国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

第59回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号 昭和43年9月9日 第一話

2024-12-19 19:43:45 | 国鉄関連_国会審議
はじめに、当時の国労と動労の関係を整理しておくと

本日から、衆議院社会労働委員会の議事録を参照していきます。
社会労働委員会は主に労働運動など社会事象に対する委員会であり、国労・動労の共同歩調によるストライキについて質問がなされることとなります。
国労自身は、機関助士反対闘争に関してはどちらかと言えば静観しており、むしろこれを機会に国労に引き込もうとしていた時期でもありました。
実際、電車運転士は国労が伝統的に多かったこともあり、機関車から転換教育で電車運転士になった組員に対して、その浸透を図っていた可能性は考えられます。
また、動労が革マル幹部であった松崎明氏を中心とした、青年部が力を付け、元々左派的傾向の強かった、政研派は、反戦青年良い会のメンバーで有り、革マル派幹部である松崎氏と近づくこととなりました。
政研派は、革マルを容認し。国労はむしろ排除する方向に動いたため、国労内では、革マル派や革同系などは主流派になり得なかったのに対して、動労はこの時期から一気に左傾化していくこととなり、それまでの主流派であった、機同志会(後の労運研)はやがて主役の座から退場することとなったわけで、必ずしもその後のマル生反対運動の頃と比べれば一枚岩ではありませんでしたが、国労も反合理化という点では動労と利害が一致することから、共同歩調を取ってストライキをおこなっていたのでした。
 動労と国労が結託して、ストライキを実施することについての懸念
これを見ると判ると思うのですが、反戦青年委員会メンバーである、松崎明らが率いる革マルメンバー並びに、左派系の政権派がその力を付けていくことで、思い切った方向を切るようになったと言えます。
更に、国労も前年に獲得した現場協議制を得たことから、組合としてもその力を付けたとして、大きな勝負に出たように思えます。
○後藤委員 まず最初に、国鉄のほうへお尋ねいたしたいと思います。
 新聞の報道なり、その他の情報によりますと、十二日の零時から十二時間のストライキが行なわれる。しかも、全国全地域にわたって、動労、国労同一歩調というような形で行なわれるやに聞いております。
 特に五月、六月でございますか、その当時には、国鉄といたしましても、いろいろな多くの事故がございました。国鉄の職員はたるんでおるんではないか、あるいは施設なり機器等の問題につきましても、かなり新聞等でもきびしく批判をいたしておったのは、御承知のとおりだと思います。
 そこで、国鉄輸送は安全が第一だと思います。安全に、しかも敏速に、しかも正確に、これはもう国鉄始まって以来の中心であろうと考えておる次第でございますが、いま申し上げましたこの十二日からの闘争については、五万人合理化の反対の闘争である。特に十月のダイヤ改正に伴って、その中でも中心課題になっておりますのは機関助士の廃止、さらに電修場の廃止、その他かなり問題、要求はあろうと思いますが、それらが中心に行なわれるように私聞いておりますが、国鉄労働組合なり、動力車労働組合としまして、いままで二時間なり四時間、こういうようなストライキは過去にもあったと思います。しかしながら、今回計画されておる内容について検討いたしてみますると、十二時間、半日にわたります。これは私非常に重大なる問題であろうと思いますし、しかも両組合が、いかに重大なる決意のもとに、これほど高い、いわば重い闘争を仕組んでおるかというような点につきましても、たいへんなことだと考えておるような次第でございます。

以下は、参考事項として、弊サイト国鉄があった時代から、ストライキ前後の組合の動きを引用させていただきます。
これを見ると判るのですが、9月9日以降、断続的にストライキが行われていたことが窺えます。

国労(第2波)・動労(第6次)始業時から、デイーゼル・電気機関車の1人乗務化反対を掲げる、全国一斉順法闘争に突入 9/9~9/12
国労・動労による10月時刻改正、1人乗務化反対闘争による第2波で、国労は全国の駅、車掌区、客貨車区、運転所、機関区、工場など 114カ所で順法闘争
電修場の廃止計画に反対し、全国の電修場に働く国鉄労組組合員代表20人、家族代表50人が本社と集団交渉 9/9 
国労、動労、3時間から4時間の時限ストに突入。列車ダイヤ混乱 9/12
時限ストを前にして、労使の交渉は続けられたが、予定通り、全国33拠点が、午前零時から名古屋、 米原など11拠点で1、2時間から4時間の時限ストに突入、、ダイヤの混乱は正午すぎまで続いた
動労は、反合理化闘争第4波と位置づけ  ATS闘争、緩慢作業、入出庫闘争、休暇闘争で始まり、東海道、東北、山陽、山陰、北陸、等全国主要幹線とこれに接続するローカル線で、特急・急行列車の運休、遅延が続出。特に東京等大都市の通勤通学客輸送に大きな混乱
国労3機関区、動労4地本で合理化反対12時間スト 9/12 
国労(第3波)動労(第7次)闘争はじまる 9/17~9/20
      第3波闘争の最終日である20日には、全国約60拠点で4時間から12時間の時限ストに突入、社会党成田元書記長、岩井総評事務局長と磯崎副総裁、井上常務理事の四者会談をきっかけに、労使間の交渉で最も難航を続けた「EL・DL1人乗務問題_は、検討期間を含めて第三者機関に一任することで一応の了解点に達し,国労は20日午前6時30分、動労は7時にスト解除指令を出した
しかし、17日からの慢性的ダイヤマヒ状態で、午前10時頃まで混乱が続いた
国労、国鉄の5万人合理化計画に反対し18日の動労に続き国電区間でATSの順法闘争に入る 9/19国労国労28拠点、動労34拠点時限ストに突入したが、EL・DL問題(機関助士廃止問題)で了解点に達し、午前6時~8時中止された 9/20 
組合がこのような大きなストライキをする原因はどこにあるのか?
今回最初に質問に立つのは、社会党、後藤俊男衆議院議員
氏は、元国鉄職員で鉄道省に入省し米原機関区勤務を経て呉海兵団に入団、戦後復職し国労の役員などを経て、昭和42年1月の衆議院選挙で当選ですので、質問に立っていたときは一期目と言うことになります。
さて、ここで以下のように組合が12時間という長時間のストを構える背景はなにかと言う視点で質問がなされていますが、それは国鉄の抱えている問題としての機関助士反対闘争であり、合理化問題に関しての質問であるわけですが、これに対し、井上常務理事としては、現在の国鉄の置かれている環境などを考慮すれば、特に機関助士廃止に関しては撤回は出来ないこと。
更には、安全という点では一人乗務の方が実は事故件数が少ないと言った点を上げています。
実際に、近郊区間の電車などは戦前から、一人乗務であるわけで、蒸気機関車はその性格上2人乗務が必須であっったこと等を考慮すれば電気機関車やディーゼル機関車の2人乗務はあまり意味がないと成るわけですが、動労としては機関助士の処遇もありましたので、これに強く反対することとなり、特に左派的傾向の強い政研派が、革マル幹部である松崎明らの反戦青年委員会メンバーを取り込んでくことで、より過激な方向に進んでいったわけであり、この時点では、国労の規模感に動労は乗っかり、国労は反合理化闘争に対し、動労の強力な闘争に乗っかることで双方にメリットがあると考えたのではないかと思えます。
なお、この辺は更に今後たの資料なども参照しながら更に深度化していきたいと考えております。


応援よろしくお願いします。

***************************以下は、国会審議議事録になります*********************
昭和四十三年九月九日(月曜日)
    午前十一時十一分開議
 出席委員
   委員長 八田 貞義君
   理事 田川 誠一君 理事 橋本龍太郎君
   理事 藤本 孝雄君 理事 河野  正君
   理事 田邊  誠君 理事 田畑 金光君
      大坪 保雄君    齋藤 邦吉君
      中野 四郎君   三ツ林弥太郎君
      枝村 要作君    加藤 万吉君
      後藤 俊男君    西風  勲君
      平等 文成君    八木 一男君
      山本 政弘君    本島百合子君
      大橋 敏雄君    谷口善太郎君
      關谷 勝利君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 園田  直君
        運 輸 大 臣 中曽根康弘君
 委員外の出席者
        法務省民事局第
        四課長     田邊  明君
        厚生省援護局長 実本 博次君
        農林省農地局参
        事官      井元 光一君
        運輸省鉄道監督
        局長      町田  直君
        労働省労政局長 松永 正男君
        労働省労働基準
        局長      村上 茂利君
        会計検査院事務
        総局第五局長  小熊 孝次君
        日本国有鉄道常
        務理事     井上 邦之君
        専  門  員 安中 忠雄君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件
     ────◇─────
○八田委員長 これより会議を開きます。
 厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。後藤俊男君。
○後藤委員 まず最初に、国鉄のほうへお尋ねいたしたいと思います。
 新聞の報道なり、その他の情報によりますと、十二日の零時から十二時間のストライキが行なわれる。しかも、全国全地域にわたって、動労、国労同一歩調というような形で行なわれるやに聞いております。
 特に五月、六月でございますか、その当時には、国鉄といたしましても、いろいろな多くの事故がございました。国鉄の職員はたるんでおるんではないか、あるいは施設なり機器等の問題につきましても、かなり新聞等でもきびしく批判をいたしておったのは、御承知のとおりだと思います。
 そこで、国鉄輸送は安全が第一だと思います。安全に、しかも敏速に、しかも正確に、これはもう国鉄始まって以来の中心であろうと考えておる次第でございますが、いま申し上げましたこの十二日からの闘争については、五万人合理化の反対の闘争である。特に十月のダイヤ改正に伴って、その中でも中心課題になっておりますのは機関助士の廃止、さらに電修場の廃止、その他かなり問題、要求はあろうと思いますが、それらが中心に行なわれるように私聞いておりますが、国鉄労働組合なり、動力車労働組合としまして、いままで二時間なり四時間、こういうようなストライキは過去にもあったと思います。しかしながら、今回計画されておる内容について検討いたしてみますると、十二時間、半日にわたります。これは私非常に重大なる問題であろうと思いますし、しかも両組合が、いかに重大なる決意のもとに、これほど高い、いわば重い闘争を仕組んでおるかというような点につきましても、たいへんなことだと考えておるような次第でございます。
 そこで、まず第一番にお尋ねいたしたいのは、国鉄労働組合なり、動力車労働組合、両組合とも組合員の生活と権利を守るということは、これはもう当然のことでございますが、それと並行する以上に、まず安全輸送が大事だ、安全を守らなければいけない、これが第一番になっておると思います。
 さらに、国鉄当局、管理者のほうといたしましても、国鉄輸送はまず第一番には安全だ、最近起こったいろいろな事故から考えてみましても、安全輸送が第一番だ、動労、国労、管理者ともに安全が第一番である、こういうことを叫んでおるにもかかわらず、十二日の零時からこういうふうな大きな闘争が行なわれる。行なわなければいけないというような情勢をかもし出すところの原因は、一体どこにあるのだろうか。こういうふうな情勢になってきた原因は、一体どこにあるのだろうか。組合も安全だ、管理者も安全、ともに安全を願いながら、おそらく数限りないほど団体交渉が行なわれておると私は考えておる次第でございますけれども、それにもかかわらず、いまだかつてないほど重い、しかも広範囲であり、しかも、これが決行されるとするならば、国鉄のほとんどのダイヤが全部麻痺してしまう、しかも半日間にわたる、こういうふうな情勢をかもし出す原因は、一体いずこにあるのだろうか。この点につきまして、その内容あるいは現在の情勢等も、詳しく国鉄当局としては御承知であろうと思いますので、いま申し上げました点について、ひとつ御説明をいただきたいと思う次第でございます。
○井上説明員 ただいま先生御説のとおり、国鉄当局といたしましても、国鉄の輸送の安全ということは、まず第一義的に考えておるところでございます。サービス以前の問題である、あるいは根本的なサービスの問題であるというふうに考えておる次第でありまして、いかなる場合にも、この安全ということをないがしろにするということは考えておりません。  現在、いわゆる近代化、合理化計画のもとに、昨年の三月以来、組合と団体交渉を重ねております。経過を申し上げますと、昨年の三月、私のほうから提案いたしました項目は、概括いたしまして申し上げれば、十五項目ございます。十五項目のうちに、去年の暮れ、ことしの三月の段階を経まして、十四項目は本社、本部間では話がつきました。残る一項目だけが、いわゆる電気機関車、ディーゼル機関車の一人乗務の問題でございます。その問題と、新たにこの春提案いたしました近代化の数項目、四項目か五項目ございますが、その項目を加えました問題についてただいま団体交渉をやっておるという段階でございます。  問題の中心は、先生もお述べになりましたように、やはり電気機関車、ディーゼル機関車の一人乗務の問題でございます。この問題が一番輸送の安全にかかわる問題であるということで、組合側もこの安全の点で非常に議論をしてまいりました。私どものほうでも、一人乗務の問題は、少なくとも現在以上に安全度を脅かすものではないということで団体交渉をやってまいりました。組合側は、二人乗っておる者を一人にすればあぶない、こういう主張をするのでございますけれども、私どものほうの実際の統計の数字を見ましても、いままでに二人乗務と一人乗務とは、実際に電車、ディーゼルカーについては実施いたしておるのでございます。電車、ディーゼルカーについては、全体の約八割が一人乗務になっております、二割が二人乗務になっております。で、二人乗務の場合と一人乗務の場合の事故の発生率を見ますと、ごくわずかではありますけれども、一人乗務のほうが事故の発生率は少ないのでございます。こういうところから申しましても、私どもは、一人乗務のほうが安全だとは言いません、二人よりも安全だとは言いません、しかしながら、二人と一人の問題では、問題は安全度に関する限りは関係はない問題である、少なくとも安全度に関する限りは同じであるということを主張いたしておるのでありますが、国鉄が現在置かれておる状態からいたしますれば、近代化、合理化というものは当然やっていかなければならない。その場合に、安全度において同じであるならば、二人乗っておることは無意味である、これは一人にすべきである、こういう主張を重ねてまいりましたが、まだまだ組合側の十分な納得を得るに至らず今日に至っておるわけであります。  先生お述べになりましたとおりに、来たる十二日にかなり大規模の闘争を計画いたしておるのでございますけれども、これはまだまだ時間もございますので、十分団体交渉を重ね、また組合を説得いたしまして、できるだけ国民の皆さまに御迷惑のかからないようにということは、われわれとしても心がけてまいりたいと思っておるところでございます。  ただ、しかしながら組合の闘争を実際にやめさせるということになりますと、二つの方法しかないわけでございます。  一つは実力をもって組合の闘争を当局が阻止するというのが一つの道、これは実際問題といたしまして、管理者の数は全体の一割しかございませんので、全体の一割の管理者の数をもって、実力をもって組合がやろうとする争議行為を阻止するということは実際上できません。  もう一つは、それでは当局の提案を撤回すれば、組合は争議行為はやらないと思いますけれども、当局の提案を撤回するということは——現在置かれておる国鉄の現状からして、合理化、近代化計画、これを進めねばならぬというのは第一義的に考えておるところでございますけれども、その近代化、合理化を撤回するということは、われわれとしてもできないことでございます。あと残る道は十分組合側を説得して、争議行為にならないようにわれわれも努力する。ただ努力するということしか現段階では申し上げられない、かような状態でございます。

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