しばし間が開いてしまいましたが、今回も衆議院 社会労働委員会第3号からの抜粋と言うことで国会議事録をご覧いただこうと思います。
今回も小林議員の質問は続くのですが、今回の質問の趣旨としては、新潟鉄道管理局で発行している労働情報が国労に対しては辛辣な文言で書かれているのに対して、第二組合である、新潟地方労組を賞賛するといった内容になっており、この議事録はもう少し続くものの、公労委 昭和35年(不)第10号 で 不服申立が行われますが、こちらについても昭和37年7月3日で助役が行った行為に関しては不当労働行為が有ったと認めており、この辺は更に今後調べていく必要がありそうです。
新潟鉄道管理局の労働情報は第二組合を育てるため?
小林議員は、新潟鉄道管理局による、記事は国労を非難するものであり、その反面、第二組合である、新潟地方労組を賞賛する記事ばかりだとして、これが不当労働行為に当たるのではないかと発言しています。
○小林(進)委員 全部読まないで不当労働行為でないなどという、そんな無責任な答弁がありますか。私は川村局長に要求いたしまして、約一年分に近いものを送ってもらいました。今でも私の会館にあります。ここにも若干持って来ております。その情報の中に盛られた記事は何ですか。ほとんどと言っていいほど国鉄労働組合を非難をする文章で盛られておるではありませんか。労働組合の非難の文章ではありませんか。そうして第二組合に非常な好意的な気分を寄せて、それを賞揚し、賛嘆し、それが大きく成長することを祈るような記事をもって毎号埋めておるといっても過言でない。
このような質問に対して、吾孫子説明員(常務理事)は、不当労働行為を行わない、又行わせないように指導していると発言しており、以下のように発言しています。
違法な行為というものを見のがすようなことがあってはならない。また組合員に違法な行為をさせるようなことをさせてはならない。また違法な行為があった場合にはそれに相応した処置をとらなければならぬという趣旨のことは常に話もしております
実際には、冒頭に申し上げたとおり、救済命令が出ていることから、その行為の一部は不当労働行為があったと認めています。もっとも、この申立が行われたのは、昭和35年であり(公労委 昭和35年(不)第10号) で受理されており、国会審議議事録で問題視されている昭和33年から2年後になるわけです。
データーベースの内容から判断するには、駅長・助役等(中間管理職)、職制上の地位にある者の言動や、個別的示唆・説得・非難等は、支配介入(組合の自主性を失わせる行為)に該当するとしています。
駅長および助役が申立組合員に対して、新組合に入れば、昇給のとき心配がなく、組合費も安いので、新組合に入るようになどといって申立組合からの脱退、新組合への加入を勧誘したことは、支配介入に該当する。
その反面、鉄道管理局発行の労働情報に閲覧表をちょう付して操車掛室の閲覧台に置くことや、駅長が新組合の組合員の抜てき昇給の上申を行なったことは、支配介入に該当しない
としており、あくまでも口頭で組合を変われという行為は支配介入で有るが、閲覧表(捺印させることを目的とする)の設置は問題ないとしています。
捺印=意思表示とはならない(心裡留保)という判断かと思慮されます。
それ故に、以下の小林委員の質問で出てくる部分は、実際に助役等が発言していたとすれば問題となりますが、実際にはかなりグレーな発言と言えるのではないかと思慮されます。
○小林(進)委員 強制的に職員に読むことを強要するのは、一体不当労働行為であるかないか、お伺いいたします。
○吾孫子説明員 業務上必要な資料につきましては、職員に読ませるということは、しばしばあるのでございますが、情報というようなものについて強制的に読ませるというようなことはないのではなかろうかというふうに思っております。
少なくとも、労働情報を職員に読ませること事態は不当労働行為とは言えません。
更に小林議員は、以下のような発言をしています、
その駅の駅長が、労働課長が来て労働情報を職員がみんな通覧することを強要して、読んだか読まないかという証拠のために判こを押せというので判こを押させている。押さないと昇給停止とか左遷の原因にされるというので、みんな押している。
下線の部分(筆者注記)は、少なくとも客観的な事実と言うよりも小林委員の意見というようにも見えます。
仮に、昇給停止とか左遷の原因にすると駅長なり助役が話していれば支配介入になりますが、そこまでは明記されていないわけでかなり悪意を持っての発言のようにも見受けられます。
国鉄当局の労務政策は組合との対立の中でどのように推移していったのか?
あくまでも、個人的な見解であることを最初にお断りさせていただくわけであるが、新潟闘争以降の当局の動きは、国労新潟地本(革同系)に対する処分に対するこじれ(双方に譲れなかった)事が最初の原因であり、その後の処理に関しては国労本部に一任すべき所だったのかもしれませんし、自然発生的に生まれた新潟地方労組や、職能別組合などの誕生も当局側は特に介入することなく推移していたならば、また違った展開になっていたかもしれませんが、生まれたばかりの第二組合を育てようという意図から、当局側の支配介入と言える言動が生まれてしまったように見えるのは些か残念に思えます。
なお、この辺の見解はあくまでも私的な見解であり、今後更に他の資料なども参考にしながら傍証を重ねて行く必要があるのは言うまでも有りません。
衆議院議員石田宥全君提出国鉄労働組合新潟地方本部管内の不当労働行為の実態に関する質問に対する答弁書
応援よろしくお願いします。
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○小林(進)委員 全部読まないで不当労働行為でないなどという、そんな無責任な答弁がありますか。私は川村局長に要求いたしまして、約一年分に近いものを送ってもらいました。今でも私の会館にあります。ここにも若干持って来ております。その情報の中に盛られた記事は何ですか。ほとんどと言っていいほど国鉄労働組合を非難をする文章で盛られておるではありませんか。労働組合の非難の文章ではありませんか。そうして第二組合に非常な好意的な気分を寄せて、それを賞揚し、賛嘆し、それが大きく成長することを祈るような記事をもって毎号埋めておるといっても過言でない。この記事をあなたが読まれたならば、一体経営者がこのような労働組合を一方で非難し、一方で育成するような記事を当局側の公文書の形で出すということが不当労働行為でないかどうか、一つお伺いいたします。
○吾孫子説明員 実は私一々全部の局の労働情報を読んでおるわけではございませんので、先生のお手元にございます労働情報の中で、どういうことが特に不当労働行為だというふうに仰せられておるのかわからない点もございますが、ただこれはいつも国鉄の当局側といたしまして、下部機関に付して申しておることでございますが、違法な行為というものを見のがすようなことがあってはならない。また組合員に違法な行為をさせるようなことをさせてはならない。また違法な行為があった場合にはそれに相応した処置をとらなければならぬという趣旨のことは常に話もしておりますし、またその趣旨のことは組合側に対してもしばしば警告を発するというようなことは行なっておりますので、そういう意味であるいは組合の行動を批判する、非難するというようなことが載っておる場合もあったかと思いまするが、それ以外にいわゆる不当労働行為と言われるようなことはないように指導をいたしておるつもりでございます。
○小林(進)委員 これがりっぱな不当労働行為であるということは、私はここに最高裁の判例を摘出して持って参りました。その判例の命ずるところは明らかなのです。それはこうです。けれどもこれはあとで読み上げましょう。幾つもありますからあとで読み上げますが、いやしくも労働者を子供のようにかわいいとかなんとか言っている人が、そのような不当にして、毎日の情報で公文書の形で組合を非難攻撃しておるようなものを、その甘っちょろいことで考えておられるからあなた方はだめだと言うのです。とんでもないことだ。
なお私は申し上げるのでありますが、この情報は労働課長の名前で公文書の形で出されるのでありますから、当然これは監理局内部の管理者だけに見せるものでございましょう。管理者だけにこれは通達をするものと解釈すべきものと存じますが、いかがでございましょうか。
○吾孫子説明員 労働情報というようなものは、これは管理者側の各級の責任者に情報を知らせるということが、もちろんその目的の中に入っておりますが、同時にこれは組合とかなんとかいう関係ではなしに、職員全体に対しても、別にこれを秘匿する必要があるというようなことでもございませんので、職員にも労働関係のいろいろな情報をよく知らせるという意味で、職員が読むことも予想いたしておる次第でございます。
○小林(進)委員 強制的に職員に読むことを強要するのは、一体不当労働行為であるかないか、お伺いいたします。
○吾孫子説明員 業務上必要な資料につきましては、職員に読ませるということは、しばしばあるのでございますが、情報というようなものについて強制的に読ませるというようなことはないのではなかろうかというふうに思っております。
○小林(進)委員 これは信越線のある某駅としておきましょう。しかし御希望があれば具体的な名前を申し上げてもよろしい。その駅の駅長が、労働課長が来て労働情報を職員がみんな通覧することを強要して、読んだか読まないかという証拠のために判こを押せというので判こを押させている。押さないと昇給停止とか左遷の原因にされるというので、みんな押している。この中に盛られている記事は、今も申し上げますように、ほとんど労働組合を非難攻撃する材料で埋まっている。一体どこにこんな管理者がありますか。こういう経営者が一体どこにありますか。これは不当労働行為ではありませんか。
○吾孫子説明員 先ほども申し上げましたように、職員が違法な行為を知らずして犯すというようなことがありますと、総裁も申されましたように、やむを得ずそれに対して処分も、行いたくないものをしなければならぬというような場合も出て参りますので、違法な行為等をやることのないようにという意味で、労働関係のいろいろな情報につきましても、職員に読ませる必要があるというふうに現場の長が考えました場合には、この情報についてはみんなで読むようにということを申す場合もあるかと思います。