国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

第59回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号 昭和43年9月9日 第一話

2024-12-19 19:43:45 | 国鉄関連_国会審議
はじめに、当時の国労と動労の関係を整理しておくと

本日から、衆議院社会労働委員会の議事録を参照していきます。
社会労働委員会は主に労働運動など社会事象に対する委員会であり、国労・動労の共同歩調によるストライキについて質問がなされることとなります。
国労自身は、機関助士反対闘争に関してはどちらかと言えば静観しており、むしろこれを機会に国労に引き込もうとしていた時期でもありました。
実際、電車運転士は国労が伝統的に多かったこともあり、機関車から転換教育で電車運転士になった組員に対して、その浸透を図っていた可能性は考えられます。
また、動労が革マル幹部であった松崎明氏を中心とした、青年部が力を付け、元々左派的傾向の強かった、政研派は、反戦青年良い会のメンバーで有り、革マル派幹部である松崎氏と近づくこととなりました。
政研派は、革マルを容認し。国労はむしろ排除する方向に動いたため、国労内では、革マル派や革同系などは主流派になり得なかったのに対して、動労はこの時期から一気に左傾化していくこととなり、それまでの主流派であった、機同志会(後の労運研)はやがて主役の座から退場することとなったわけで、必ずしもその後のマル生反対運動の頃と比べれば一枚岩ではありませんでしたが、国労も反合理化という点では動労と利害が一致することから、共同歩調を取ってストライキをおこなっていたのでした。
 動労と国労が結託して、ストライキを実施することについての懸念
これを見ると判ると思うのですが、反戦青年委員会メンバーである、松崎明らが率いる革マルメンバー並びに、左派系の政権派がその力を付けていくことで、思い切った方向を切るようになったと言えます。
更に、国労も前年に獲得した現場協議制を得たことから、組合としてもその力を付けたとして、大きな勝負に出たように思えます。
○後藤委員 まず最初に、国鉄のほうへお尋ねいたしたいと思います。
 新聞の報道なり、その他の情報によりますと、十二日の零時から十二時間のストライキが行なわれる。しかも、全国全地域にわたって、動労、国労同一歩調というような形で行なわれるやに聞いております。
 特に五月、六月でございますか、その当時には、国鉄といたしましても、いろいろな多くの事故がございました。国鉄の職員はたるんでおるんではないか、あるいは施設なり機器等の問題につきましても、かなり新聞等でもきびしく批判をいたしておったのは、御承知のとおりだと思います。
 そこで、国鉄輸送は安全が第一だと思います。安全に、しかも敏速に、しかも正確に、これはもう国鉄始まって以来の中心であろうと考えておる次第でございますが、いま申し上げましたこの十二日からの闘争については、五万人合理化の反対の闘争である。特に十月のダイヤ改正に伴って、その中でも中心課題になっておりますのは機関助士の廃止、さらに電修場の廃止、その他かなり問題、要求はあろうと思いますが、それらが中心に行なわれるように私聞いておりますが、国鉄労働組合なり、動力車労働組合としまして、いままで二時間なり四時間、こういうようなストライキは過去にもあったと思います。しかしながら、今回計画されておる内容について検討いたしてみますると、十二時間、半日にわたります。これは私非常に重大なる問題であろうと思いますし、しかも両組合が、いかに重大なる決意のもとに、これほど高い、いわば重い闘争を仕組んでおるかというような点につきましても、たいへんなことだと考えておるような次第でございます。

以下は、参考事項として、弊サイト国鉄があった時代から、ストライキ前後の組合の動きを引用させていただきます。
これを見ると判るのですが、9月9日以降、断続的にストライキが行われていたことが窺えます。

国労(第2波)・動労(第6次)始業時から、デイーゼル・電気機関車の1人乗務化反対を掲げる、全国一斉順法闘争に突入 9/9~9/12
国労・動労による10月時刻改正、1人乗務化反対闘争による第2波で、国労は全国の駅、車掌区、客貨車区、運転所、機関区、工場など 114カ所で順法闘争
電修場の廃止計画に反対し、全国の電修場に働く国鉄労組組合員代表20人、家族代表50人が本社と集団交渉 9/9 
国労、動労、3時間から4時間の時限ストに突入。列車ダイヤ混乱 9/12
時限ストを前にして、労使の交渉は続けられたが、予定通り、全国33拠点が、午前零時から名古屋、 米原など11拠点で1、2時間から4時間の時限ストに突入、、ダイヤの混乱は正午すぎまで続いた
動労は、反合理化闘争第4波と位置づけ  ATS闘争、緩慢作業、入出庫闘争、休暇闘争で始まり、東海道、東北、山陽、山陰、北陸、等全国主要幹線とこれに接続するローカル線で、特急・急行列車の運休、遅延が続出。特に東京等大都市の通勤通学客輸送に大きな混乱
国労3機関区、動労4地本で合理化反対12時間スト 9/12 
国労(第3波)動労(第7次)闘争はじまる 9/17~9/20
      第3波闘争の最終日である20日には、全国約60拠点で4時間から12時間の時限ストに突入、社会党成田元書記長、岩井総評事務局長と磯崎副総裁、井上常務理事の四者会談をきっかけに、労使間の交渉で最も難航を続けた「EL・DL1人乗務問題_は、検討期間を含めて第三者機関に一任することで一応の了解点に達し,国労は20日午前6時30分、動労は7時にスト解除指令を出した
しかし、17日からの慢性的ダイヤマヒ状態で、午前10時頃まで混乱が続いた
国労、国鉄の5万人合理化計画に反対し18日の動労に続き国電区間でATSの順法闘争に入る 9/19国労国労28拠点、動労34拠点時限ストに突入したが、EL・DL問題(機関助士廃止問題)で了解点に達し、午前6時~8時中止された 9/20 
組合がこのような大きなストライキをする原因はどこにあるのか?
今回最初に質問に立つのは、社会党、後藤俊男衆議院議員
氏は、元国鉄職員で鉄道省に入省し米原機関区勤務を経て呉海兵団に入団、戦後復職し国労の役員などを経て、昭和42年1月の衆議院選挙で当選ですので、質問に立っていたときは一期目と言うことになります。
さて、ここで以下のように組合が12時間という長時間のストを構える背景はなにかと言う視点で質問がなされていますが、それは国鉄の抱えている問題としての機関助士反対闘争であり、合理化問題に関しての質問であるわけですが、これに対し、井上常務理事としては、現在の国鉄の置かれている環境などを考慮すれば、特に機関助士廃止に関しては撤回は出来ないこと。
更には、安全という点では一人乗務の方が実は事故件数が少ないと言った点を上げています。
実際に、近郊区間の電車などは戦前から、一人乗務であるわけで、蒸気機関車はその性格上2人乗務が必須であっったこと等を考慮すれば電気機関車やディーゼル機関車の2人乗務はあまり意味がないと成るわけですが、動労としては機関助士の処遇もありましたので、これに強く反対することとなり、特に左派的傾向の強い政研派が、革マル幹部である松崎明らの反戦青年委員会メンバーを取り込んでくことで、より過激な方向に進んでいったわけであり、この時点では、国労の規模感に動労は乗っかり、国労は反合理化闘争に対し、動労の強力な闘争に乗っかることで双方にメリットがあると考えたのではないかと思えます。
なお、この辺は更に今後たの資料なども参照しながら更に深度化していきたいと考えております。


応援よろしくお願いします。

***************************以下は、国会審議議事録になります*********************
昭和四十三年九月九日(月曜日)
    午前十一時十一分開議
 出席委員
   委員長 八田 貞義君
   理事 田川 誠一君 理事 橋本龍太郎君
   理事 藤本 孝雄君 理事 河野  正君
   理事 田邊  誠君 理事 田畑 金光君
      大坪 保雄君    齋藤 邦吉君
      中野 四郎君   三ツ林弥太郎君
      枝村 要作君    加藤 万吉君
      後藤 俊男君    西風  勲君
      平等 文成君    八木 一男君
      山本 政弘君    本島百合子君
      大橋 敏雄君    谷口善太郎君
      關谷 勝利君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 園田  直君
        運 輸 大 臣 中曽根康弘君
 委員外の出席者
        法務省民事局第
        四課長     田邊  明君
        厚生省援護局長 実本 博次君
        農林省農地局参
        事官      井元 光一君
        運輸省鉄道監督
        局長      町田  直君
        労働省労政局長 松永 正男君
        労働省労働基準
        局長      村上 茂利君
        会計検査院事務
        総局第五局長  小熊 孝次君
        日本国有鉄道常
        務理事     井上 邦之君
        専  門  員 安中 忠雄君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件
     ────◇─────
○八田委員長 これより会議を開きます。
 厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。後藤俊男君。
○後藤委員 まず最初に、国鉄のほうへお尋ねいたしたいと思います。
 新聞の報道なり、その他の情報によりますと、十二日の零時から十二時間のストライキが行なわれる。しかも、全国全地域にわたって、動労、国労同一歩調というような形で行なわれるやに聞いております。
 特に五月、六月でございますか、その当時には、国鉄といたしましても、いろいろな多くの事故がございました。国鉄の職員はたるんでおるんではないか、あるいは施設なり機器等の問題につきましても、かなり新聞等でもきびしく批判をいたしておったのは、御承知のとおりだと思います。
 そこで、国鉄輸送は安全が第一だと思います。安全に、しかも敏速に、しかも正確に、これはもう国鉄始まって以来の中心であろうと考えておる次第でございますが、いま申し上げましたこの十二日からの闘争については、五万人合理化の反対の闘争である。特に十月のダイヤ改正に伴って、その中でも中心課題になっておりますのは機関助士の廃止、さらに電修場の廃止、その他かなり問題、要求はあろうと思いますが、それらが中心に行なわれるように私聞いておりますが、国鉄労働組合なり、動力車労働組合としまして、いままで二時間なり四時間、こういうようなストライキは過去にもあったと思います。しかしながら、今回計画されておる内容について検討いたしてみますると、十二時間、半日にわたります。これは私非常に重大なる問題であろうと思いますし、しかも両組合が、いかに重大なる決意のもとに、これほど高い、いわば重い闘争を仕組んでおるかというような点につきましても、たいへんなことだと考えておるような次第でございます。
 そこで、まず第一番にお尋ねいたしたいのは、国鉄労働組合なり、動力車労働組合、両組合とも組合員の生活と権利を守るということは、これはもう当然のことでございますが、それと並行する以上に、まず安全輸送が大事だ、安全を守らなければいけない、これが第一番になっておると思います。
 さらに、国鉄当局、管理者のほうといたしましても、国鉄輸送はまず第一番には安全だ、最近起こったいろいろな事故から考えてみましても、安全輸送が第一番だ、動労、国労、管理者ともに安全が第一番である、こういうことを叫んでおるにもかかわらず、十二日の零時からこういうふうな大きな闘争が行なわれる。行なわなければいけないというような情勢をかもし出すところの原因は、一体どこにあるのだろうか。こういうふうな情勢になってきた原因は、一体どこにあるのだろうか。組合も安全だ、管理者も安全、ともに安全を願いながら、おそらく数限りないほど団体交渉が行なわれておると私は考えておる次第でございますけれども、それにもかかわらず、いまだかつてないほど重い、しかも広範囲であり、しかも、これが決行されるとするならば、国鉄のほとんどのダイヤが全部麻痺してしまう、しかも半日間にわたる、こういうふうな情勢をかもし出す原因は、一体いずこにあるのだろうか。この点につきまして、その内容あるいは現在の情勢等も、詳しく国鉄当局としては御承知であろうと思いますので、いま申し上げました点について、ひとつ御説明をいただきたいと思う次第でございます。
○井上説明員 ただいま先生御説のとおり、国鉄当局といたしましても、国鉄の輸送の安全ということは、まず第一義的に考えておるところでございます。サービス以前の問題である、あるいは根本的なサービスの問題であるというふうに考えておる次第でありまして、いかなる場合にも、この安全ということをないがしろにするということは考えておりません。  現在、いわゆる近代化、合理化計画のもとに、昨年の三月以来、組合と団体交渉を重ねております。経過を申し上げますと、昨年の三月、私のほうから提案いたしました項目は、概括いたしまして申し上げれば、十五項目ございます。十五項目のうちに、去年の暮れ、ことしの三月の段階を経まして、十四項目は本社、本部間では話がつきました。残る一項目だけが、いわゆる電気機関車、ディーゼル機関車の一人乗務の問題でございます。その問題と、新たにこの春提案いたしました近代化の数項目、四項目か五項目ございますが、その項目を加えました問題についてただいま団体交渉をやっておるという段階でございます。  問題の中心は、先生もお述べになりましたように、やはり電気機関車、ディーゼル機関車の一人乗務の問題でございます。この問題が一番輸送の安全にかかわる問題であるということで、組合側もこの安全の点で非常に議論をしてまいりました。私どものほうでも、一人乗務の問題は、少なくとも現在以上に安全度を脅かすものではないということで団体交渉をやってまいりました。組合側は、二人乗っておる者を一人にすればあぶない、こういう主張をするのでございますけれども、私どものほうの実際の統計の数字を見ましても、いままでに二人乗務と一人乗務とは、実際に電車、ディーゼルカーについては実施いたしておるのでございます。電車、ディーゼルカーについては、全体の約八割が一人乗務になっております、二割が二人乗務になっております。で、二人乗務の場合と一人乗務の場合の事故の発生率を見ますと、ごくわずかではありますけれども、一人乗務のほうが事故の発生率は少ないのでございます。こういうところから申しましても、私どもは、一人乗務のほうが安全だとは言いません、二人よりも安全だとは言いません、しかしながら、二人と一人の問題では、問題は安全度に関する限りは関係はない問題である、少なくとも安全度に関する限りは同じであるということを主張いたしておるのでありますが、国鉄が現在置かれておる状態からいたしますれば、近代化、合理化というものは当然やっていかなければならない。その場合に、安全度において同じであるならば、二人乗っておることは無意味である、これは一人にすべきである、こういう主張を重ねてまいりましたが、まだまだ組合側の十分な納得を得るに至らず今日に至っておるわけであります。  先生お述べになりましたとおりに、来たる十二日にかなり大規模の闘争を計画いたしておるのでございますけれども、これはまだまだ時間もございますので、十分団体交渉を重ね、また組合を説得いたしまして、できるだけ国民の皆さまに御迷惑のかからないようにということは、われわれとしても心がけてまいりたいと思っておるところでございます。  ただ、しかしながら組合の闘争を実際にやめさせるということになりますと、二つの方法しかないわけでございます。  一つは実力をもって組合の闘争を当局が阻止するというのが一つの道、これは実際問題といたしまして、管理者の数は全体の一割しかございませんので、全体の一割の管理者の数をもって、実力をもって組合がやろうとする争議行為を阻止するということは実際上できません。  もう一つは、それでは当局の提案を撤回すれば、組合は争議行為はやらないと思いますけれども、当局の提案を撤回するということは——現在置かれておる国鉄の現状からして、合理化、近代化計画、これを進めねばならぬというのは第一義的に考えておるところでございますけれども、その近代化、合理化を撤回するということは、われわれとしてもできないことでございます。あと残る道は十分組合側を説得して、争議行為にならないようにわれわれも努力する。ただ努力するということしか現段階では申し上げられない、かような状態でございます。
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1973年3月に起こった、上尾事件とはどんな事件だったのか?

2024-12-14 15:24:30 | 寝台列車論
1973年3月に起こった、上尾事件とはどんな事件だったのか?

上尾事件について、書かせていただこうと思います。
ご覧いただければ幸いです。
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第59回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号 昭和43年9月9日 プロローグ

2024-12-12 23:01:08 | 国鉄関連_国会審議
本日から、生産性運動前に動労を中心に行われた機関助士反対闘争に関する国会審議について見ていこうと思います。
機関助士反対闘争が起こった背景には何があったのか、簡単に説明をしていきたいと思います。
機関助士反対闘争が起こった背景には、蒸気機関車の廃止も大きく関連してきます。
蒸気機関車時代であれば必須であった機関助士ですが、電機機関車となると機関助士の仕事は主に信号確認業務のみとなり、それまでの火夫〈ボイラーマン〉としての業務が無くなるわけで、電機機関車にも機関助士は乗務していたものの、当局としても合理化を図りたいと考えるようになります。
国鉄としては1967(昭和42〉年3月31日に各組合に5万人合理化として提案するのが最初であり、ここから動労の機関助士反対闘争がスタートするのでした。
当時の流れを弊サイト、国鉄があった時代から、抜粋してみたいと思います。
国鉄当局、国労・動労・新国労に対し第3次長期計画にもとづく2年間に5万人配転など合理案を提示 3/31 
国鉄当局、三労組に対し第三次長期計画のための近代化・合理化案を提示。国労・動労、「合理化」案に対し断固撤回を求めると抗議声明 3/31 
国鉄労組、当局提案の「合理化」に対し職場からの抵抗体制 の確立を指令 4/1 
となっていますが、ここから、国労・動労の反合理化闘争は始まるわけですが、動労にしてみれば、その前年から始まった運転二科制度(高校卒業の採用職員を直接動力車乗務員として養成するもの)で、機関助士からすれば自分たちの機関士への枠が少なくなることを意味するわけで、これについても動労は闘争をしています。 さらに、ここに来て動力近代化の進展と、経営再建のための5万人合理化を打ち出してきたわけで、国労・動労は強く反発することとなりました。
特に、機関助士も多く抱える動労はこの闘いを通じてかなり強硬な運動を行うこととなり、後の鬼の動労と呼ばれる運動を展開することとなります。
国会審議の議事録に入りたかったのですが、あまりに前置きが長くなってしまったので、国会審議議事録は次回からとさせていただきます。


応援よろしくお願いします。
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日本国有鉄道史 第49話 生産性運動と国鉄 ① 生産性運動導入から発展

2024-12-07 11:32:14 | 寝台列車論
日本国有鉄道史 第49話 生産性運動と国鉄 ① 生産性運動導入から発展

生産性運動とはどういったものだったのか?
今改めて考えてみたいと思います。
現在の労働運動に足りないものは何か。
社会が低迷している理由は何か?
色々な要素が有るかと思うのですが・・・・
改めて社会問題という視点で深掘りしていきたいと思っています。
応援よろしくお願いします。

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昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第16話

2024-11-07 22:26:50 | 国鉄関連_国会審議
今回が新潟闘争後の、不当労働行為に関する質問の最終回になります。
詳細は本文を読んでいただくとして、内容を要約すれば。
今回の質問は別の議員からも質問書が提出されていることもあり、又労働大臣も出席しての尋問と言うこともあることから、国鉄に対してこうした質問に対してさらなる調査ときちんとした答弁をすることを求めるという異例の苦言が以下のようになされています。
このような委員会の大きな問題となり、しかも労働大臣に質問をされた事項については、今後さらに国鉄当局においては事前調査をして、準備周到にして出席をし、議員の質問に的確に答弁されるよう委員長として要求いたします。
更に、新潟鉄道管理局長の発言に関しても新潟日報の記事を引き合いに、管理局長が国労を潰すと言った発言を新聞記者の前で発言したことに対しての厳重注意と取れる苦言を呈しています。
該当箇所を引用したいと思います。
新潟日報九月三十日付の新聞に、事実を曲げた中傷という見出しで、河村新鉄局長が小林発言に反駁をいたしております。
中略
国会議員の権威に関する重大な問題でございます。この内容は読み上げませんが、まず新鉄河村局長が言っていることは、小林氏は故意に事実を曲げて中傷しておる、国会議員としてあるまじき軽率な態度だということから言い始めて、小林議員の質問に対し否定的な事実を並べ、その中で、しかし新潟地本をつぶしたいというのはなるほど私の持論であるが、こういうことを言って、一番最後の結びには、いやしくも国会議員として軽率きわまる行為といえよう、こういうことで結んでおります。
もう少し掘り下げて調べて見る必要がありそうですが、少なくとも国会の委員会でこうした発言を委員長がするのはかなり異例であり、むしろ新聞記事の内容が事実か否かは国鉄当局と新潟日報の問題であるとして、厳しく注意を与えています。
残念ながら当局側の資料ではこの辺に関する記述が見られませんし、いずれこの新聞記事を見つける必要もあるので、ここでは新潟鉄道管理局長が組合潰しだと明言したか否かは避けますが、この委員会は国鉄にとってもかなり厳しい内容で有ったことは間違いないと言えそうです。

最後に参考資料を別途添えさせていただきます。

以下の記事は「国際労働運動」と呼ばれるサイトからの引用であるが、元々本社の職員局出身であった河村新鉄局長は、革同の拠点であった新潟国労地本に対してかなり強圧的な態度を取っていたようで、新潟闘争の時の様子を以下のように語っています。
 闘争の中止と当局の処分に呼応するように第2組合の策動が表面化した。明らかに河村局長ら当局によってそそのかされた動きだった。つまり、第2組合策動は国労つぶしの不当労働行為そのものだった。そして9月1日に、国鉄新潟地方労働組合(新地労)が3千人で結成に至った。このことは、「闘えば分裂する」「闘っても勝てない」という戦後日本労働運動の「常識」を定着させるかのようであった。
参考:


************************以下は、国会審議議事録です*************************

○園田委員長 小林君の質問に関連をして、委員長から総裁並びに常務理事に申し上げます。衆議院規則第六十六条、委員長は委員会の議事を整理し、秩序を保持するという責任から、委員の質問、言論並びに政府委員の答弁の言論を保護する権限はございますが、その内容を批判し、または擁護する義務はございません。従ってその意味において小林委員の質問を擁護する意味でもなく、批判する意味でもなく、また政府委員の答弁を批判する意味でもなく、公正な委員長の立場として二つだけ申し上げます。
 その一つは、本日小林委員から質問された事項は、先般の社会労働委員会でほとんど同様の質問をなされて、しかも国鉄の総裁並びに関係係の出席は、その委員会の散会直後要求してございます。小林君の質問が事実であるか、あるいは見当はずれであるかということは、委員会で展開される議員の質問、及び直実を調査して事実を並べられて、自分の所見とともに開陳をせられる政府委員の答弁とともに、両方照合して、おのおの結論が出てくるし、見解の一致を見ないものは国民の批判によってこれが出てくるものと委員長は解釈をいたします。そういう意味において、このような委員会の大きな問題となり、しかも労働大臣に質問をされた事項については、今後さらに国鉄当局においては事前調査をして、準備周到にして出席をし、議員の質問に的確に答弁されるよう委員長として要求いたします。
 次にもう一つは、先般小林委員の質問に関連をして、新潟日報九月三十日付の新聞に、事実を曲げた中傷という見出しで、河村新鉄局長が小林発言に反駁をいたしております。これについては吾孫子常務理事も先ほどの答弁の中に若干触れられた模様であります。この新聞をお読みになったかどうか、あるいは総裁にお見せになったかどうか、それはお伺いはいたしませんが、少くともこれは新潟鉄道局の労働争議に対する不当干渉であるかどうかということとは別個の問題として、国会議員の権威に関する重大な問題でございます。この内容は読み上げませんが、まず新鉄河村局長が言っていることは、小林氏は故意に事実を曲げて中傷しておる、国会議員としてあるまじき軽率な態度だということから言い始めて、小林議員の質問に対し否定的な事実を並べ、その中で、しかし新潟地本をつぶしたいというのはなるほど私の持論であるが、こういうことを言って、一番最後の結びには、いやしくも国会議員として軽率きわまる行為といえよう、こういうことで結んでおります。もちろん吾孫子常務理事は、これは談話でもなければ声明でもないと言っておられまするが、いやしくも国鉄局長の地位にある者が役所で、一人であろうと二人であろうとも、新聞記者に向って語る談話としてはきわめて不謹慎であるばかりでなく、国会議員の権威に関する重大な問題であります。憲法五十一条には「両議院の議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。」これは国会議員が無責任であるという意味ではございません。審議並びに討論について、国の最高議決機関として権威ある自由なる討論を与えるために憲法で保障された国会議員の唯一の基本的な保障であります。今日まで委員会において某議員が政府委員に質問をした際、その政府委員がその質問に答弁しないで、議員の質問が不当であるかのごとき印象を与え、あなたはそういう質問をしたが、日本国の現状はこうであるということは御存じかと逆質問をした例があります。その際、委員長は直ちに政府委員の発言の中止を命じ、政府委員には、出席をして国会議員の審議、質問に応じて答弁する権限はあるが、国会議員に質問する権限は与えてないと、非常に厳重な抗議をしたことがございます。これもともに国会議員の言論に対する権威の保持からきたことでございます。そういう意味において、これが事実であったかなかったかということは、国鉄と新潟日報の対決すべき問題でありましょう。しかしながらいやしくも公器たる新聞に載せられた以上、河村新鉄局長の談話が事実であるかどうか、小林議員がゆかたがけで河村局長と対談されたことについては、委員長は論外であります。いやしくも委員会において発言した内容について一公務員が、たとい大臣といえども総理大臣といえども、自分の職務上院外においてこれに批判を浴びせ、これに対する権威について語るということは、国会議員として許されるべきことではございません。従って、新聞を調べてみたらそういう事実でなかったということでお済ましになるわけにはいきますまい。これは当然社会労働一委員会の問題ではなくて、国会の問題として当局長を招致し、これに対する取調べがあることは当然のことであると考えております。後日にその問題は取り残されます。なおそういうわけでございますから、今後ともこういうことについては総裁も常務理事も特に注意されて、しかも政治的に申しましても、理論的に私が申した通りでありますが、こういう問題になっている事柄の事実を調査し、反省すべきことは反省して、円満に労使の協調に持っていくことは総裁の持論でもあるし、これはまた当然のことであると思います。それを一局長がみずからこれに反駁を加えて、ことさらに紛糾を来たすがごとき言論は、政治上から見ても適当でなかろうと私は判断をいたします。どうぞこういうことについては今後十分御注意あるよう、委員長としてここに発言しておきます。
 なお、ただいま小林委員から提案がありましたが、この提案については、社会労働委員会に属する問題でございますから、これは与野党の理事に諮って後日この問題を決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。

    午後六時八分散会              
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昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第15話

2024-10-17 10:45:05 | 国鉄関連_国会審議
長らく間が開いてしまいましたが、改めてアップさせていただきます。
小林議員がかなりお怒りのようで、新潟鉄道管理局の体制を厳しく指摘しています。
この状況だけからは、一概に国鉄当局に問題があるように見えるのですが、実際波動であったのでしょうか。
この件に関しては、新潟国労の労働運動史料(新潟国労・不屈の30年)もありますので、併せて探求していく予定としています。
ただ、新潟闘争以後に組合員が新潟地方労組が結成され、その多くが国労を脱退して、多くの組合員が第二組合である、新潟地方労組に移籍したとされているわけであるが、これに対して小林委員以外にも、石田宥全衆議院議員が、衆議院議長宛に、昭和33年3月24日に「国鉄労働組合新潟地方本部管内の不当労働行為の実態に関する質問主意書 」として質問をしていることから、当時のこの問題はかなり国会でも注目されたであろう事が窺えます。
ただし、この当時の国鉄当局はかなり組合に対して強気の対応をしていました。もちろん、この頃の闘争が昭和40年代・50年代の闘争よりも緩かったわけではなく、昭和30年代の闘争もかなり強気な闘争を試みていたことは窺えますし。
国労自身が民同派・革同系・共産党系といった色々な派閥により、一本化しにくかった事情もあったわけで、特に新潟闘争の場合はより過激な闘争を試みる革同系とそれを阻止しようとする本社の鬩ぎ合いのような所があったのも事実でした。
この辺は更に深掘りをしていく必要もありそうです。

なお、「国鉄労働組合新潟地方本部管内の不当労働行為の実態に関する質問主意書 」の質問書と回答は下記の備忘録に残しておきます。




************************以下は、国会審議議事録です*************************


○小林(進)委員 私は部外者であります。私は、国鉄の責任を負って、あなたのようにそのために高禄をはんで、そして総裁室に蟠踞しているのとは違います。部外者です。けれども、私は国民の代表の立場から、この国鉄行政、新潟の監理局のあり方に非常な危険を感じ、そのために私は誠心誠意調べて、これだけの材料を提供したわけです。まだ私の調べた材料の三分の一に及びませんけれども、提供した。あなたはそのために高禄をはんでいる。それは吾孫子常務理事もその通りだ。しかもこのたびの国会において、新潟国鉄の問題について国会議員小林進から質問があるということは、きょうだけじゃない、もはや数日前からあなた方の方に国会の委員部を通じてちゃんと情報が行っているはずなんです。そういう散漫な調べ方で、そういう答弁もできないで一体何です。それで一体職責が果されるんですか。これからまた調べて持っていこう、そんな緩慢なことで一体あなたの職責が全うされるんですか。吾孫子常務理事、一体いつ国鉄に私の方から質問があるということがあなたの耳に入り、あなたはいつから調査を開始されたか、答弁を願いたい。
○吾孫子説明員 九月の二十六日でございますか、先生の御質問がありました直後に、新潟の問題についてお尋ねがあったということを伺いました。それで新潟の局に対して照会し、局長にも来てもらいましたし、また本社の調査役を現地に派遣いたしまして、二十六日の御質問の際にいろいろ問題になりました事実については取調べをいたした次第でございます。
○小林(進)委員 私の質問に対して何も答えがなっていないじゃないか。答えが一つもできておりません。よくそういうようなずさんな調査をせられたものです。この問題は、私は率直に申し上げまするが、労働委員会の先輩、同僚各位と十分打ち合せをして質問しておりますが、これは社会労働委員会だけじゃない。わが党の国会対策委員会にも正式に諮りまして、これは実に重大問題であるということで、運輸委員会その他の委員会はもちろんですが、わが党の弾圧対策委員会においてもすべてこれを取り上げて、抜本的に解決しなければならないというので、非常にこれを重大視しておる。しかるにこういうような問題についてあなた方はまるで馬耳東風だ。何の調査もしていなければ、ただこの委員会に現われてちゃらんぽらんの回答をしてその場をじんぜん過ごせば事足りる、そういうような考え方でおられるということを私は予見をいたしまして、非常に不愉快であります。しかし率直に申しまするけれども、問題はこの労働委員会における私の質問をもって終るものではございません。どういう形でこれが現われてくるか、私は具体的にあなた方に申し上げませんけれども、決してあなた方の考えているような簡単な問題でないということを申し上げます。私ども労働委員会といたしましても、もちろんこれだけで手をおさめたのでは、私は他の先輩やほかの委員会に対して責任が持てませんから、この問題はもちろん皆さん方の精密な再調査を依頼して、書面に基く国会への御回答は要求いたしますけれども、それをもって満足できません。
 委員長、一つ提案をいたしまするが、現地の局長をこの国会に御招請願って、本人から直接今までの経過についてお話を伺うか、さもなければ、わが委員会において、もちろん与野党からなりまする調査団を編成をいたしまして、現地にわれらみずから出張をいたしまして事実の調査に当るか、いずれかの方法をとるために何分の御所断を得たいことをお願いをいたしまして、一応私の質問を終りたいと思います。
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昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第14話

2024-09-14 13:20:39 | 国鉄関連_国会審議
長らく空けてしまいましたが、再開したいと思います。
今回も小林委員の当局攻撃は収まりません、今回は国労組合員とそうでない組合員に対する露骨な依怙贔屓があるとして、質問をしています。
趣旨としては、助役が意図的に、転轍機を反位(本来の方向と異なった方向にすること)にしたり、一部の車輌の連結器を意図的に外していたというもので、勤務評価を下げるために行っていたという指摘です。
以下に、該当部分を引用してみたいと思います。

 それからこれは労働者側の情報なんですよ。いいですか、読み上げますよ。これは二十五日です。これは八月二十五日でしょうな。「朝七時三十分頃、酒田駅構内裏一番コマポイントが列車進入寸前にもかかわらず反対の方向にかえっているのを操車掛が事故発生前に発見ことなきを得た。これは陸羽西線の六三列車着ガマが機関区に入るとき、上り八番線をまわって機関区に入ることになっており、裏一番は八番線から別れている線で通常なら上り八番線は定位にならなければならないのにポイントの反位を発見した操車掛は早速構内詰所の組合員に知らせた。ポイント扱い担当の北部転てつはもちろん誰も扱ったものもいないし入換もきていないのに全く不思議なことではないかと早朝の酒田構内は騒然としたが、たまたま脱線十五、六分までなんともなかったのに構内巡視をした一人の外勤助役がいたことが明らかになった。その時刻が事故発生五十分位前の出来事だったし、組合員の眼はこのあやしいいたずらはかって二十九年から三十年頃にかけてやはり外勤助役が中心に構内作業の勤務評定として従事員の作業監査の名目で裏面監査をやり、ポイントを返したりブレーキをおろしたり、また客車連結器のテコをはずしており従業員の神経をあおる方法をとったが、はげしい反対のため取やめられたが、こうしたやり方がまた誰も知らぬ間に復活したのではないかと責任追及がおこなわれようとしており、構内はじめ酒田支部は問題の探求をはじめている。」というのであります。これに対して今申しましたように、これはまさに第二の松川事件の寸前だぞ、下山事件の寸前だ、それがこんなところでどうも起るような懸念が現場にあるのではないかと、組合員がこういうことをおそれておる。あまり権力で弾圧していこうとすると、みんな功を争うようになってくる。かりに局長が一言言えば、それに迎合しようとして現場職員は二、三積極的な行動に出る。功績を得んとする行動がこんな形になって現われてこないと一体否定できますか。
こうした事実が本当にあったのか、否か。
少なくとも私自身は判断できませんが、仮にこうしたことが事実として行われたとなれば、かなり問題であるわけですが。
何れにしても、当時の組合と当局の労使関係は決して良好ではないものの、生産性運動以降に見られた過剰な組合譲歩などもなくて、そうした意味では緊張感を持って業務に当たっていたと言えるかもしれません。
続く

応援よろしくお願いします。

************************以下は、国会審議議事録です*************************
○小林(進)委員 あなた方がそういうような答弁をしているうちに、だんだん日本の民主主義も憲法も事実上浮き上って、昔ながらの反動の形が現われてくるのですよ。そうしてそういうような答弁をあなた方がたくみにやっているうちに、恐るべき時代がだんだん起きてきますよ。一体そんなことで労働者は承服しますか。私は一つ具体的な例をここで読み上げてみたいと思うのでありまするが、これは率直に申し上げまするけれども、労働者側の情報です。今までのものはいわゆる経営者側の情報だ。ただ労働者側の情報を申し上げる前に一言念を押しておきまするけれども、私どもは、新潟の国鉄の出している労働情報というものは、何といってもこれは不当労働行為だ、経営者が国鉄労働組合を圧迫しようという、不利益を与えようとする、弾圧をしようとする意図のもとに行われておる労働情報のように断定するよりほかにないと思う。もしそうでないというならば私は調べてきますよ。だからどうかあなた方も責任をもってこんなものは廃刊をしてもらうように、厳然たる態度をとってもらいたい。何のために理事がおり総裁がおるか、そんなことでわが国の汽車が動くと思っておったら間違いですよ。こんなことはやめさせるように私はここで一本念を押しておきます。こんなことはやらせませんよ。
 それからこれは労働者側の情報なんですよ。いいですか、読み上げますよ。これは二十五日です。これは八月二十五日でしょうな。「朝七時三十分頃、酒田駅構内裏一番コマポイントが列車進入寸前にもかかわらず反対の方向にかえっているのを操車掛が事故発生前に発見ことなきを得た。これは陸羽西線の六三列車着ガマが機関区に入るとき、上り八番線をまわって機関区に入ることになっており、裏一番は八番線から別れている線で通常なら上り八番線は定位にならなければならないのにポイントの反位を発見した操車掛は早速構内詰所の組合員に知らせた。ポイント扱い担当の北部転てつはもちろん誰も扱ったものもいないし入換もきていないのに全く不思議なことではないかと早朝の酒田構内は騒然としたが、たまたま脱線十五、六分までなんともなかったのに構内巡視をした一人の外勤助役がいたことが明らかになった。その時刻が事故発生五十分位前の出来事だったし、組合員の眼はこのあやしいいたずらはかって二十九年から三十年頃にかけてやはり外勤助役が中心に構内作業の勤務評定として従事員の作業監査の名目で裏面監査をやり、ポイントを返したりブレーキをおろしたり、また客車連結器のテコをはずしており従業員の神経をあおる方法をとったが、はげしい反対のため取やめられたが、こうしたやり方がまた誰も知らぬ間に復活したのではないかと責任追及がおこなわれようとしており、構内はじめ酒田支部は問題の探求をはじめている。」というのであります。これに対して今申しましたように、これはまさに第二の松川事件の寸前だぞ、下山事件の寸前だ、それがこんなところでどうも起るような懸念が現場にあるのではないかと、組合員がこういうことをおそれておる。あまり権力で弾圧していこうとすると、みんな功を争うようになってくる。かりに局長が一言言えば、それに迎合しようとして現場職員は二、三積極的な行動に出る。功績を得んとする行動がこんな形になって現われてこないと一体否定できますか。
 また一つ読み上げますと、「悪質裏面監査のその後、駅長は勤務るすに床屋」というので、これは駅長のことが書いてあるのだが、これもついでですから読み上げましょう。「八月二十七日(木)朝八時二十分から九時四十五分まで、青柳酒田駅長は勤務時間中に職場を離れて不在であった。彼はこの間床屋へ行っていた。たまたま時間まではっきり記録されたまでのこと、毎回のことである。職場の人たちの間には「われわれには、列車の間合いに一寸マンガ本を見ていてもやれ勤務態度がよくない、勤務成績がわるい、といいながら駅長は一時間も出勤早々職場をるすにしている」こんな駅長が、職員をコキ下したり、始末書をとる資格があるだろうかという話がひろがっている。今、酒田駅では先日(九月二十五日)駅構内裏一番線のコマポイントを列車進入寸前に」これは前の記事でございますが、こういうことが行われている云々とあり、こういうような危険が起っているのを「青柳駅長は労務対策で当局から覚えがよいことをカサにきているが、次のような暴力、独善、鼻下長駅長でもある。藤島駅長当時、助役の胸グラをつかみナイフで「殺すぞ」とアバれた。酒田駅へきてからも気にくわぬ助役に赤インキを顔からかぶせたこともある。日頃「バカやろ、クソやろ」と主任級などにも当っており、地区労代表などにも「帰らぬと警察を呼ぶぞ」とどなりちらし、去る春斗では組合とは団交を拒否しながら芸者を入れていた事実もある。酒田市会等でもこれら駅長の柄の悪さが目にあまって「酒田の玄関には不適当だ」の声があがっている。」こういうような記事が羅列をされているのでございますが、このように労使の間というものはもはや実に離れてしまった、水と油以上に離れている。一体こんなことで国鉄行政はでき上るのですか、やっていけるのですか。われわれもおっかなくて汽車に乗れませんよ。かってあの飛行機事故が起きたときに、総裁が遺族の霊前にぬかずいて泣いている姿を私はテレビで拝見いたしました。私はあの姿をながめて、総裁もまことに誠心を傾けて遺族の前に泣いていると思いました。あの涙にはうそはありません。総裁は誠実な方なんだ。私は、テレビを見ながら一応総裁の態度に感激をしたこともございましたが、総裁、事故は今あなたの足元に起ろうとしているのですよ、これを一体どう判断せられるか、こういうような危険に対するあなたの所見を私はお聞きしたいと思うのです。これもうそですか。
○十河説明員 私は、国鉄が輸送の使命を全うするためには、初めに申し上げましたように、人間が一番大切である、人の和がすべての基本である、こう考えます。就任以来労使関係も正常化したいと考えまして、経営者に対しても労働組合に対しても、その目的で絶えず協力を求めておりまして、私自身の行動につきましても絶えず反省をいたしておるのであります。そういういろいろな問題が起りますことは、ひっきょう私の統率力が足りないといいますか、不徳といいますか、そういうところがあるかもしれないと私は大いに反省をして、今後そういうふうな、たとい誤解であってもそういうことの問題が起らないようにいたしたいと念じている次第であります。
○小林(進)委員 私はまだ多分に材料を持っております。もっともっと多く私は質問をしたいと思うけれども、しかし彼我大小相似たようなものを繰り返し申し上げていたところで、もはや効果もないと思いますので結論に入りますが、なおそのほか私自身に与えられている私個人ではございません、国会議員の小林進です。私どもは国民から法律以上の大きな力で調査の権能を与えられている。権利と義務を与えられている。そういう国会議員固有の調査権能をも剥奪するような不当なる行為も私は河村局長から受けておりますが、これは前の労働大臣にも質問いたしましたので省略いたしますが、今まであなたに申し上げたことだけでも、多くの同僚先輩諸君並びに学識経験者はともに驚いている。残念ながら驚かないのは総裁と常務理事だけである。あなた方が主宰している、あなた方が経営している、その責任者のあなた方だけが驚かれない。そしてあなたは繰り返し遺憾の意を表せられているけれども、責任をとるということは一言もおっしゃられない。私がこれだけ克明に調査していることに対しても、あるいは誤解があってもというような誤解という前提のもとに遺憾の意を表している。実に私は無責任きわまると思う。いやしくもそういうような総裁の考え方であるならば、私が国民の意思を代表いたしまして、いかにその国鉄の安全を願い、労使のよき慣行を願い、平和の国鉄のその成績の増進を祈ったところで百年河清を待つほかはないといわなければならぬと思うのでありまして、総裁はそういう遺憾の意を表する前に、私が今まで申し上げたことをいま一回一つ反復反省されまして、どういう処置をとるか、一体どういう手段をとるかという具体的なこれに対する対策を一つお聞かせ願たいと思うのであります。ただ遺憾の意を表せられただけでは、死者の墓前にぬかずいて泣くだけではこの問題は解決するものではありません。飛行機の事故はできたことでありますけれども、これらは将来起る危険性のある問題でございます。事前に明確な手を打っておかなくてはいけない。どういう具体的な処置を講じて、これらの不当労働行為、あるいは多くの危険、それからよって生ずるこの危険を防止せられるお考えであるか、一つ承わりたいと思います。
○十河説明員 私は今まで報告を受けて承知しておる限りにおいて今日も答弁いたしました。いろいろ具体的の事実をあげて今日もお話がありました。さらにいま一応調査いたしまして、その上でお答え申し上げたいと存じます。
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日本国有鉄道史 第46話 Discover Japan キャンペーン始まる

2024-09-09 14:33:04 | youtube
日本国有鉄道史 第46話 Discover Japan キャンペーン始まる
1970年10月から始まった、このキャンペーンはもっとも多くの成功を収めたと言えましょう。

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国鉄財政再建計画解説 新鉄道講座第四回

2024-07-28 22:47:39 | 寝台列車論
国鉄財政再建計画解説 新鉄道講座第四回

今回は、国鉄財政再建計画解説ということで、国鉄の財政再建について解説を加えさせていただきます。

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昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第13話

2024-07-25 11:00:00 | 国鉄関連_国会審議
今回も引き続き、小林委員による新潟鉄道管理局長の不当労働行為についての質問が続きます。
小林委員の追及は中々厳しく、何としても政府側に陳謝させたいという糸が見えています。
見方によっては執念のようなものを感じてしまいます。
ここで注目すべき点は、どこまでが不当労働行為に当たるかという点になるわけですが、これに関してはケースバイケースであり、一概に言い切れないことが本人も良く判っていると思うので、
最初に小林委員が指摘した、「非組合員(現場長である区長や助役など)が、組合をぶっつぶせばよろしいというような暴言を吐いている」事をして、組合員に対する支配介入(労働組合法第7条第3号)に当たると指摘しているのは、いささか無理があるように感じてしまいます。
まぁ、その辺は本人も多少は了解しているようで、水掛け論になるとして深入りは避けているのですが・・・、その後、局長自らが「新潟地本は潰れた方が良い」と発言したことを不当労働行為だと指摘しています。
すなわち、支配介入の以下の要素
  • 組合の活動を非難する発言をした。 労働組合法第7条第3号
ただし同じ日付の労働情報の中に、局長の訓示が終っていろいろの角度から質問や意見が述べられたが、その際ある質問に対し、局長から、今の地本は危機によろめいている、現状のような姿の新潟地本であるならむしろつぶれた方がましだと思う、こういう発言をされている。これは、ごらん下さい、当局側の情報です。つぶれた方がましだと思うと局長が発言をしておる。これは不当労働行為じゃございませんか。

と言う発言しているわけですが、これはいわゆる昨今に見られる切り抜き動画のようなイメージを持ってしまうのですが、少なくとも国労新潟地本内での革同派と本部の確執、並びに実際に革同派に賛成しないグループによる脱退があるわけですから、実際に地本内ではゴタゴタはあった訳です。
ただ、質疑の中で局長が発言した談話を「労働組合法第7条第3号」の誹謗中傷と捉えるのも些か無理があるように感じます。

続く


応援よろしくお願いします。

************************以下は、国会審議議事録です*************************

○小林(進)委員 あなたは自分で勝手に仮定を作り上げて、あなたの仮説のもとにそういう詭弁を正当化しようとしておられる。それは卑怯ですよ。一つこの際労政局長の見解を承わりたい。
○亀井政府委員 不当労働行為の問題につきましては、同じ表現上の事実でありましても、それが不当労働行為にならない場合、あるいはなる場合、いろいろあるわけでございます。それはそのとき、あるいはその場所によりまするいろいろな条件が事実認定の上で積み重ねられまして、そして判断されていくわけでございます。たとえば使用者のいろいろな行動の中に、不当労働行為で救済すべきほどのものでなくても、それが積み重ねられていった場合におきまして不当労働行為になる場合もございましょうし、あるいは同じ事案でございましても、片一方は不当労働行為になり、片一方は不当労働行為にはならないというふうな場合もございまして、不当労働行為の認定は法律の解釈と違いまして、事実認定がその中に入りますために非常に判断がむずかしいのでございます。そこで労働法におきましては、御承知の通り学識経験のあります方々によって構成されておる労働委員会あるいは公労委というふうなところで慎重にその問題の判定をいたすことになっているわけでございます。そしてまたかりに、われわれがそれが不当労働行為であるかどうかということを判定することよりも、この制度自体は、それからいかなる救済をするか、団結権なりあるいはその他の労働者の権利をいかに救済していくかということが目的でございまして、これはやはり労働委員会なり公労委でその事実認定に基きました判断がなされるということでございます。今の問題につきましても、私ら諸般の状況が明確でございませんので、私といたしましては判断を申し上げることを差し控えさしていただきたいと思います。
○小林(進)委員 局長はこの前の労働大臣に対するときも今と同じような答弁をされ、二度も拝聴したわけでございますので、これ以上は水かけ論になりますので私もやめますが、私は非組合員同士の中に、組合をぶっつぶせばよろしいというような暴言を吐いていることは、自分の部下現場長、分区長を通じてそういうような組合をつぶすというような圧力影響を与えるような発言は、これは純然たる不当労働行為であると解釈をいたします。しかしあなたが承服をせられないならば、また別の角度で相まみえることにいたしまして、私もこれでほこをおさめることにいたします。ただし同じ日付の労働情報の中に、局長の訓示が終っていろいろの角度から質問や意見が述べられたが、その際ある質問に対し、局長から、今の地本は危機によろめいている、現状のような姿の新潟地本であるならむしろつぶれた方がましだと思う、こういう発言をされている。これは、ごらん下さい、当局側の情報です。つぶれた方がましだと思うと局長が発言をしておる。これは不当労働行為じゃございませんか。
○吾孫子説明員 その前後の話というものがよくわかりませんですが、違法な行為が繰り返されるような、そういう状態の組合は望ましくないからつぶれた方がましだというようなことを言ったのかと思うのであります。それは先ほども申し上げましたように、非公開の席上で申したことでもあり、別段不当労働行為とかなんとかいうような、特に積極的な組合に対する弾圧をしようとかいうような気持とは違って、感想を述べたものであって、特に不当労働行為というようなことになる性質のものではないように私は考えております。

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整備新幹線とは何か?新鉄道歴史講座 第3回 東北・上越新幹線

2024-06-08 23:55:31 | youtube
日本国有鉄道研究家 加藤好啓が主催する動画チャンネルです。

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昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第12話

2024-05-22 20:04:19 | 国鉄関連_国会審議
本日も、国会議事録の中から新潟闘争後の不当労働行為について質問をしている小林委員の質問をアップさせていただきます。
小林委員は、国労の擁護という視点から質問を続けているのですが、些か口が滑ったと言いますか、管理局長が国労の新潟地本を潰す事が目的だと言った口調で喋ったとして、厳しく批判をしているわけですが、戦後10年以上が経たんとし、労働組合に関連する労働三法が制定されている中で、管理職が職員に対する態度が旧態然としているとして、厳しく批判しています。
これに対して、十河総裁も我孫子常務理事も、そのような事実は無いとして否定しているわけですが、当時の組合と当局の緊張関係と言うのは、生産性運動以後とはまた違った緊張関係があるように見受けられますし、実際には国労内での分裂(民同左派と新生民同派(いわゆる右派)、更には革同系等々)があり必ずしも国労内も一枚岩では無く、そうした意味では当局側もかなり強い態度である程度力関係を持っていたことは自明の理だと考えますので、多少なりとも小林委員の質問のような事実もあったかもしれませんし、それは許容される範囲の労務管理と考えていたかもしれませんし、実際に認められる範囲であったと考える方が素直な気がします。
以下のように、総裁達の発言は詭弁であるとして批判している訳ですが、

○小林(進)委員 吾孫子常務理事の答弁はやや詭弁に近いと私は思っている。私どもはそういう上手な答弁を聞いているのじゃない。私どもがこの国会の席上であなたに質問するからには、正当な常識ある者あるいは学識ある者、それぞれの人々に、こういう事実があるがどうかと、みな聞いておる。実に驚くべきことでないか、こういう憲法がしかれ、こういう労働基準法が行われてまさに十数年、ようやくわが国の労働組合も軌道に乗りつつあるという今日、そういう前近代的な驚くべき局長や管理者や、その指令のもとに動くような現場長がおるのか、大へんなことだとみんな驚いております。驚かないのは総裁とあんただけだ。そんなことじゃいけませんよ。いま少し驚きなさい。そしていま少し良心的に、胸に手を当てて、困ったことだという考えを持たなければ話にならない。
 まあ次に、こんな例を具体的に述べておれば際限がありませんから、私もそろそろ結論の方向へ歩みを進めていきたいと思うのでございますが、私がそういうようなことを九月二十六日、この委員会において質問をいたしましたことについて、河村局長は、先ほどの最初に戻りまして、そういう分区長やあるいは現場の助役、駅長等に何の指令をし何の訓示をしようとも、それは当局の内部の関係じゃありませんか、当局内の、非組合員のみの打合会の話ではないか、だからそんなことを何も不当労働行為と言われる必要がない、こういうようなことの新聞談話を発表いたしております。新潟国鉄労働組合をつぶすのが目的であるというようなことを公然と自分の部下の前でしゃべっても、それは非組合員であり当局内の話であるから、それは何をしゃべろうとも何も非難されることはない、こういうことを言明いたしておりますが、一体この河村監理局長の言い分は間違っていないかどうか、一つ総裁にお伺いいたします。

そして、総裁(十河氏)や我孫子常務理事に対して、かなりきつい言葉で批判しているわけですが、我孫子常務理事が回答しているように、国労地本を当局側が石を持って潰すと言うことは出来ないわけですし、実際にそのような動きはその後の流れを見る限りどこにも出ていないわけですから、これは一寸小林議員の方が勝手に暴走している・・・・そんな風に感じてしまいます。


○吾孫子説明員 ただいま新聞記者に談話として何か局長が発表したというようなお言葉でございましたが、この点新潟の局の方の事情も調べたわけでございますが、別に談話として何か発表したというようなことはございません。ただ何か新聞記者が単独で尋ねてきた人に、先生の御質問等に関連して話をしたということはあったようでございますが、局長についてよく取り調べましたところ、先生の御質問その他に対して、何かこれを御批判申し上げるというような気持はさらさらなかったけれども、言葉足らずでああいうような記事になって新聞に出たということに対しては、恐縮の意を表しておる次第であるというふうに申しておりました。
 それからなお組合をつぶす、つぶさないというお話でございますが、これにつきましては、つぶしたいというようなことは申しておりませんです。ただ先年の夏以来のような違法な行為が繰り返されるような組合のあり方は好ましくないという気持は、監理局長として当然そのことは強く考えておるわけでございまして、そういう気持がどういう言葉になりましたか存じませんが、しかし組合をつぶすのだとか、つぶしたいとか言ったような事実は全くないということだけは明らかでございますので、御了承をいただきたいと思います。
○小林(進)委員 私が最初にお伺いいたしましたことは、その分区長を呼んで、国鉄地本をつぶすと言っても言わなくてもよろしいが、ともかく呼んで訓示をしたことが、当局部内の非組合員のみの打ち合せであるから、それを不当労働行為云々せられることはとんでもない見当違いだということを発言しているのです。このことを聞いておるのです。そういう非組合員が都内において、組合をつぶすとか断圧するとか、何を言っても不当労働行為にならないのか、あなたの見解を聞いておるのです。
○吾孫子説明員 今回の分区長を集めての会議に際しての局長の言動につきましては、不当労働行為にわたるような事実はないと思っております。

続く


応援よろしくお願いします。

************************以下は、国会審議議事録です*************************
○小林(進)委員 吾孫子常務理事の答弁はやや詭弁に近いと私は思っている。私どもはそういう上手な答弁を聞いているのじゃない。私どもがこの国会の席上であなたに質問するからには、正当な常識ある者あるいは学識ある者、それぞれの人々に、こういう事実があるがどうかと、みな聞いておる。実に驚くべきことでないか、こういう憲法がしかれ、こういう労働基準法が行われてまさに十数年、ようやくわが国の労働組合も軌道に乗りつつあるという今日、そういう前近代的な驚くべき局長や管理者や、その指令のもとに動くような現場長がおるのか、大へんなことだとみんな驚いております。驚かないのは総裁とあんただけだ。そんなことじゃいけませんよ。いま少し驚きなさい。そしていま少し良心的に、胸に手を当てて、困ったことだという考えを持たなければ話にならない。
 まあ次に、こんな例を具体的に述べておれば際限がありませんから、私もそろそろ結論の方向へ歩みを進めていきたいと思うのでございますが、私がそういうようなことを九月二十六日、この委員会において質問をいたしましたことについて、河村局長は、先ほどの最初に戻りまして、そういう分区長やあるいは現場の助役、駅長等に何の指令をし何の訓示をしようとも、それは当局の内部の関係じゃありませんか、当局内の、非組合員のみの打合会の話ではないか、だからそんなことを何も不当労働行為と言われる必要がない、こういうようなことの新聞談話を発表いたしております。新潟国鉄労働組合をつぶすのが目的であるというようなことを公然と自分の部下の前でしゃべっても、それは非組合員であり当局内の話であるから、それは何をしゃべろうとも何も非難されることはない、こういうことを言明いたしておりますが、一体この河村監理局長の言い分は間違っていないかどうか、一つ総裁にお伺いいたします。
○十河説明員 私は河村局長がどういう言葉を使ったか知りませんが、そういう、組合をつぶすの何のというようなことを言ったとは私は考えられないのであります。しかしながらどういう言葉を使ったにしても、皆さんにそういうふうな誤解を与えるようなことがあったということは、これはまことに遺憾だと存じます。今後もそういうことのないように十分に注意したいと思います。
○小林(進)委員 吾孫子理事のこれに対する見解を承わりたいと思います。
○吾孫子説明員 ただいま新聞記者に談話として何か局長が発表したというようなお言葉でございましたが、この点新潟の局の方の事情も調べたわけでございますが、別に談話として何か発表したというようなことはございません。ただ何か新聞記者が単独で尋ねてきた人に、先生の御質問等に関連して話をしたということはあったようでございますが、局長についてよく取り調べましたところ、先生の御質問その他に対して、何かこれを御批判申し上げるというような気持はさらさらなかったけれども、言葉足らずでああいうような記事になって新聞に出たということに対しては、恐縮の意を表しておる次第であるというふうに申しておりました。
 それからなお組合をつぶす、つぶさないというお話でございますが、これにつきましては、つぶしたいというようなことは申しておりませんです。ただ先年の夏以来のような違法な行為が繰り返されるような組合のあり方は好ましくないという気持は、監理局長として当然そのことは強く考えておるわけでございまして、そういう気持がどういう言葉になりましたか存じませんが、しかし組合をつぶすのだとか、つぶしたいとか言ったような事実は全くないということだけは明らかでございますので、御了承をいただきたいと思います。
○小林(進)委員 私が最初にお伺いいたしましたことは、その分区長を呼んで、国鉄地本をつぶすと言っても言わなくてもよろしいが、ともかく呼んで訓示をしたことが、当局部内の非組合員のみの打ち合せであるから、それを不当労働行為云々せられることはとんでもない見当違いだということを発言しているのです。このことを聞いておるのです。そういう非組合員が都内において、組合をつぶすとか断圧するとか、何を言っても不当労働行為にならないのか、あなたの見解を聞いておるのです。
○吾孫子説明員 今回の分区長を集めての会議に際しての局長の言動につきましては、不当労働行為にわたるような事実はないと思っております。
○小林(進)委員 実に驚くべき一方的な調査しかあなたはしておいでにならない。九月三日の新聞にもわれわれの同僚各位が新聞を持っているが、その中にも私が今申し上げたようなことを公然と新聞の談話に発表いたしておる。新聞だけじゃない、むしろ先ほどから私が問題にしているのは、これは当局側の労働情報だ。監理局が発行する労働情報これは監理局の労働課長が発行責任者になって出しているのですが、その第四十六号、昭和三十三年九月三十日の情報の中に書いてあるじゃありませんか。管理者講習会は、組合員が出席しているわけでもなく、あくまでも当局部内の非組合員のみの打ち合せであって、この中には種々いろいろと変った意見や発言の出るのは当然のことである云々と言っている。そしてやはり新聞記事と同じように、それを不当労働行為と言われる理由はないという意味のことが、当局側の情報の中に書いてあるじゃありませんか。一体これがほんとうに不当労働行為でないのかどうか、お伺いしたいのであります。
○吾孫子説明員 別段公開もせず、部内限りで打ち合せの際にいろいろな話が出ましても、そのことが外部に向って国鉄としての意思表示というふうになるわけでもございませんので、不当労働行為ということにはならないのではないかと考えております。
○小林(進)委員 あなたは国鉄の常務理事としては、実に重大なる誤謬を犯しておいでになる。不当労働行為に対する最高裁の判例を一つ申し上げます。これは、発言当時の状況のもとで、客観的に組合活動に対する非難と、組合活動を理由とする不利益取扱いの暗示をも含むものと認められる発言により、組合の運営に対して影響を与えた事実がある以上、たとい発言者にこの点についての主観的認識ないし目的がなかったとしても、なお労働組合法第七条第三号にいう組合運営に対する介入があったものと解すべきである、こういう判例なのです。単なる組合活動に対する非難と組合活動を理由とする不利益取扱いの暗示暗示程度のことをやっても、それが完全なる第七条第三号の不当労働行為だ、不当介入だということを判例は示している。あなたは重大なる間違いですよ。そういうような間違いをいたして、一一組合行政をやられたのではたまったものではございません。間違いなら間違いであると、はっきり一つここで釈明をしていただきたい。
○吾孫子説明員 正当な組合活動に対して不利益な取扱いを暗示するというようなことがございますれば、まさにおっしゃる通りであると思いますが、違法な行為等に対して、そういう状態は処罰の対象にもなり、公労法下の組合として好ましくないのだということを申しましても、それは別に不利益取扱いの暗示とかなんとかいうことには該当しないのではないかというふうに私考えております。
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碓氷峠 EF62とEF63形電機機関車

2024-05-20 05:58:41 | youtube
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昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第11話

2024-05-07 21:42:03 | 国鉄関連_国会審議
しばし間が開いてしまいましたが、今回も衆議院 社会労働委員会第3号からの抜粋と言うことで国会議事録をご覧いただこうと思います。
今回も小林議員の質問は続くのですが、今回の質問の趣旨としては、新潟鉄道管理局で発行している労働情報が国労に対しては辛辣な文言で書かれているのに対して、第二組合である、新潟地方労組を賞賛するといった内容になっており、この議事録はもう少し続くものの、公労委 昭和35年(不)第10号 で 不服申立が行われますが、こちらについても昭和37年7月3日で助役が行った行為に関しては不当労働行為が有ったと認めており、この辺は更に今後調べていく必要がありそうです。

新潟鉄道管理局の労働情報は第二組合を育てるため?
小林議員は、新潟鉄道管理局による、記事は国労を非難するものであり、その反面、第二組合である、新潟地方労組を賞賛する記事ばかりだとして、これが不当労働行為に当たるのではないかと発言しています。
○小林(進)委員 全部読まないで不当労働行為でないなどという、そんな無責任な答弁がありますか。私は川村局長に要求いたしまして、約一年分に近いものを送ってもらいました。今でも私の会館にあります。ここにも若干持って来ております。その情報の中に盛られた記事は何ですか。ほとんどと言っていいほど国鉄労働組合を非難をする文章で盛られておるではありませんか。労働組合の非難の文章ではありませんか。そうして第二組合に非常な好意的な気分を寄せて、それを賞揚し、賛嘆し、それが大きく成長することを祈るような記事をもって毎号埋めておるといっても過言でない。
このような質問に対して、吾孫子説明員(常務理事)は、不当労働行為を行わない、又行わせないように指導していると発言しており、以下のように発言しています。
違法な行為というものを見のがすようなことがあってはならない。また組合員に違法な行為をさせるようなことをさせてはならない。また違法な行為があった場合にはそれに相応した処置をとらなければならぬという趣旨のことは常に話もしております

実際には、冒頭に申し上げたとおり、救済命令が出ていることから、その行為の一部は不当労働行為があったと認めています。もっとも、この申立が行われたのは、昭和35年であり(公労委 昭和35年(不)第10号) で受理されており、国会審議議事録で問題視されている昭和33年から2年後になるわけです。
データーベースの内容から判断するには、駅長・助役等(中間管理職)、職制上の地位にある者の言動や、個別的示唆・説得・非難等は、支配介入(組合の自主性を失わせる行為)に該当するとしています。
駅長および助役が申立組合員に対して、新組合に入れば、昇給のとき心配がなく、組合費も安いので、新組合に入るようになどといって申立組合からの脱退、新組合への加入を勧誘したことは、支配介入に該当する。
その反面、鉄道管理局発行の労働情報に閲覧表をちょう付して操車掛室の閲覧台に置くことや、駅長が新組合の組合員の抜てき昇給の上申を行なったことは、支配介入に該当しない
としており、あくまでも口頭で組合を変われという行為は支配介入で有るが、閲覧表(捺印させることを目的とする)の設置は問題ないとしています。
捺印=意思表示とはならない(心裡留保)という判断かと思慮されます。
それ故に、以下の小林委員の質問で出てくる部分は、実際に助役等が発言していたとすれば問題となりますが、実際にはかなりグレーな発言と言えるのではないかと思慮されます。
○小林(進)委員 強制的に職員に読むことを強要するのは、一体不当労働行為であるかないか、お伺いいたします。
○吾孫子説明員 業務上必要な資料につきましては、職員に読ませるということは、しばしばあるのでございますが、情報というようなものについて強制的に読ませるというようなことはないのではなかろうかというふうに思っております。
少なくとも、労働情報を職員に読ませること事態は不当労働行為とは言えません。
更に小林議員は、以下のような発言をしています、
その駅の駅長が、労働課長が来て労働情報を職員がみんな通覧することを強要して、読んだか読まないかという証拠のために判こを押せというので判こを押させている。押さないと昇給停止とか左遷の原因にされるというので、みんな押している。
下線の部分(筆者注記)は、少なくとも客観的な事実と言うよりも小林委員の意見というようにも見えます。
仮に、昇給停止とか左遷の原因にすると駅長なり助役が話していれば支配介入になりますが、そこまでは明記されていないわけでかなり悪意を持っての発言のようにも見受けられます。
国鉄当局の労務政策は組合との対立の中でどのように推移していったのか?
あくまでも、個人的な見解であることを最初にお断りさせていただくわけであるが、新潟闘争以降の当局の動きは、国労新潟地本(革同系)に対する処分に対するこじれ(双方に譲れなかった)事が最初の原因であり、その後の処理に関しては国労本部に一任すべき所だったのかもしれませんし、自然発生的に生まれた新潟地方労組や、職能別組合などの誕生も当局側は特に介入することなく推移していたならば、また違った展開になっていたかもしれませんが、生まれたばかりの第二組合を育てようという意図から、当局側の支配介入と言える言動が生まれてしまったように見えるのは些か残念に思えます。
なお、この辺の見解はあくまでも私的な見解であり、今後更に他の資料なども参考にしながら傍証を重ねて行く必要があるのは言うまでも有りません。


応援よろしくお願いします。

****************************以下は、本文となります*************************
○小林(進)委員 全部読まないで不当労働行為でないなどという、そんな無責任な答弁がありますか。私は川村局長に要求いたしまして、約一年分に近いものを送ってもらいました。今でも私の会館にあります。ここにも若干持って来ております。その情報の中に盛られた記事は何ですか。ほとんどと言っていいほど国鉄労働組合を非難をする文章で盛られておるではありませんか。労働組合の非難の文章ではありませんか。そうして第二組合に非常な好意的な気分を寄せて、それを賞揚し、賛嘆し、それが大きく成長することを祈るような記事をもって毎号埋めておるといっても過言でない。この記事をあなたが読まれたならば、一体経営者がこのような労働組合を一方で非難し、一方で育成するような記事を当局側の公文書の形で出すということが不当労働行為でないかどうか、一つお伺いいたします。
○吾孫子説明員 実は私一々全部の局の労働情報を読んでおるわけではございませんので、先生のお手元にございます労働情報の中で、どういうことが特に不当労働行為だというふうに仰せられておるのかわからない点もございますが、ただこれはいつも国鉄の当局側といたしまして、下部機関に付して申しておることでございますが、違法な行為というものを見のがすようなことがあってはならない。また組合員に違法な行為をさせるようなことをさせてはならない。また違法な行為があった場合にはそれに相応した処置をとらなければならぬという趣旨のことは常に話もしておりますし、またその趣旨のことは組合側に対してもしばしば警告を発するというようなことは行なっておりますので、そういう意味であるいは組合の行動を批判する、非難するというようなことが載っておる場合もあったかと思いまするが、それ以外にいわゆる不当労働行為と言われるようなことはないように指導をいたしておるつもりでございます。
○小林(進)委員 これがりっぱな不当労働行為であるということは、私はここに最高裁の判例を摘出して持って参りました。その判例の命ずるところは明らかなのです。それはこうです。けれどもこれはあとで読み上げましょう。幾つもありますからあとで読み上げますが、いやしくも労働者を子供のようにかわいいとかなんとか言っている人が、そのような不当にして、毎日の情報で公文書の形で組合を非難攻撃しておるようなものを、その甘っちょろいことで考えておられるからあなた方はだめだと言うのです。とんでもないことだ。
 なお私は申し上げるのでありますが、この情報は労働課長の名前で公文書の形で出されるのでありますから、当然これは監理局内部の管理者だけに見せるものでございましょう。管理者だけにこれは通達をするものと解釈すべきものと存じますが、いかがでございましょうか。
○吾孫子説明員 労働情報というようなものは、これは管理者側の各級の責任者に情報を知らせるということが、もちろんその目的の中に入っておりますが、同時にこれは組合とかなんとかいう関係ではなしに、職員全体に対しても、別にこれを秘匿する必要があるというようなことでもございませんので、職員にも労働関係のいろいろな情報をよく知らせるという意味で、職員が読むことも予想いたしておる次第でございます。
○小林(進)委員 強制的に職員に読むことを強要するのは、一体不当労働行為であるかないか、お伺いいたします。
○吾孫子説明員 業務上必要な資料につきましては、職員に読ませるということは、しばしばあるのでございますが、情報というようなものについて強制的に読ませるというようなことはないのではなかろうかというふうに思っております。
○小林(進)委員 これは信越線のある某駅としておきましょう。しかし御希望があれば具体的な名前を申し上げてもよろしい。その駅の駅長が、労働課長が来て労働情報を職員がみんな通覧することを強要して、読んだか読まないかという証拠のために判こを押せというので判こを押させている。押さないと昇給停止とか左遷の原因にされるというので、みんな押している。この中に盛られている記事は、今も申し上げますように、ほとんど労働組合を非難攻撃する材料で埋まっている。一体どこにこんな管理者がありますか。こういう経営者が一体どこにありますか。これは不当労働行為ではありませんか。
○吾孫子説明員 先ほども申し上げましたように、職員が違法な行為を知らずして犯すというようなことがありますと、総裁も申されましたように、やむを得ずそれに対して処分も、行いたくないものをしなければならぬというような場合も出て参りますので、違法な行為等をやることのないようにという意味で、労働関係のいろいろな情報につきましても、職員に読ませる必要があるというふうに現場の長が考えました場合には、この情報についてはみんなで読むようにということを申す場合もあるかと思います。
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鉄道技術昔話 軌道の話 第2話

2024-05-06 18:18:28 | 寝台列車論
鉄道技術昔話 軌道の話 第2話
今回は、スラブ軌道について解説を試みさせていただきます。
最近は騒音問題などから更に新たな軌道も開発されていますが、一つの歴史として知っていただければ幸いです。#新幹線 #スラブ軌道 #保線 #省力化

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