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21世紀新訳・仏教経典(抄)

西川隆範編訳・桝田英伸監修

この世の由来-世記経   ~地獄 その7 〈十六小地獄・12~16〉

2012-03-25 19:04:11 | 経典
第十二小地獄「鉄の球」

ある者は、宿罪に引かれていつのまにか「鉄丸(てつがん)地獄」にいる。
この地獄も広さ500ヨージャナ(約3500km)四方。

見渡す限り、
真っ赤に熱せられた鉄の球が大小、ひしめいている。

ふいに地獄の鬼が走って来る。
そして、罪人の手や足に〈鉄の球〉を乗せるのだ。
とたんに体が燃え上がり、
苦痛と悲鳴が万倍にもなる。

しかし、
罪の償いが終わらないので死ぬことも出来ない。


永らく苦しみを受けた後に、「鉄丸地獄」を出る。



第十三小地獄「鉄斧」

ある者は、宿罪に引かれていつのまにか「鉄斧地獄」にいる。
この地獄も広さ500ヨージャナ四方。

突然、
目を怒らせた獄卒がやって来て罪人を捕まえ、
殴り飛ばして熱い鉄板の上に寝かせられる。
そして、
熱せられた鉄の斧で罪人の手足を切り落とす。
さらには耳を削ぎ、鼻を削ぎ、そして体中を切り刻んでゆく。

苦しみの毒と辛酸に、泣き叫び、わめきちらすも、
罪の償いが終わらないので死ぬことも出来ない。


永らく苦しみを受けた後に、「鉄斧地獄」を出る。



第十四小地獄「豺(やまいぬ)と狼」

ある者は、宿罪に引かれていつのまにか「豺狼(さいろう)地獄」にいる。
この地獄も広さ500ヨージャナ四方。

罪人がこの地獄に迷い込むのを見るや否や、
〈山犬や狼たちの群れ〉が競って走り来る。
そしてあっという間に罪人を取り囲み、
噛みついては引きずり、
食らいついては引き回す。

みるみる肉は食い千切られ、
骨までも噛み砕かれる。
血は噴き出、膿も流れ続ける。

辛酸と苦しみの毒に泣き叫び続けるも、
罪の償いが終わらないので死ぬことも出来ない。


永らく苦しみを受けた後に、「豺狼(さいろう)地獄」を出る。



第十五小地獄「剣の樹」

ある者は、宿罪に引かれていつのまにか「剣の樹地獄」にいる。
この地獄も広さ500ヨージャナ四方。

罪人は、いつの間にか〈剣樹の林〉の中にいる。
突然、
大暴風が吹き荒れ、“剣樹の葉”が罪人の身に降り注ぐ。
“剣の葉”が手に触れれば手は無くなり、
足に触れれば足が地面に転がる。
体も、頭も、顔も、“剣の葉”の触れたところはどこもかしこも切り刻まれてしまう。

この樹の上には〈鉄のくちばしの鳥〉がおり、
罪人をみつけると舞い降りて来て、
その“両目”をついばむ。

泣き叫び、苦しみの毒と辛酸は万倍にもなるが、
罪の償いが終わらないので死ぬことも出来ない。


永らく苦しみを受けた後に、「剣の樹地獄」を出る。



第十六小地獄「寒氷」

ある者は、宿罪に引かれていつのまにか「寒氷(かんぴょう)地獄」にいる。
この地獄も広さ500ヨージャナ四方。

罪人の身に〈大寒風〉が吹き付ける。
たちまちに体は芯まで冷え切り、
凍りついて、
“皮や肉”がはぜて地面に落ちる。

苦しみの毒と辛酸に泣き叫び、わめき続けるも、
罪の償いが終わらないので死ぬことも出来ない。


永らく苦しみを受けた後に、「寒氷地獄」を出る。


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