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映画『エルヴィス』を鑑賞して思うこと

週末、映画『エルヴィス』を観てきた。あのエルヴィス・プレスリーの伝記映画として大きな話題を呼んでいるので、公開を楽しみにしていた。言わずと知れた世界史上最も売れたソロアーティストで、『キング』とか、『キング・オブ・ロック』と呼ばれた国民的な英雄プレスリーの光と影にスポットを当てた映画である。

 

 

思えばエルヴィス・プレスリーは僕もリアルタイムで聴いていた世代ではない。しかし、父親が昔『Elvis’ Golden Records』というベストアルバムのレコードを持っていて、それを幼い頃に聴いたことで初めて知ったような気がする。ビートルズも同じく父親が持っていたレコードから始まったことを考えると、やっぱり音楽もダウンロードではなく、レコードやCDを通じて、家族の繋がりもあった時代を思い出すとちょっと懐かしい。

 

 

そして、今回の映画をきっかけにプレスリーの曲を久々に聴き直してみたが、やっぱりさすがに大ヒット曲が多く、どの曲を聴いても素晴らしいクオリティで、幼少の頃の遠い記憶を思い出してしまって、何だか懐かしくなってしまった。

 

 

 

まずは映画『エルヴィス』だが、まずまず面白い映画であった。ある程度知っているつもりだったが、実際彼の人生を見てみるとかなり知らないことも多かったことを思い知らされた。エルヴィスを演じたオースティン・バトラーも、トム・パーカー大佐を演じたトム・ハンクスも特殊メイクで、かなり太ったパーカー大佐を熱演している。アメリカの国民的な英雄、エルヴィス・プレスリーというだけで、アメリカでは大ヒット間違いないだろう。

 

しかし、個人的に欲を言えば、もう少しエルヴィスのヒット曲をじっくり聴かせるシーンを増やしてほしかった。物語の進行重視だからか、熱唱するシーンが意外にも断片的で物足りなかったような気がするのは僕だけだろうか。

 

 

そして今回エルヴィスを観ながら思ったことがある。エルヴィスは1935年に産まれて、1977年に42歳という若さで亡くなった。時代的に、プレスリーは僕の崇拝するブルース・リー師匠(1940年産まれ、1973年死去)とまさに同じ時代を生きていたのだ。ブルース・リーは、当時米国内でのアジア人に対する差別と闘いながら、世界におけるアジア人の地位向上に貢献した。またアメリカ人にクンフーを教えることが御法度であった時代で、様々な抵抗と闘っていた。一方でメンフィスで育ったプレスリーも、黒人音楽を白人社会に取り入れるという御法度にチャレンジしながら、偏見との闘いに挑んだパイオニアとも言える。その意味で、抵抗勢力と闘いながら時代を大きく変えて、人生を生き急いだ天才という点、そして最終的には世界的に名を残したアイコン、若くして亡くなって伝説となっていった生い立ちもかなりの共通点があると言える。

 

 

二人が会うことは無かったが、もし『燃えよドラゴン』の世界的ヒットの後、ブルース・リーがまだ生きていれば、空手をやっていたプレスリーと、こんな感じで面会出来たチャンスもあったかもしれない(これはフェイク写真)。

 

 

そしてもう一人、プレスリーを考える時に連想してしまうのが石原裕次郎。裕次郎も1934年産まれなので、プレスリーとほぼ同じ年。裕次郎も若くして亡くなったが、プレスリーよりは長く生きて、亡くなったのは52歳となった1987年。プレスリーも裕次郎も若い頃はかなりイケメンであったが、実はよく見てみると二人とも本当の意味でのイケメンというよりは、どこかスターとしてのオーラや独特な雰囲気を持つ存在であったのだと思う。二人とも歌手と俳優として活躍し、誰もが憧れる時代のスターであった。そして奇遇にも二人とも晩年はかなり太ってしまったのも共通している。結局、プレスリーは生前日本に来日することは無かったが、実は裕次郎がアメリカを訪れた際、プレスリー映画の撮影現場を訪れ、なんとプレスリーと面会しているのだ。裕次郎178cm、プレスリー180cm。プレスリーに一歩も引けを取らないオーラはさすがである。

 

 

僕の崇拝するブルース・リー、そして大好きな俳優であった石原裕次郎。この2人にも多くの共通点を持つブレスリーはまさにアメリカを代表するスターであったということを、今回の映画『エルヴィス』を観ながら、あれこれと思いを馳せてしまった。

 

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