監督は女性だとすぐに感じた。
福一の原発事故直後に蒸発した夫。
義父の介護をした女房のもとに何年か後に突如現れた夫は、実父の遺産で『がん』の治療費を出させようとするが、女房はすでに新興宗教にハマって二進も三進もいかない。
職場ではカスハラに遭う。
そこへ九州に就職した息子が障害者の女性を連れ帰り、『結婚する』という。
パニック状態の女房のせめての癒しは、宗教と枯山水とパート仲間のおばさん。
このおばさんのセリフに監督の持つ負の正義があると思った。
荻上直子監督作品はダラダラ感があり、この作品もその一つかなと思って録画したデータを消去しようとしたけれど、他に見るものもないしと考えて最後まで観た(長回しのシーンは早送りした)。
結論はこの映画には結末がない。
日常を淡々と送るようであり、それでいて作品が抱えている問題は多岐にわたる。
震災、原発、介護、カスタマーハラスメント、障害者差別、女性の強かさ、新興宗教、核家族、死。
この作品は荻上氏のオリジナルみたいだけれど、ちょっと尻切れトンボ感は否めない。
で、プールで助けられたおばさんは?
息子の障害者の嫁は帰ってこなかった?
晴れて暑そうなのに無理に土砂降り?
サイコっぽくするなら徹底しないと・・・
荻上氏はハッピーエンドにしたくなかったようだ。