8月10日
中学3年になった春、もう亡くなった祖母にギターを買ってもらった。
嬉しくて毎日触って過ごした。ドレミ………の音階しか弾けなくても、その繰り返しだけで、新しい世界が響いていた。
その秋には、校長の意向で「学習発表会」と名前が変わった文化祭に即席のバンドで出演し、高校ではふたつのバンドを掛け持ちした。
あれから何年たっただろう。
いまだにギターはうまくならないが、左手の小指は太く、長くなった。
何度も運指を練習しているうちに、左手の小指が鍛えられてしまったらしい。
時々、左手と右手で小指を比べてみる。
たとえば、失敗したとき、へこんだとき、辛くしんどいとき、自分がどうしようもなく無力だと感じたとき。
こんなオレでも、努力すれば自分を変えられる、そんなしるし。
ちっぽけな小指が、勇気をくれるときがある。
だから。
ミスしても、
試合に負けても、
敵に打ちのめされても、
きっとキミにはキミの「左手の小指」があるはずだ。
だから。
胸を張って、また前を向けばいい。
……………と、オリンピックを見ながら思ったのでした。
中学3年になった春、もう亡くなった祖母にギターを買ってもらった。
嬉しくて毎日触って過ごした。ドレミ………の音階しか弾けなくても、その繰り返しだけで、新しい世界が響いていた。
その秋には、校長の意向で「学習発表会」と名前が変わった文化祭に即席のバンドで出演し、高校ではふたつのバンドを掛け持ちした。
あれから何年たっただろう。
いまだにギターはうまくならないが、左手の小指は太く、長くなった。
何度も運指を練習しているうちに、左手の小指が鍛えられてしまったらしい。
時々、左手と右手で小指を比べてみる。
たとえば、失敗したとき、へこんだとき、辛くしんどいとき、自分がどうしようもなく無力だと感じたとき。
こんなオレでも、努力すれば自分を変えられる、そんなしるし。
ちっぽけな小指が、勇気をくれるときがある。
だから。
ミスしても、
試合に負けても、
敵に打ちのめされても、
きっとキミにはキミの「左手の小指」があるはずだ。
だから。
胸を張って、また前を向けばいい。
……………と、オリンピックを見ながら思ったのでした。