2004年12月 この冬はドカ雪ばかり
暮れも押し迫る頃に60㎝の積雪
ブン太は いつもの様に はしゃぎまわっている
芝生のフェンスは この雪で隠れてしまっていたけれど
ブン太の通路は確保してあるし
取りあえずストーブの排気口を掘り出す事が先決
午後6時を過ぎ ご近所総出で除雪作業が始まった
賑やかな声 そちらの方ばかり気にしていたブン太
私が除雪に気を取られていた その時だった
ほんの一瞬の出来事で どのように雪を越えたのか
わからない
気がついた時 ブン太はすでに庭とは反対の道路に出て
ピョンピョン飛び跳ねていた
一番近くで除雪作業をしていたご近所のおっちゃん
「いや~ワンちゃん楽しくて嬉しくて仕方ないんだわ」
私「はぁ・・・脱走しちゃったんですどうしよう
」
この日は よりによって父ちゃん不在だった
ゆーきやコンコンあられやコンコン・・・いーぬは喜び
庭掛けまわる~ねーこはコタツで丸くなる
まさに この童謡そのものだった
人間でさえ歩くのが大変な「わだち」のできた道路を
ブン太は いとも簡単にさんみたいに跳ねながら
進んでいく
私の声は「進め」の応援歌にしか聞こえていないのだ
途中 ご近所さんに愛嬌を振りまき ワンコのいるお宅に
立ち寄りながら どんどん遠ざかる・・・
真っ白な雪から街灯が途切れた暗闇の中 にブン太の
「白と黒」のごま塩模様の姿が消えて行った
日々成長しながら 想定外の行動をおこすブン太を
守ってあげられなかった自分を責めながら・・・
来年の春 雪解けの頃ブン太は白骨化した姿で見つかる
のだろうか・・・
迷い犬のチラシをどんな風に作ろうか・・・
いやいやブン太は人間大好きで人なつっこいから
犬好きで親切 な飼い主のもとで幸せに暮らすだろう
などなど頭の中を想像がかけめくる
どのくらいの時間が経ったのだろう?
とても長~い時間に思えた
いったん家に戻り携帯と鍵を持ち改めて捜索しよう
すると
おっちゃん「あれ?奥さん戻ってきたよ」
私 「えっ」目が悪い私には確認できない
そうだブンは寂しがりやなので 人の居ないところには
魅力を感じなかったんだ
こちらに向かって またピョンピョン跳ねて戻ってきたのだ
私を警戒しながら じゃれついてくるブン太
私「すいません!何とか捕まえてください」藁にもすがる思い
おっちゃん「よーし おいで」手を広げると
ブンはためらいもなく おっちゃんの腕の中に飛び込んだ
おっちゃん「ほら御用だ御用だ
」
私「あ・ありがとうございます」何度も
頭を下げ家に戻った
ブンの体は冷えきって雪の塊まりがつき まるで雪だるま
のようだった・・・
その夜は もう遊ぶ元気もなく 死んだように眠ってしまった
父ちゃんに一部始終をで報告すると大笑い
(こっちの気持ちも知らないで)
あとから考えると結構笑えるのだが
その後「ドリフの大爆笑!のメロディーで替え歌つくった」
とメールがきた
ブンブンブンタの大脱走
母ちゃん 父ちゃん大慌て
町内探検楽しんで、
おあいーそ振ったら捕まった
( 御用だ)
こうして ブン太を迎えた2004年は慌ただしく
過ぎていったのだった