臭い、汚い、傷んだ本が9冊僕の部屋にやってきた。本当ならこのシリーズは12冊あるはずなのだがなぜか3冊はない。これらの本はいちばん若くて1946年生まれ。僕の生まれる数年前に発行されたもので、中には初版のものもある。
表紙の裏(表二)の地図には買った人のサインが確認できる。60数年間英国、W.D.氏の本棚で眠っていたもの(たぶん)をロンドンの叔父が古書店から購入し、今回訪日したとき持ってきてくれた。
これだけ時間がたつと本というものは軽くなるのか、見た目ほど重くないのにちょっとびっくりした。本来この本は、カバーがかかっているのだが、そんな形跡はまったくない。ぱらぱらとページを繰ると古い本の匂いというか、英国の古い家の匂いというか、臭い!その臭いのがいい。この匂いをかぎながら目をつむるとあの石造りの英国のシッティングルームが眼に浮かぶ。と言っても、僕の場合は田舎のB&Bのだが。
そしてどうしてこの持ち主はこの本を売りに出したのだろう。あと3冊はどこへいったのだろう。持ち主が亡くなって息子があまりに汚いので売りに出したのか。この本たちの過去で大いに楽しんだ。
本文中の挿絵に色鉛筆で彩色されているものもあった。
この本たち、こんな遠くまで来るとは思ってもいなかっただろうな。