話はご遠慮ください』
何年振りかになる公衆電話で同居人にTELを入れました。
『ここはネズミーランドかと思ったよ』
『行ったことなんかないくせに』
『とにかく早いとこ切り上げたいけれど』
『やっぱり行かない方がよかったんじゃない』
『いや、一応話を聞かなくちゃ』
電話を切って席に戻ります。
パイプ椅子に置いてあるバッグを、ガードマンが持ち上げていぶかしげに見つめます。
なるほど、スタッフの警戒心意識は高そうです。
『持ち物を放置しないでください』
『わかりました』
これだけ患者や家族が多ければ、置き引きや窃盗があってもわからないからでしょう。
病院という特殊な空間なので、みんなそれなりの金を用意してきていることは間違いない。
カードだって持っているだろうから万一のことがあれば、厄介なことになる。
パイプ椅子に戻り、壁の診察順の番号をじっと見つめていると、白衣を着た医師が約30人×5列ほどの患者の群れの前を通ったその瞬間、待合所にいた白い頭の患者全員が一斉に起立し、医師に向かって頭を深々と下げます。
『う〜ん。謝礼は1本だな。下手したらレンガか?』
丁寧なんでしょうが、なんだか蟷螂はその雰囲気に嫌な感じを覚えてポイント追加。
 
いゃ〜待ちました。
J大から出向したJ大の医師が紹介したんだから、早く名前を呼ばれてもいいのにと思っていましたが、甘かった。
それでも1時間半ほどで中待合室(これがめちゃ狭い)から声をかけられ、看護師による予診です。
予診の看護師さんたちは優しかった。
ところが予診後にその狭い中待合室で待つことしばし。
お国訛りも超飛び交い、長いベンチシートなので、昔の汽車の旅状態。
身動きもままならないほど狭いから、『この病院は患者を人間扱いしていない』と思いました。
そしてようやく下町の病院へ出向していたドクターから呼ばれました。
開口一番『お待たせしました』と、ヤケに丁寧です。
『で、その後いかがですか?』
『まぁあまり気分のいい日はなかったですね』
『発熱などは』
『ありません』
『頭痛は如何でしょう』
『あの日以来ず〜っと痛いです』
『じゃあCTを撮りますか?』
『今日お聞きしたいことは2点、私が感染性心内膜炎でないかということと、J大では小侵襲の手術をしていないかということです』
『感染性心内膜炎であるかどうかは経食道エコーという検査をしなければわかりません。また、本学では開胸になります。これから経食道エコーの予約をとっていただきます』
そう言ってモニターの画面を覗き込み、XX日はどうかと言います。
その日は都内西部の心臓専門病院の経食道検査日より1週間ほど早い日です。
早く感染性心内膜炎かどうかの判定が出るのはアドバンテージが高い。
 お願いしますと頭を下げたものの、ダヴィンチで行く覚悟が固まりJ大を後にしたのは冬の陽が傾き始めた頃でした。
 
 

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