NOBUの独り言日記

暇にまかせて、つまらないことを呟いています。

文学の力

2023-03-16 15:38:48 | 日記

大江健三郎が死んだ。

 

「日本近代文学の、一つの終焉かもしれない」と文芸評論家の尾崎真理子氏は述べている。確かにそうかもしれない。

 

それとともに、仏文学者の松浦寿輝氏が追悼文の中で書いていた一文が気になった。「文学作品が若者の思想や感受性を力強く牽引していた『時代』がかってはたしかに在ったのだ」という一文だ。

 

自分の若き頃、文学はたしかに強さをもっていた。文学がある意味で人を変え、世界を変えうるのではないかと思える時期があった。

 

しかし、残念ながら今の文学にその力はない。時代が変わったせいもあろうが、芥川賞に代表される「いわゆる文学」には失望している。こんなことを書くと、時代錯誤、女性蔑視と言われるだろうが、昨今の「いわゆる文学」は「女子供の文学」になってしまった。読んでみても「なるほど」と思うだけで終わってしまう。「あなたの理解力がない、時代遅れ」と言われればそれまでだが、なんとも寂しい時代である。

 

もちろん、すべての小説がそうだとは思わない。「いわゆる文学」ではない小説には、いいものもある。米軍統治下の沖縄を描いた新藤順丈の「宝島」(2018年刊行)などはまさにその一冊であると思う。