21世紀新訳・仏教経典(抄)

西川隆範編訳・桝田英伸監修

この世の由来-世記経   ~地獄 その12 〈八大地獄・6 焼炙地獄〉

2012-04-29 19:55:08 | 経典
焼炙地獄(しょうしゃじごく)】(焦熱地獄・しょうねつじごく)

仏陀は比丘たちに語り続ける。

「第六の大地獄「焼炙地獄」の周囲もまた、十六の小地獄が取り囲んでいる。
「焼炙地獄」も十六の小地獄も、どれもが500ヨージャナ(約3500km)四方の広さである。

第六の大地獄はどうして「焼炙地獄」というのか。


この地獄にたどり着いた罪人は
すぐに数人の獄卒に捕らえられ、鉄の城の中に閉じ込められる。
城は内も外も真っ赤に燃えている。
炎に炙(あぶ)られて、罪人の皮は焼け、肉はただれる。

苦しみ痛みと辛酸の毒は万倍にもなるが、罪の罪の償いが終わらないので死ぬことも出来ない。
罪人はその身をあますところなく“焼かれ、炙られる”ので、「焼炙地獄」と呼ばれる。


また次に、この地獄にたどり着いた罪人は
すぐに数人の獄卒に捕らえられ、鉄の小屋の中に押し込められる。
小屋は内も外も真っ赤に燃えている。
炎に炙(あぶ)られて、罪人の皮は焼け、肉はただれる。

苦しみ痛みと辛酸の毒は万倍にもなるが、罪の罪の償いが終わらないので死ぬことも出来ない。
罪人はその身をあますところなく“焼かれ、炙られる”ので、「焼炙地獄」と呼ばれる。


また次に、この地獄にたどり着いた罪人は
すぐに数人の獄卒に捕らえられ、鉄の塔の上に幽閉される。
塔は内も外も真っ赤に燃えている。
炎に炙(あぶ)られて、罪人の皮は焼け、肉はただれる。

苦しみ痛みと辛酸の毒は万倍にもなるが、罪の罪の償いが終わらないので死ぬことも出来ない。
罪人はその身をあますところなく“焼かれ、炙られる”ので、「焼炙地獄」と呼ばれる。


また次に、この地獄にたどり着いた罪人は
すぐに数人の獄卒に捕らえられ、鉄の器の中に投げ入れられる。
器は内も外も真っ赤に燃えている。
炎に炙(あぶ)られて、罪人の皮は焼け、肉はただれる。

苦しみ痛みと辛酸の毒は万倍にもなるが、罪の罪の償いが終わらないので死ぬことも出来ない。
罪人はその身をあますところなく“焼かれ、炙られる”ので、「焼炙地獄」と呼ばれる。


また次に、この地獄にたどり着いた罪人は
すぐに数人の獄卒に捕らえられ、大きな鍋の中に放り込まれる。
鍋は内も外も真っ赤に燃えている。
炎に炙(あぶ)られて、罪人の皮は焼け、肉はただれる。

苦しみ痛みと辛酸の毒は万倍にもなるが、罪の罪の償いが終わらないので死ぬことも出来ない。
罪人はその身をあますところなく“焼かれ、炙られる”ので、「焼炙地獄」と呼ばれる。


罪人は、永らく苦しみを受けた後に、「焼炙地獄」を出る。
しかし
この地獄に恐れをなして救いを求めて走り出しても、
その宿業に引かれて「黒沙地獄」以下の十六の小地獄にたどり着いてしまう。
その小地獄で罪の償いを終えてから、ようやく死ぬことが出来るのだ」


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