バスターミナルなブログ

全国のバスターミナルやバス旅の紹介(※ブログ内のデータは原則として撮影時のものです)

京王バス【味スタ発】新宿駅行き高速シャトルバス

2022年08月11日 | バス旅(乗車記)


太陽の光が燦々と降り注ぐ、夏の午後。

ここは、京王線の飛田給駅から徒歩で約5分、東京都調布市に位置する「味の素スタジアム」です。今回は、サッカー観戦に御縁があり、この地にやって来ました。

広々としたスタジアムで観戦するサッカーも魅力的ですが、バスファンの私にとっては、味スタを発着するシャトルバスも気になります。

観戦するのは、FC東京が主催する日曜日の試合。この状況ならば、試合終了後に「新宿行き 高速シャトルバス」の設定があるだろうと、事前に予想が出来ました。京王バスのワンロマが充当される、このシャトルバスに乗車してみたかったのです。そして開催日が近づくと、スタジアムのアクセス情報に「試合終了後の交通臨時便」の状況がアップされます。確認すると、やはり「味スタ発、新宿駅行き 高速シャトルバス」の記載がありました。過去の経験から、土休日に開催される、FC東京の試合には「新宿行き 高速シャトルバス」が運行される傾向にある事はつかんでいました。

これで、観戦後の帰宅ルートは決まりました。乗車券は試合当日、スタジアム内のコンコース臨時乗車券売り場にて、開門からキックオフまで発売されます。ただし、定員数を完売次第、発売は終了です。また、バス乗り場での発売はありません。



この日の開門は15時30分。

開門と同時にシャトルバスの乗車券発売も開始となります。ただし、この時間に入場出来るのは、優先入場の方のみです。一般入場は16時00分となるため、一旦、待機列に並びます。しばらくして一般入場が始まりました。待機列に並んでいた観客らは我先にと観戦席の確保に向かいますが、私はシャトルバスの乗車券を求めてスタジアム内の外周コンコースへ。京王バスの係員さんがいる臨時乗車券売り場へと向かいました。

新宿駅までの乗車券を購入すると、係員さんは、机に置かれたワンロマ車の座席表から、発売された席数の座席を塗り潰していきます。私が購入したタイミングで、ちょうどワンロマ1台分の座席が塗りつぶされました。「座席指定ではありません」「最終のバスは試合終了20分後(※1台運行時は15分後)に2番のりばから発車します」と教えて頂き、乗車券を受け取りました。運賃は大人が630円、小児が320円です。



交付された緑色の乗車券裏面には、バス乗り場の案内図が描かれていました。

さて、バス乗車券が手に入ったので、次は観戦席です。出遅れたものの、なんとかスタンド自由席で眺めが良さそうな場所を確保。



それでも、キックオフまでは1時間半以上あるので、スタジアム場外へと出てみました。

日曜日だからか、シャトルバスが発車するバスターミナルは、試合開始前のイベント広場となっており、キッチンカーが並んでいます。

縁日を開催しているスペースもあったりして、空き時間を楽しむ事が出来ました。



まもなく、キックオフ。

チームカラーの「青赤」で演出された選手紹介が場内を盛り上げました。



ゲームの方は、序盤からFC東京のペースで進行し、先制ゴール、更には2点目と、良い滑り出し。



さて、ハーフタイム。

このタイミングで、先程のバスターミナルに向かってみました。もうバスは到着しているかな・・・と思いましたが、今はイベント広場の後片づけをしている最中でした。シャトルバスは試合終了後までオアズケです。



売店で夕食を購入して戻りました。

味の素スタジアムの名物「味スタライス」です。ペペロンチーノ味のパスタ&ライスに、ボロネーゼソースをのせた逸品。

大人気メニューの一つだそうです。



後半戦に入り、すっかり暗くなりました。



そして、2点のリードを守り抜き、ここでホイッスル。見事、FC東京が勝利を収めました。

このままいつまでも勝利の余韻に浸っていたいところですが、「新宿行き 高速シャトルバス」の最終発車は、試合終了20分後と案内されていただけに、足早にスタジアム場外へと向かいます。



バスターミナルには、狛江駅行き、武蔵境駅行き、たくさんの小田急バスが停車していました。



私が乗車する、京王バスの新宿行きを発見。

三菱ふそう、エアロスターのワンロマ仕様車です。調布営業所に所属し、深夜急行(※2022年7月現在運休中)や一般路線等で活躍している車両です。

既に乗り場に停車していた新宿行きは、かなり席が埋まっていたので、見送って最終便に乗車する事にしました。



系統表示は「(直 行)新宿駅西口」と表示されています。



最終便が2番乗り場に据え付けられました。

入口で乗車券を呈示。係員さんの改札を受けて車内へと進みます。



着席すると、シートベルト着装の案内がありました。

これから新宿駅までは、高速道路を経由するのです。



20時15分頃、シャトルバスは発車しました。

バスが発車する際、京王バスの地上スタッフの方々が、乗り場から車内の乗客に向かって一礼する姿が印象的でした。



スタジアムの出口で信号待ちの交通集中がありましたが、左折して甲州街道に入ってからは順調に流れました。味スタから調布インターまでは約15分。ここからは中央自動車道を走行します。

車両がワンロマなのを除けば、流れる景色は中央高速バスと同じです。

(気分は、ワンロマ富士五湖線?!)



高井戸インターからは、首都高速4号新宿線へ。

初台で首都高速を降りました。対向車線には、回送表示のワンロマ車が見えます。どうやら調布営業所に戻るシャトルバスのようです。新宿駅近くで更にもう1台すれ違ったので、この日は少なくとも3台の「新宿駅行き 高速シャトルバス」が運行された模様です。

新宿駅が近づくと、西鉄バス「はかた号」の回送、新宿行きのリムジンバスと並走しました。



そして、終点の新宿駅西口に到着。味の素スタジアムから、ここまで38分間の道のりでした。

スタジアムでは、発車時間が決まっている事から、試合終了後の慌ただしさはありました。しかし、それでも、飛田給駅まで人波の中を歩かずにすみ、かつ確実に着席出来るという利点は大きいと感じました。

バスファンにとっては、乗車をするのに極めて難易度が高いシャトルバス(そもそも乗車券を手に入れるのに、サッカーの観戦チケットを購入してスタジアム入場する必要がある)でありますが、イベントに、試合観戦に、食事にと、スタジアムでの楽しみ方はたくさんあるので、気軽に遊びに行く感じでもいいのかなと思います。

<撮影2022年7月>

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

京王バス 富士五湖線 エアロバスの旅

2022年01月14日 | バス旅(乗車記)
京王バス公式SNSから最後のエアロバス、50608号車の引退が発表されました。

そこで今回は、同車両の乗車記をアップしたいと思います。2020年11月に乗車し、書きかけの乗車記を加筆したものです。

京王バス 富士五湖線 エアロバス 50608号車
山中湖平野 13時25分発



ここは山梨県の山中湖平野。

この場所にいる訳は、フジエクスプレスのアストロメガがデビューし、平野まで乗車したためです。目的を果たし、どうやって都内へ戻ろうかと思案していると、ターミナルに京王カラーのエアロバスが入線してくるのが見えました。どうやら次の新宿行きになるようです。

選択は決まりました。エアロバスで帰ろう。往路は最新型のアストロメガ、復路は古参のエアロバス。神がかりなバス旅となりました。



世代交代の進行により、京王バスのMS8系エアロは、いよいよ終焉へのカウントダウンが始まったように感じます。バスタ新宿でバスを観察しても、車庫まで見に行っても、この50608号車しか見当たりません。この50608号車が最後の1台と判断してもよさそうです。(※本当に最後の1台でした)

発車まで残りわずか。もうネットで乗車券を購入する時間的猶予は残っていません。フリー乗車あるのみ。



「予約をしていないのですが、新宿までお願いします。」

運転手さんに申告し、バスタ新宿までの乗車券を発券して頂きました。幸いにして座席には余裕があり、車内中程の窓側席をアサインされました。

山中湖平野の発車は13時25分。定刻通りに発車しました。



この車内風景、エンジン音、乗り心地、、、、馴染みの場所に久しぶりに戻ったような感覚です。

私の本格的なバス趣味歴は20年余りなので、三菱ふそうの高速バスといえば、MS8系エアロシリーズで育ちました。高速バスの世界は敷居が高かったのですが、当時は、羽田空港の沖合展開に伴い空港リムジンバス網が発展をした時期で、MS8系エアロには空港リムジンバスでよくお世話になりました。フロントの曲面構造が格好良くて、最先端のデザインだと感じていましたが、今となっては多少レトロな感じもします。それでも、今でも大好きな車種には変わりありません。



平野までの往路はアストロメガの2階に乗車していたので、エアロバスはハイデッカーといえどもアイポイントが随分と下がった感覚です。

秋の深まりを感じさせる紅葉を車窓から眺めていました。来年の紅葉の時期には、この車は残っていてくれるでしょうか。



山中湖に別れを告げて、富士山駅、河口湖駅、富士急ハイランドと進路をとります。



ハイランドを発車する頃には、20人を超える乗客が集まりました。やはり、ある程度は乗客が乗っていないと「富士五湖線」らしくありません。



河口湖インターから、中央自動車道に入りました。

ベテランの車両ですが、整備や運転方が素晴らしいのか、乗り心地はとても良いです。昔からバスファン同士でエアロとセレガはどちらが乗り心地が良いのかと議論になる事もありますが、「エアロは長時間乗車しても疲れにくい」「直進性が良くて揺れない」という意見を聞いた事があります。

この先は都市伝説レベルのネタ話ですが、ある年に製造したエアロは「ふそうの当たり年」で最高級の乗り心地を誇るとか。まるで、ボジョレー・ヌヴォーのキャッチコピーのようですが、冗談半分、いや、99.9パーセント冗談で受け取ってください。本当に(笑)



エアロバスの乗り心地を堪能するようにウトウトとしていると、新宿の高層ビル群が近づいて来ました。



街に溶け込む京王カラーのエアロバス。

まもなく終点のバスタ新宿です。



降車は3階フロア。後方には最新型のヨーロピアン・スタイルが到着しました。

最古参のエアロ・スタイルも、存在感は負けてはいません(^^)

改めてエアロバスの良さを実感した乗車でした。この車がいつまでも元気でありますように。



2022年1月追記:

そういえば、現状の京王高速バスでは、50608号車が最後の三菱ふそう折戸仕様となります。

スイングドアの優雅さも素敵ですが、実用性を兼ね揃えた折戸のエアロバスからは、乗合バスらしい機能美を感じます。折しも2021年春には、現行のエアロエースに折戸仕様が登場しました。ふそうの高速・観光車では久々の復活です。果たして京王エアロエースに折戸仕様が導入される日がくるのかどうか。興味深く見守りたいと思います。

<撮影2020年11月>

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東急バス「溝の口駅~新横浜駅直行バス」

2022年01月12日 | バス旅(乗車記)


東急バス「溝の口駅~新横浜駅直行バス」
溝の口駅9時40分発


JR武蔵溝ノ口駅から、おはようございます。

朝の通勤通学時間帯が一段落し、電車の運行間隔も開いてくる頃です。

今回のバス旅は、溝の口駅~新横浜駅を結ぶ東急バスの「直行バス」に乗車したいと思います。



溝の口は、東急田園都市線・大井町線、JR南武線が集まるターミナル駅です。

駅はペデストリアンデッキ構造となるため、改札口は2階。そこから降りた1階が新横浜駅行き「直行バス」ののりばです。

「直行バス」の時刻表を見ると、朝の7時、8時台は15分間隔で発車。その後、日中は1時間あたり1~2便運行となり、夕方以降は再び増えて1時間あたり2~3便運行となります。終点の新横浜駅では、日本の大動脈「東海道新幹線」に乗り継ぐ事が出来ます。主たる需要は溝の口駅と東海道新幹線との連絡需要です。

実は、JR南武線北部から鉄道で新横浜駅に向かうとなると、道筋は案外面倒くさく、南武線→田園都市線→横浜市営地下鉄「ブルーライン」や、南武線→東横線→横浜線、もしくは南武線→小田急線→横浜線となり、乗り換え回数は2回。しかし、この「直行バス」を利用すれば、乗り換えは1回で済むメリットもあります。


↑ワンロマ車の車内(復路、別車両で撮影)

この路線の車両は、ワンロマ車がメイン。運賃はICカード450円(現金500円)で、1ヶ月定期券(12030円)の設定もあります。

それでは乗車しましょう。ICカードをタッチして車内へ進むと、10人以上の乗客が発車を待っていました。発車時刻が間近になると、乗客数は更に増加します。数えてみると、全員で16人。客層をチェックすると、スーツ姿のサラリーマンや、旅行とわかる家族連れ等。これから東海道新幹線に乗車するのだろうと容易に予想が出来ました。



バスは溝の口駅を発車しました。

まずは、南武沿線道路を走行し、第三京浜道路の京浜川崎インターへ。その道中には2か所の乗車停留所が存在します。高津高校前と高津中学校入口(KSP前)の2か所。この便では、後者の高津中学校入口(KSP前)で2人の乗車がありました。車内の乗客数は18人にまで膨れあがります。



京浜川崎インターでは、ぐるりと180度ターン。横浜方面のスロープを上ります。

9時50分に料金所を通過。ここからは第三京浜道路です。



車の流れは順調。快走しています。

ふと、車窓からは、バスベイのような空間が目に入りました。第三京浜道路には、バスストップはありません。しかし、以前には、第三京浜道路経由で二子玉川園~横浜間を結ぶ路線バスが存在し、いくつかのバスストップが設けられていたそうです。バスベイのような空間は、その跡地でしょうか。もしも、そのバスストップが今も現役であったならば、私が乗車している「直行バス」も、途中停車するような運行をしていたのかもしれません。

増収が期待出来る中間需要となりそうですが、バスストップの復活は難しいものでしょうか。



京浜川崎から2つ目、港北インターで第三京浜道路とはお別れです。

8.5km、時間にして約10分の自動車専用道路区間でした。



港北インターを降りると「美味しいシウマイ、崎陽軒♪」でお馴染み、崎陽軒の横浜工場の脇を通過します。

「シウマイ弁当」は、本社工場・横浜工場製造と、東京工場製造とでは、弁当箱の包装が異なるのは有名な話ですが、こちらで製造しているのは弁当箱を紐で結んでいるタイプです。工場前には売店があり、ここでお弁当等を購入する事も出来ます。



10時04分、日産スタジアム前に到着。

ここでは3人の降車がありました。スタジアムで大規模なイベントが開催される日には、バスが増発される事もあります。

続いて、鳥山大橋でも2人の降車。なんだかんだで、拠点となる溝の口駅、新横浜駅以外でも乗降があるのが、この路線が利用者に定着している証拠と言えます。



そして、10時10分。終点の新横浜駅に到着しました。

乗客の大勢は駅ビル方面へ。溝の口駅からピッタリ30分の道中でした。



「直行バス」の開業は2001年12月です。

比較的、新しい路線だと認識していましたが、気が付けば開業から20年が経過しました。時の流れは早いものですね。

安定した人気を誇る「直行バス」ですが、もしも転機があるとすれば、それは2022年度下期の開業を目指して工事が進められている「相鉄・東急直通線」になるのかもしれません。鉄道の開業が、どのような影響を「直行バス」に与えるのかはわかりませんが、人の流れに変化があるのかどうかは興味深いところです。



とは言え、中間停留所の需要はバスに利点がありますし、イベント開催時の輸送もバスの強みです。1ヶ月定期券が設定されている事から、新幹線以外の通勤需要もあると思われ「乗り換えが少ない」「着席して移動出来る」等のメリットが広く利用者に認知され、更なる路線の発展に繋がるといいなと感じました。

<撮影2021年11月>

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

両備バス「ルミナス・マスカット号」

2021年12月29日 | バス旅(乗車記)


両備バス(両備ホールディングス)「ルミナス・マスカット号」
バスタ新宿21時30分発


こんばんわ。夜のバスタ新宿です。

今回のバス旅は、新宿~津山・岡山・倉敷間を結ぶ「ルミナス・マスカット号」に乗車します。「ルミナス号」と「マスカット号」という2つの路線を統合した夜行高速バスで、どちらも30年以上の歴史をもつ老舗路線。コロナ禍による移動需要低迷の影響を受け、運休期間もありましたが、統合により晴れて運行再開となりました。


↑「ルミナス・マスカット号」の発車案内(バスタ新宿にて)

今晩の担当は、両備バス(両備ホールディングス)です。統合により「ルミナス・マスカット号」は4社共同運行となりましたが、現状は1往復1台運行のために4日サイクルで担当事業者が変わります。



バスがA2のりばに到着しました。今は夜行バスの発着が少ないせいか、通常よりも早くホームへ据え付けられました。ドライバーさんは2人体勢。ドアが開くと、おひとりが改札を担当し、もうおひとりがトランクを担当します。



夜行バスに乗車するのは久しぶり。改札を済ませると、期待に胸を膨らませてスーパーハイデッカーの階段を上りました。

車内の基調は、両側を「ホワイト」のカーテン、その間を「両備ブルー」でデザインされた、3列の独立シートが並んでいます。足元灯も「ブルー」に彩られ、爽快感を感じさせる客室です。(※終点降車時に撮影)



車内仕様を説明すると、座席は、3列独立リクライニングシート。付帯設備として、レッグレスト、フットレスト、ネックレスト(可動枕)、ブランケット、コンセント、ドリンクホルダー、スリッパが装備されていました。化粧室は車両中央階下。フリーWi-Fiもあります。



それから、MYカーテン。閉めると個室感覚になります。



便利だったのが、窓側座席の上部に架けられる、物掛けハンガー。

特に冬場はコートを着用するので、大変助かります(^^)

最後に「ホワイト」のカーテンは、両備のオリジナルデザイン。とことん、こだわりを感じさせてくれました。

さてさて、「ルミナス・マスカット号」は21時30分、バスタ新宿を定刻通りに発車しました。

チャイムが鳴り、音声合成の案内が始まります。津山・岡山・倉敷行きの「ルミナスマスカット」と紹介されました。「ルミナス」と「マスカット」の間には間隔は置きません。「ルミナスマスカット」です。そして最後に「このバスは両備バスが担当しております」で締めくくりました。続いて、運転手さんによる補足説明が行われます。最初に、駿河湾沼津SAで休憩を予定している事。続いて、各停留所の到着予定時刻。更には、化粧室の使い方、車内美化、禁煙に関するお願いなど、きめ細かな内容でした。放送が終わる頃、バスは首都高速に入ります。



大橋JCTの大カーブを、遠心力を感じさせないスムーズな運転でクリア。東名高速道路に繋がる3号渋谷線に入ったところで車内は消灯となりました。時計の針は、まだ21時台。今寝てしまうと夜中に目が覚めてしまうかもしれません。就寝するには、まだ早いと感じたので駿河湾沼津SAまでは起きていようと思います。暗闇の中、やる事がありません。運転操作は丁寧で、MS06クイーンの乗り心地も良く、率直に「当たりだな」と思いました。暖房が効いた車内は暖かく、気を抜くと眠ってしまいそうです。



23時10分、室内灯が点灯。まもなく新東名高速道路の駿河湾沼津SAに到着です。

バスは滑らかに停止。約10分間の休憩に入りました。コートを着用して車外へ。外はそれほど寒くありません。ここは丘の上にあるサービスエリア。トイレを済ませた後、暖房で多少火照った身体を鎮めるかのように夜景を眺めました。



23時23分、休憩を終えたバスは、再び西を目指して走り出します。

先程まで眺めていた夜景が、カーテンの隙間から車窓に映りました。まもなくして、車内には再び暗闇の世界が訪れます。次に室内灯が点灯するのは、岡山県の津山に到着する頃。それでは、おやすみなさい・・・

・・・2021年11月18日、「ルミナス号」と「マスカット号」は統合し、「ルミナス・マスカット号」として再出発しました。これらの路線の運行開始は、どちらも1990年の3月です。小田急バスと下津井電鉄が「ルミナス号」を、関東バスと中鉄バスが「マスカット号」を、それとは別に、京浜急行電鉄と両備バスが「ルブラン号」を、全て同日に開業させました。規制緩和が行われる以前の時代です。東京都内と津山・岡山・倉敷とを結ぶ、高速バスの幕開けでした。

「ルミナス号」・・・倉敷・岡山駅前・天満屋BC・津山〜新宿駅西口・ホテルセンチュリーハイアット
「マスカット号」・・倉敷・岡山駅前・天満屋BC・津山〜新宿駅西口・青梅街道営業所
「ルブラン号」・・・倉敷・岡山駅前・天満屋BC・津山〜浜松町BT・品川BT

3路線全て、岡山県側の発着都市は同じ(停留所は異なる)。いわば、東京側の発着都市の違いが3路線の違いでした。価格も仲良く、津山9500円、天満屋・岡山10000円、倉敷10200円で統一。トリプルトラックではありましたが、当初は6事業者3路線の「プール精算」であり、見方によっては同一路線の複数系統とも言えます。その後、約30年の歳月と共に、各路線ごとにカタチを変えて成長を重ねました。

しかし、新型コロナウィルスの蔓延による、移動需要の低迷。決して3路線も例外ではなく、運休や運行再開、そして運休といった耐え忍ぶ期間が訪れます。移動需要低迷の出口はいつになるのかはわかりませんが、結果的に出た答えが「ルミナス号」と「マスカット号」統合。小田急シティバス、関東バス、下津井電鉄、両備バス(両備ホールディングス)の4社共同で1往復を運行する形態となりました。

運賃は、曜日別運賃を採用しています。本日は平日。そのために倉敷まで最安値の7000円で購入が出来ました。更にこの便は満席。私が予約購入したのは乗車4日前。3割程度の座席が残っている状況でしたが、当日までに全席を売り切ったようです。ライバル路線の運休等もあるかとは思いますが、平日で全席を売り切ったあたり「路線統合の効果が出ているな」とか、「全席売り切れるのならば、もう少し価格を上げてもイケるのではないか」なんて、色々と考えを巡らせてしまいます。

ちなみに、バスタ新宿の発着枠は以前と同様ならば「ルミナス2枠」「マスカット1枠」の計3枠があります。需要が回復したあかつきには、どのような活用をするのでしょうか。予約サイトを確認する限りでは、年末年始の繁忙期に、もう1枠を使って2号車をバスタ新宿発着で設定していました。では、残り1枠をどうするか。思わず妄想をしてしまいます。「ドリームスリーパー」を転用して、観光目的の上位クラスを提供出来ないか。それとも4列シートの格安便を投入して「ルブラン号」と「ままかりライナー」の関係のように、2クラスの選択肢で統合ブランドを育てていけないか。せっかくの4社共同3枠なので、路線単体ではなく複数路線だからこそ出来る事もありそうです。



5時29分、室内灯が点灯しました。

「先程、中国自動車道の勝央SAを通過したところです。津山まで、あと10分程で到着します」

津山到着を予告する放送です。単純に「まもなく津山に到着です」ではなく、現在地から説明し、到着までの時間を案内する姿勢に、利用者目線の心遣いを感じました。

しかし、熟睡してしまったものです。駿河湾沼津SAからの6時間、ときどき寝返りがうちたくて半覚醒したものの、気が付いたら岡山県だったという感覚でした。岡山クラスの距離だと、たっぷりと睡眠時間がとれますね。そして、何よりも身体に伝わる乗り心地の良さは、半覚醒の状態でも感じていました。

5時43分、まだ日の出前の津山駅に到着。ここでは5~6人が降車したようです。少々時間をおいて発車。この先、津山パーキング、津高、岡山大学筋での降車予定は無く、本日は岡山駅まで直行です。



津山駅到着から1時間半程度を経過。7時10分、定刻よりも約15分早く、岡山駅西口に到着しました。多くの乗客がバスを降車します。

そういえば、この路線の主要停留所は、新宿、津山、岡山・倉敷で開業当初と比べて変わっていませんが、細かく見ると場所が全て変化しています。当時はバスタ新宿なんてありませんでしたし、今では津山の中鉄BCもありません。岡山駅は西口に変わり、天満屋BCには寄らなくなり、倉敷駅も北口に変わっています。新宿、津山、岡山、倉敷という形はそのままなのに、30年の歴史を感じさせます。



さて、終点の倉敷まで、ラストスパート!

・・・と、いきたいところですが、朝の交通集中にハマってしまいました。止まって動いて止まっての繰り返しです。もっとも、この交通集中は、岡山駅到着前や、前夜のうちに予告されていました(普段からよくある渋滞なのでしょう)。何も知らされていないと不意の渋滞に不安を感じてしまいますが、事前の心構えが出来ていたので心穏やかに過ごせました。



8時14分、終点の倉敷駅北口に到着しました。

バスは交通集中の影響を受けましたが、岡山駅までに稼いだ15分のアドバンテージのおかげか、誤差の範囲内でほぼ定刻通りの到着です。新宿から約10時間40分の旅が終わりました。ソフト面もハード面も、心地の良い両備高速バスでした。



夜行バスの旅は終わりましたが、私の旅は始まったばかり。

倉敷駅から徒歩10分程度に位置する観光スポット「倉敷美観地区」を散策しました。



古い街並みを保存した、倉敷を代表する観光名所です。

昼間は観光客の数が増えるので、人の少ない朝から観光が出来るのが、夜行高速バス到着のメリット。時間帯から、お店の類は期待出来ませんが、その分、静かな街並みが見られるのでオススメです。



倉敷アイビースクエアにて



白壁の街並み

そういえば、「ルブラン」とはフランス語で「白」を表すそうです。調べてみると、かつて倉敷駅のビルは「ルブラン」という名称だったとか。「ルブラン号」の命名は白壁からでしょうか。「マスカット号」の「マスカット」は説明するまでもなく岡山県の名産品。では「ルミナス」は?「ルブラン」と「マスカット」が岡山由来だと仮定すると、もしかしたら「ルミナス」も同様でしょうか。しかし、手掛かりは見つけられませんでした。果たして「ルミナス」の由来は何なのか。夜景か何かでしょうか???何度も岡山に通えば、そのうち答えが見つかるのかもしれません。



以上で「ルミナス・マスカット号」の乗車記を終わります。

ご覧いただき、ありがとうございました。

<撮影2021年12月>

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高速バスで行く、日帰りワーケーション(房総なのはな号)

2021年07月18日 | バス旅(乗車記)
最近、「ワーケーション」という言葉を目や耳にする機会が増えました。

ネットで検索してみると、「ワーケーション」とは「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語で、リゾート地や観光地でリモートワークを活用し、働きながら休暇をとる過ごし方・・・とされています。しかし、必ずしもこうでなくてはならないという事はなく、その形態や内容は様々です。

「地方創生」や「働き方改革」「感染症対策」といったキーワードが注目される昨今、高速バス業界においても、高速バス利用を伴ったワーケーション商品の発売が始まりました。JRバス関東&日東交通では「房総なのはな号+館山のゲストハウス」、京王バス&濃飛バスでは「新宿〜飛騨高山線+奥飛騨のワーケーションスタンド」といった具合です。

試しに利用してみたいと考えましたが、宿泊が必要だったり、日帰りするのにはもったいない距離であったりと、お試しするのには少しハードルが高くて、その一歩を踏み出せずにいました。お手軽に日帰りで「ワーケーション」を体験してみたい。それならば、今回は「ワーケーション商品」は利用せず、自分自身で「日帰りワーケーション」が出来る場所を探してみよう。それが旅の始まりでした。



東京駅八重洲南口 8時20分発
「房総なのはな号」


今回は、東京駅から安房白浜行きの高速バス「房総なのはな号」を利用します。

東京駅の発車時刻は8時20分。早すぎもせず、遅すぎもせず、日帰りで活動するには利用しやすい時間帯です。



私が乗車する「房総なのはな5号」は、館山駅経由の安房白浜行き。

ただし、終点まで高速バスの扱いではなく、「房総なのはな号」としての運行は途中の館山駅まで。そこから先は、車両はそのまま一般路線バス「南房州本線」となる便です。

降車するのは坊田停留所。しかし、一般路線バスしか停車しない停留所であるからか、ネット予約では坊田までの購入は出来ませんでした。仕方がないので館山駅まで購入し、降車時に乗り越しとします。(※後に終点の安房白浜まで購入すればよいとわかる)



8時20分、定刻通りに発車しました。

高速バスの車窓からは、会社へと「出勤」するサラリーマン、OLらの姿が見えます。

もしも「ワーケーション」に向かう行為も「出勤」と見なせるのならば、車窓から見える通勤風景と、南房総へ向かう私の目的は同じ。そう考えると不思議な感覚がしました。



バスは順調に進みます。

アクアラインを渡り、千葉県へ。



しばらくして、車窓の景色は郊外から山や田畑へと移りました。

東京駅を発車してから、まだ1時間も経過していません。ぼんやりと景色を見て過ごします。目的地までには、まだ1時間以上あります。この時間をどう活用するか。日頃の寝不足解消のために睡眠をとってもいい、読書をしてもいい、往路の車内から仕事を始めてもいい。バス車内の選択肢は案外多いです。



バスの車内設備を紹介すると、4列シートで後方にはトイレが設置されています。

各座席には、携帯電話充電用のコンセント(車両によってはUSBポート)が装備され、フリーWi-Fiも飛んでいます。ネット環境は充実していました。(※JRバス関東便で確認)



「ようこそ 館山市へ」



東京駅から1時間48分。10時08分に館山駅に到着しました。駅前の降車停留所で乗客を降ろします。車内に残った乗客数を数えると、私を含めて4人。この4人が高速バス「房総なのはな号」と南房州本線とを跨ぐ利用者という事になります。

ここで運転手さんは交代。ここまでは東京支店の方でしたが、ここからは館山支店の方にハンドルを渡します。



交代した運転手さんは、一般路線バスが発車する3番のりばへとバスを移しました。

改めて、南房州本線の安房白浜行きとなります。ドアが開くと、数人の乗客が乗車してきました。



「南房州本線 直通」の表示が象徴的でした。

ハイデッカーの高速バスが、地域の一般路線バスに化けるのです。



10時15分、館山駅を発車しました。



拠点となる停留所に絞った高速バスとはうってかわって、地域の停留所に小まめに停車していきます。



この便は時間帯が良いのか、館山市内中心部での朝の用事を済ませた利用者が帰宅に利用しているようでした。あちらこちらの停留所で乗客を拾っていきます。



街の中心部から離れると、そのうち降車する旅客ばかりとなりました。



館山市から南房総市へと移る頃、進行方向右側には太平洋が広がります。

ここは、房総半島の南側。そういえば、内房と外房の境界はどこになるのでしょうか。イメージでは房総半島最南端の「野島崎」が、その境界のような印象でしたが、定義として、内房を東京湾側、外房を太平洋側とするならば、館山市の南西に位置する「洲崎」が境界。なので、房総半島の南側(下側)は外房という事になりそうです。



さて、私が降車する坊田停留所が近づいてきました。降車ボタンを押しましょう。



10時44分、坊田に到着。東京駅から2時間24分の道のりでした。

運転手さんに館山駅からの乗り越し運賃を申し出ると請求額は200円。館山駅~坊田間の運賃(一般路線バス)は560円になるので、単純に高速バス運賃+一般路線バス運賃の合算ではなく、別の運賃形態となるようです。試しに予約サイトで乗車した便を終点の安房白浜までと入力してみると、館山駅までの運賃+200円の金額が表示されました。支払った金額と同じです。

そういえば「安房白浜まで買いました」と申告して降車した乗客もいました。つまり、坊田のケースでは終点の安房白浜まで購入すればよかったのです。帰路も同様です。坊田から東京駅まで直通便を利用したい時は、安房白浜から購入すれば大丈夫(←JRバスの方に聞きました)ただし、館山駅までの一般路線バス区間は自由席となるようです。

※補足:安房白浜行きの「房総なのはな号」は多数運行していますが、坊田に停車するのは「館山から先は一般路線バスとして運行」と記載されている安房神戸経由の便のみです。その他の便では千倉経由となるので坊田には停車しません。



バスを降りると、行先表示が「なのはな号 館山・安房白浜」から「普通(神戸)安房白浜」に変わっていました。



それでは、目的地へ向かいましょう。

今回、ワーケーションでお世話になるのは、坊田停留所から数十メートルの距離に位置するシラハマ校舎です。2011年に閉校・閉園となった、南房総市立・旧長尾小学校・幼稚園の建物を活用した多目的施設で、オフィスやレストラン、宿泊施設として生まれ変わりました。施設の外壁はいかにも学校の造りです。



校門から中に入ると、木造の校舎が並んでいました。バス停からここまで徒歩2~3分程度といったところ。

この中にあるコワーキングスペース「AWASELVES」(アワセルブズ)を1DAY利用します。



受付を済ませ、コワーキングスペースへ。

ここは幼稚園の教室だったそうです。



オシャレにリフォームされた、コワーキングスペース。

2021年6月現在、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、コワーキングスペースは利用人数を制限しながら営業しており、前日までの予約が必要です。利用料金は一日利用で2000円、初回利用は登録料100円が別途かかります。定休日は火曜。利用時間は9時30分~19時30分と幅広く対応しています。



こちらは、小学校だったスペース。

子ども時代の記憶がよみがえるような、懐かしい気持ちになりました。



さて、持ち込んだタブレットPCを使って作業を進めていると、時計の針は正午を指しました。

そろそろ昼食にしましょう。シラハマ校舎の敷地内にはレストランがあるので、事前に予約を済ませておいたのです。

敷地内だけで作業や食事が完結するのは便利です(^^)



レストラン「バルデルマル」(現在は予約制:火曜定休)

訪問した日のランチメニューには、5つのセットメニューが用意されていました。カレーやピザ、豚ロースステーキ、チーズリゾット等があり、全てに前菜盛り合わせとミニデザート、ドリンクが付きます。価格は1430円(税込)。

今回は、メニューから「ベーコンの自家製ピザ」、ドリンクは「ホットコーヒー」を注文しました。すると、早速に前菜が提供されます。



前菜を食べ終わると、続いて自家製ピザが焼き上がりました。大きい!

写真では表現しにくいのですが、かなりボリューム満載です。熱々の具沢山。美味しくて幸せになります♪



最後に、ミニデザート(この日はプリンでした)とコーヒーで締めくくりました。

これで1430円(税込)とは、かなりオトクだと思います。のんびりと約50分間のランチタイムでした。



昼食後は、再び作業へ戻りました。

コワーキングスペースの設備は、フリーWi-Fi、電源のある座席、複合機、電動ミシン(予約制)等があります(詳細はシラハマ校舎のHP参照)。敷地内に飲料の自動販売機等はないので、必要な方は事前にご準備を。私は東京駅売店(JR高速バスのりばにあります)でお茶とお菓子を購入して持参しました。



作業ははかどり、そろそろ帰路の行程を考えましょう。

上記画像は2021年6月現在の坊田停留所、館山駅(東京駅)方面の時刻表です。(往路のバスを降りた際に、復路のバス停を探して時刻表を撮影しておくと帰路の際に便利です)

平日であれば1時間に1便程度の便数はありますし、土休日でも、それなりに便数はあります。但し、夏休みや冬休み期間といった学校休校日の時期は、平日でも土休日ダイヤになるので注意が必要です。

ちなみに17時17分発(始発の安房白浜は17時10分発)の便は、往路と同様に高速バス「房総なのはな号」と一般路線バスとを直通する東京駅行です。乗り換え無しで帰宅したければ、この便が便利です。


↑坊田停留所 館山駅行きの一般路線バス(南房州本線)

直通便を利用せず、一般路線バスで館山駅へ移動し、お土産を購入したり、観光を行ってから、高速バスで帰宅してもいいかもしれません。館山駅からならば、東京駅行き、新宿駅行き、千葉駅(千葉みなと駅)行きの高速バスが、多数運行しています。



逆に安房白浜行きに乗車して、野島崎灯台を観光してから帰宅する手もあります。野島崎灯台口で降車すると徒歩10分程度のようです。終点の安房白浜からでも約1km、徒歩15分程度で行けます。


↑安房白浜(駅ですが鉄道はありません)

更に安房白浜には比較的新しい待合室があるのでバス待ちをしやすい環境です。(トイレもあります)

せっかく、南房総まで来たのだから、観光も楽しみたいですよね(^^)


↑帰路の車内にて

「ワーケーション」と聞くと、会社でパソコンに向かってバリバリとデスクワークするサラリーマン、OLが、リゾート地や観光地でリモートワークをするイメージが私は強いです。しかし、例えば専業主婦(主夫)が家計簿を付けるのだって、立派な仕事ではないでしょうか。専業主婦(主夫)が「家計簿を付けに出かけてくる!後はヨロシク!」と言い残して、日帰りワーケーションに出かけてもいいはず。最近では、在宅勤務の普及で「パートナーがずっと自宅にいるので息が詰まる…」なんて話を聞いた事があります。どちらか片方、いや、それこそ一緒に「ワーケーション」に出かけ、非日常の空間の中で、それぞれのタスクをこなす一日を過ごすのもよいのではないでしょうか。片方がリモートワークを行いつつ、もう片方は貸出の電動ミシンを利用して裁縫仕事を片付けたり、何か習い事(プロが教えるアイロンがけ講座とか、今更聞けないスマホ講座とか、かんたん料理(スイーツ)講座とか、動画配信でありそうな内容でもいいと思います)をしたりする。そして、ランチは一緒に・・そんな楽しみ方もあると思います。

「ワーケーション」が高速バスに与える作用について。

一般的に、大都市と地方都市とを結ぶ高速バスは、地方都市側の利用者をお得意さまとするケースが多いです。しかし、人口減少時代。これから地方都市の人口減少が進むと、高速バスの利用者数にもその影響が現れます。これに対して「ワーケーション」の普及は、人口の多い大都市から地方都市へ向けて人の流れを作る事が出来ます。これは、高速バス路線の維持と同時に地方創生にも繋がります。

「ワーケション」を普及させるために、受け入れる地方都市側は、どのようなコンテンツや設備を提供出来るのか。移動を担当する高速バスは、どのようなダイヤや設備、旅行商品を提供出来るのか。これらが肝になるのではないでしょうか。大都市側からの目線が重視される場面です。

今回は、高速バスが一般路線バスに直通し、コワーキングスペースはバス停に近く、更に敷地内で美味しいランチまで堪能できました。「ワーケーション」を計画し始めて、まるでジグソーパズルがサクッとハマっていくような、そんな上手くいく感覚でした。

宿泊を伴わない「日帰りワーケーション」は、ターゲットが広く入門にはもってこい。次は「宿泊型ワーケーション」も利用してみたいです。

<撮影2021年6月>
--------------------
~モデルプラン~
東京駅8時20分発「房総なのはな号」+「南房州本線」坊田10時44分着 2750円(通常期)
コワーキングスペース「AWASELVES」(アワセルブズ) 1日利用(初回) 2100円
レストラン「バルデルマル」 ランチ1430円
坊田17時17分発「南房州本線」+「房総なのはな号」東京19時46分着 2750円(通常期)

合計:9030円(時刻表上、坊田には6時間33分滞在)
高速バスの運賃は、乗車日、早割、ネット購入の有無等により差が出ます。
※2021年6月現在

--------------------

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

京阪バス 東京ミッドナイトエクスプレス京都号

2021年03月05日 | バス旅(乗車記)


2019年4月の乗車記です。

京阪バス 東京ミッドナイトエクスプレス京都号
京阪枚方市駅(北口)22時00分発


こんばんわ。大阪府枚方市に位置する、京阪電車の枚方市駅です。

今回のバス旅は、夜行高速バス「東京ミッドナイトエクスプレス京都号」に乗車して、バスタ新宿まで向かいます。

「東京ミットナイトエクスプレス京都号」は、京阪バス枚方車庫を大阪側の起点に、途中、枚方市駅、樟葉駅、京都駅、三条駅、山科駅を経由する、京阪電車の沿線と東京とを結ぶ高速バスです。京阪バスと関東バスの共同運行ですが、今夜の担当は京阪バスでした。



枚方市から夜行高速バスに乗る。

既に私の気分は上々。大阪駅とか、京都駅とか、都道府県を代表する駅ならいざ知らず、旅行先の私鉄沿線都市から夜行高速バスに乗車するなんて、なかなかしない選択です。例えば、大阪から横浜観光に来た旅行者が「上大岡駅から夜行バスで帰ろう」とか、名古屋から東京に遊びに来て「帰りは聖蹟桜ヶ丘駅から夜行バスに乗ろう」だなんて、その都市に何か縁でもなければ、考えもつきません。



でも、そういう旅の楽しみ方もあると思うのです。

例えば、大阪で当たり前の日常を送る方々と同じように、家路への通勤電車に乗って郊外の駅で降りてみたい。しかし、そんな事は簡単に出来る。でも、普通はやらない。



住んだことのない街で、暮らしてみたいと考えた事はありませんか。

私は、生まれも育ちも東京です。時に違う都市で生活してみたいという願望にかられる時もあります。知人と酒を交わしながら「関西に引っ越すとしたら、どこに住んでみたい?」なんて会話をした事もあります。そんな私にとって、枚方市から夜行高速バスに乗車する行為は、叶わぬ願望をほんの少しでも実現出来たような気がしました。

ちなみに知人の答えは「武庫川」。理由は忘れてしまいましたが、阪神電車沿線もいいですよね。



では、今晩お世話になる「東京ミッドナイトエクスプレス京都号」へと向かいましょう。



車内仕様は、トイレ付き、3列独立シート。

レッグレスト、フットレスト、ブランケット、使い捨てスリッパ、紙おしぼりの設備があります。



公式サイトでは記載されていませんが、座席には充電用のコンセントが設置されていました。



サービスコーナーでは「冷水」と「お湯」が提供されています。



せっかくの設備なので使わせて頂きましょう。紙コップに冷水を注ぎ、喉を潤しました。



バスは、枚方市駅(北口)を定刻通りに発車。

途中の京阪樟葉駅、京都駅八条口、京阪三条、山科駅で乗客を集め、空席を少し残して全ての乗車扱いが終わりました。その後、車内は明朝の渋谷マークシティまで消灯となります。それでは身体を休めましょう。おやすみなさい。

・・・今回、私が乗車したのは金曜日でした。この便を予約をしたのは当日の朝です。ツアーからの移行ブランドは週末や繁忙期に価格が大きく上がる傾向にあるので、狙いを定めたのは老舗バス事業者の独立3列シート。朝の時点で座席が残っていたのは、京阪バスの「東京ミッドナイトエクスプレス京都号」と、阪急観光バスの「大阪~渋谷新宿池袋線」の2路線で、価格はどちらも8000円台です。金曜日に座席が残っていてくれて有り難かったものの、ツアーからの移行ブランドが4列シートを10000円台で販売している便がある状況下で、独立3列シートの便が何故に売れ残ったのか。

理由を考察してみると、その2路線には共通点がありました。どちらも予約サイトで検索すると、車内設備の記載に「コンセント」が付いていません。実際のところ、私の座席にはコンセントが設置されていましたが、もしかしたら予備の車両にはコンセントが設置されていない為の措置なのかもしれません。

この発売状況が”たまたま”だったという可能性も否定は出来ませんが、もしも「コンセント」の有無が座席の売れ行きに影響を与えているのならば、夜行バスにとって携帯電話・スマートフォン充電用の電源は必須の設備なのだと認識させられます。

ちなみに2021年現在でも、京阪バスの公式サイトでは車内設備に「コンセント」の記載はありません。とはいえ、ターミナルや沿道で京阪バスの車両ラインナップを見ていて、ほぼ間違いなくコンセント付きが来ると思われます。(そんな予感がしたから、この便を予約したところもあります)今はコロナ禍の影響により運休しているので、予約サイトの記載がどうなったかは確認していませんが・・・。



おはようございます。

朝が訪れ、渋谷マークシティに到着しました。



続いて、終点のバスタ新宿に到着。お疲れ様でした。

当時はバスタ新宿が終点でしたが、この後、東京駅地区への延伸が行われ、現在は、東京駅丸の内(三菱ビル)、東京大手町(グランキューブ)にも乗り入れています。東京側の発着地が増えました。



枚方市から夜行高速バスで戻ってきました。

それは、大阪駅や京都駅からの乗車では味わえないような、観光地ではない関西を身近に体験出来たような気がしました。例えるならば、訪日旅行者が定番のゴールデンルートを周遊するだけでは飽き足らず、自らの足で自らの行きたい場所へと旅行し、より深く日本を体験してみたいと思う。そんな感覚に近いのかもしれません。

もちろん、価値観は人それぞれなので、そんな旅のどこが楽しいのかと疑問に思う方もいるでしょう。でも、旅の楽しみ方の一つとして、理解や共感してもらえる人を増やす事が出来るのならば、それは夜行バスにとって、新たな需要の創生に繋がるのではないでしょうか。

<撮影2019年4月>

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

京王バス セレガR 60501号車の一日

2021年01月29日 | バス旅(乗車記)


引退が決まった、京王バス最後の日野セレガR、60501号車の一日を追いかけました。

出庫から、高速バスで1往復、そして入庫。乗車記も含めてお届けします。



おはようございます。早朝の京王バス永福町営業所です。(公道から撮影)

ここへ来たのは、60501号車が出庫するかどうかを確認するためです。車庫を見渡すとお目当ての60501号車を発見。車両は電源を落とされている状態ですが、駐車している場所から判断して、営業に出て来そうな予感もします。少し様子を見てみましょう。



しばらくして、灯火類が点灯しました!メインSWがオンになったようです。そしてエンジン始動。



出庫点検が始まりました。ダッシュボードには、バスタ入構のプレートも置かれています。記載されている情報から、9時15分発の山中湖・平野行きとわかりました。

バスタ新宿の発車時刻までは、まだ時間に余裕があります。慌てずに新宿へ先回り。その道中では、予約サイト「ハイウェイバス・ドットコム」のアプリを活用して座席を予約・購入しました。初めてアプリを使いましたが、動作はサクサクで使い勝手が良いです。



新宿到着後、バスタ新宿前で待ち構えていると「KEIO」表示の60501号車が現れました。

この車が2020年1月頃に永福町営業所にやって来てからは、専ら渋谷駅発着の「アクアライン」系統専用車と化していたので、新宿駅に姿を見せるのは久しぶりだと思われます。



京王バス 富士五湖線1103便
バスタ新宿 9時15分発


出発階、B4のりばに60501号車が据え付けられました。

セレガRに表示される「山中湖・平野」の行先に懐かしさを覚えました。京王バスのセレガRは、正座席38席仕様、42席仕様、どちらの仕様も在籍していたので、3列の夜行路線を除くと京王ハイウェイバスの大抵の路線には入りました。今回乗車する「富士五湖線」は比較的中距離の路線で、座席数の多い車両が充当される傾向にあります。往年のセレガRにとって「山中湖・平野」の行先は、割とポピュラーな表示方です。思い出の景色が私の頭の中に甦ります。



新宿の高層ビル群に見送られ、山中湖までの旅が始まりました。



初台から首都高速道路4号線に流入し、そのまま中央自動車道へ。進路を西にとります。



京王バスでは最古参となる、2005年式の高速バス車両。

表示されるピクトグラムのコンソールにも、歴史を感じさせます。



バスは順調に進みます。ハイランド、河口湖駅、富士山駅を経由し、山中湖が見えてきました。

私が降車するのは、山中湖・旭日丘です。終点の平野まで乗車してもよかったのですが、途中降車してバスの撮影もしたかったのです。



旭日丘を発車した、60501号車。

前日までに降った雪で、山中湖周辺は銀世界になっていました。



富士山を背景に1枚。

今年の富士山は例年と比べて雪が少なくて心配していましたが、今回の降雪により、一気に雪化粧となりました。



山中湖湖畔の京王リップル前にて。(公道から撮影)

ここは「富士五湖線」が山中湖地区で休憩をする場所です。

往路の運行を終えた60501号車が、西東京バスへ移籍したエアロエースと並んで休んでいました。最初で最後かもしれない、貴重なワンシーンです。



復路の便には、始発の平野から乗車します。

京王リップル前から平野までの距離は、3kmちょっと。当初は歩こうかと考えていましたが、上手い具合に2時間に1本の路線バスがあったので、富士急バスで移動しました。

さて、60501号車をどこで撮影しようか。



バスターミナルの入線シーンを順光で撮るか、それとも街並みの走行を逆光で撮るかで悩みましたが、順光を捨てて、街並みで撮影する事にしました。

カメラを構えていると、休憩を終えた60501号車が始発の平野に姿を現しました。街並みを走るセレガR。思い描いていた撮影が出来ました。



新しくなった山中湖・平野のバスターミナルに到着しました。 

ターミナルの再整備が完成してから、京王のセレガRが発着するのは初めてでしょうか???



京王バス 富士五湖線1112便
山中湖・平野 13時25分発


復路も引き続き、セレガR、60501号車のお世話になります。



行き先表示は「新 宿」。

「山中湖・平野」と同様に、懐かしい気持ちになるかと思っていましたが、不思議と何も感じません。「山中湖・平野」以上に見る機会の多かった表示方だけに、もう感覚が麻痺しているのかもしれません。もはや「新 宿」は表示ではなく、京王セレガRのデザインの一部分のようです。



車内の様子です。

正座席42席仕様ですが、補助席のないワイドシートなので快適です。

エンジン音を楽しむために、復路は後方の座席を選択しました。



発車後は、ボボボボッ♪と響くⅤ8エンジンの音を楽しみます。



積雪の山中湖。

凍えそうな気温のように見えますが、この日は外にいても寒さを感じませんでした。

太陽のおかげか、セレガRに乗車出来た事でテンションが高かったのか(^^;)



ふと、ガラスに印刷された「JBUS」の文字に目の焦点が合いました。

2005年式だと、セレガRでも日野車体工業ではなく、ジェイ・バスの製造になるのですね。



富士急ハイランドを発車すると、中央自動車道へ。

小まめに乗車停留所が続きます。バスストップに接近すると、ブオン♪と軽くエンジンを吹かして回転数を調節、エンジンブレーキへと移行します。それが2回続き、滑らかにバスストップに停車しました。発進も道路状況を見極めながら、早いタイミングでシフトアップ。私はバスを運転出来ないので、偉そうな事は書けませんが、ショックを感じさせない丁寧な運転に、ドライバーさんの運転に込める想いのようなものを感じました。



八王子ICを過ぎると、中央自動車道ではわずかしかない最高速度100km/h区間です。

周囲の流れに乗るように速度を上げ、エンジン音も唸りをあげました。



首都高速4号線に入ると、車窓からは背の高い建物が目立つようになりました。それは、新宿に近付いた事を意味します。

私が、前回に60501号車に乗車したのは京王バス中央時代です。武蔵小金井駅発、羽田空港行きの空港リムジンバスで、当時もこの区間を通過しました。既に60501号車がセレガR最後の1台となっていたので、この車窓を見て「もう1度、京王のセレガRで中央高速バスに乗りたい」と願ったのを憶えています。

・・・でも、その夢が今日叶ったのに、、、夢が叶ったのに、切ない気持ちになるのは何故でしょう。まもなく60501号車とはお別れです。



時の流れは逆らえません。無情にも、バスタ新宿の到着案内放送が流れました。



そして、終点のバスタ新宿に到着。

60501号車引退が発表された事もあってか、多くのバスファンが集まってのお出迎えになりました。

花道を飾ってもらって、本当に幸せな車両だと思います。



営業を終えた60501号車は、バスファンが見送る中、永福町営業所へ向けて回送されました。



私も電車で追いかけました。

永福町営業所に到着すると、60501号車は給油を行っているところでした。(公道から撮影)

たっぷりと給油する姿は「今日で終わりじゃないよ」「まだ走るよ」と伝えてくれているようでした。



給油を終えると、次は洗車機へ。ピカピカになって、この日の運用を終えました。

60501号車の一日を、出庫から入庫まで追いかけてみました。他の2005年式セレガRが2018年までに引退するなか、この60501号車だけが2021年まで活躍を続けました。これ程までに、多くのバスファンに愛された京王ハイウェイバスは、これまで存在したでしょうか。

願わくば、次の活躍の場があることを。そして、そこでも利用者に愛されて欲しいと切に祈ります。

-追記-




翌日の高速運用、翌々日の貸切運用を終えた60501号車は、除籍と思われる作業が始まりました。(公道から撮影)



なごり雪のなか、永福町営業所で最後の時を過ごす60501号車。東京で見る雪は、これが最後でしょうか。

<撮影2021年1月>

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

京成バス 東京BRT

2021年01月13日 | バス旅(乗車記)
京成バス 東京BRT 連節バス
新橋 10時01分発




雨の新橋から、こんにちわ。

今回のバス乗車記は、2020年10月1日に一次プレ運行を開始した、東京BRTです。

一次プレ運行の営業区間は、虎ノ門ヒルズ~晴海BRTターミナル間ですが、連節バスは朝の1往復を除いて、新橋~晴海BRTターミナル間を区間運行しています。虎ノ門ヒルズも気になりますが、やはり連節バスに乗りたい!という事で、今回は新橋→晴海BRTターミナルを乗車する事に決めました。

運賃は大人220円。ICカードも使えます。本格運行時は全扉での乗降を予定していますが、プレ運行の現在は、都心部の都営バス等と同様に「前乗り前払い」です。



東京BRTでは、まだ1台存在しない、虎の子「エルガデュオ」の車内へと進みます。ブラックを基調とした座席が並び、ちょっと高級志向な雰囲気を醸し出していました。吊り手も黒色です。



10時01分発、新橋を発車しました。時間帯もあってか、車内の乗客は私一人だけです。

今回の乗車記では、車内からの画像だけではなく、沿線を歩いて撮影した風景も交えてお届けしたいと思います。



環状2号線に入り、最初の難関が汐先橋の交差点です。

大きな交差点なのでスムーズに通過したいところですが、青信号を待ちました。BRTの「R」の意味は「Rapid」(高速)です。バス専用道の計画がない東京BRTは、一般道での速達性と定時性が「Rapid」のカギとなります。目下、この汐先橋の交差点と、後述する旧青果門前の交差点をアンダーパスする地下トンネルを建設中です。この地下トンネルの完成こそが、プレ運行から本格運行へと移行するタイミングであり、東京BRTの要と言える区間です。



汐先橋の交差点をクリアすると、続いて旧青果門前の交差点です。この交差点を右折します。

どうしても交差点での右折は時間がかかるもので、ここでも待ち時間を必要としました。しかし、幸いな事に右折信号が比較的長いので、1回の信号サイクルで右折する事が出来ました。



環状2号線を南下します。トンネルが開通すれば、この辺りで地上と合流するハズです。

汐先橋と旧青果門前の2交差点をアンダーパス出来たならば、あっという間にここまで来る事でしょう。



築地大橋を渡り、勝どきエリアへと入ります。

進行方向左手には、跳開橋である勝鬨橋を見る事が出来ます。これまでは勝鬨橋が隅田川で最も下流側の橋でしたが、築地大橋が完成した事により、下流側からの勝鬨橋が眺められるようになりました。天気の良い日は素敵な景色が見られるので、私の近頃の散策コースです。もう勝鬨橋が開く事はないのかもしれませんが、跳開する姿を一度でいいので見てみたいです。



隅田川を渡り、高架から地平に降りると、すぐに勝どきBRTに到着です。

地下鉄大江戸線の勝どき駅からは数百メートル離れているので、鉄道との乗り換えに便利とはいえませんが、勝どき地区の住民にとっては、移動の選択肢が増えました。



近年の勝どき地区は、タワーマンションが相次いで建設され、人口が増えている地域です。

東京BRTが二次プレ運行に移行する頃には、ピーク時に新橋~勝どきBRT間の区間便も設定される予定です。



近隣の停留所からは、東京駅行きの都営バスが高頻度で運行され、バスの発車時刻が近づくと行列も見られます。今回の東京BRTのプレ開業で、一番恩恵があったのが勝どき地区と言われています。私が乗車した便の新橋からの所用時間は7分でした。将来、地下トンネルが開通したら、どれだけ短縮になるか楽しみです。

後日、勝どきBRT→新橋を利用したところ、条件が良かったのか、ギリギリ5分台で到着しました。トンネルが開通したら5分台は余裕、、、いや、4分台もいけるかもしれません。通勤通学のアクセスの良さは、勝どきの魅力です。



勝どきBRTを発車したバスは、左折して、清澄通りへと入ります。

二次プレ運行、そして本格運行に移行した後は、そのまま環状2号線を直進するので、清澄通りを走行するのは今だけの貴重なシーンです。

余談ですが、これから走る清澄通りは、計画上の環状3号線区間です。もっとも、環状3号線の東京湾を潜る区間は、工事どころか、事業化さえもされてはいませんし、誰もこの区間を環状3号線なんて呼んではいません。でも、事実として環状2号線と環状3号線が十字で交差しているのです。皇居を中心とした東京の環状線同士が十字で交差するなんて、ちょっと不思議な現象です。



勝どき駅前を通過。

いずれ、環状2号線を直進するようになれば、勝どきや月島のような下町風情の風景は見られなくなります。夜の東京BRTに乗車すると、美味しそうな地元レストランや飲み屋さんの灯りが視界に入り、なんとも暖かい気持ちにもなる区間です。



そして運河を超える橋梁は、昔ながらの勾配の大きいカマボコ型。

車窓からの景色も、街並みを走る姿も、絵になります。



ここは一次プレ運行のみの暫定ルートですが、清澄通りは東京BRTの「Rapid」らしい走りを体感する事が出来る区間でもあります。

それは、清澄通りを走行する都営バスの停留所をビュンビュン通過していくからです。中央の車線を走行する車窓から眺めると、急行バスに乗車しているような感覚になります。更に赤信号で足止めされる回数も少ないように感じました。もちろん、暫定ルートにPTPS(公共車両優先システム)なんて設置されていません。後日調査すると、前後の交差点が連動するように一斉に青信号を表示し、赤信号に変わると、前後の信号機も同時期に赤信号に変わる。そんな信号の制御に、私が乗車した便もタイミングが合致したようです。

本当に良く出来た信号制御で、付近一帯の赤信号の時期を集約してくれるので、結果として赤信号で停止する回数は少なくなります。ただし、渋滞で車の流れが悪くなっていたり、バスが停留所に停車したりすると、この制御の恩恵に与れないケースも発生します。少なくとも、路線バスの定時運行を目的とした信号制御ではないと思われるので、もしも、このような信号制御を行っている道路に、PTPSによる「赤信号の短縮」や「青信号の延長」を追加するのならば、相互の相性が良いのかどうかは興味深いところです。

現状として、都内都心部でPTPSを導入している路線は少ないです。今はリムジンバスと、東急バスの目黒通りくらいでしょうか。バスの機能向上に力を入れる、都営バスの都市新路線ですら展開はしていません。その理由はわかりませんが、もしかしたら先述した信号制御との相性の問題もあるのかもしれません。

将来の東京BRTは「高度化したPTPS」を計画しています。具体的にどのような高度機能を採用するのかは発表されていませんが、PTPSの精度向上や、優先順位の細分化等が行われるのではないでしょうか。緊急車両を第一優先にしたり、情報のやり取りに車両の運行情報をリンクさせて、遅延している(しそうな)便を優先させたりと、バスの定時運行に寄与するシステムが出来るかもしれません。どのようになるのか、楽しみです。



バスは月島まで来ました。初見橋交差点を右折しますが、ここでも右折信号待ちです。

このように信号待ちをする度に、路線バスの表定速度を下げている理由の一つは、交差点の右左折なのだと実感をします。



そして、10時19分、終点の晴海BRTターミナルに到着しました。

短い時間でしたが、臨海地域の新しい交通機関の「序奏」を満喫出来た18分間の道のりでした。



・・・東京BRTは、本格運行時に「表定速度の向上」を予定しています。

現在の表定速度は、路線バス並みの「11~15km/h」ですが、本格運行時はLRT・新交通システム並みの「20km/h以上」を目標に掲げています。表定速度向上に向けて課題となるのは、やはり交差点です。なるべく交差点を通過しないようにする、赤信号で停止する時間を少なくする、右左折はスムーズに。これらがキーポイントになると思います。立体交差の完成やPTPS導入の効果が、どれだけ発揮出来るのか。期待がかかります。



それから、停留所での停車時間短縮も、表定速度の向上には欠かせません。

プレ開業から時間が経過し、徐々に東京BRTの利用者が増え始めています。朝の勝どきBRTでは、バスを待つ利用者の列が出来るシーンも見られるようになりました。現在の乗車方法は、前扉からの乗車のみですが、本格運行時には全扉での乗車を予定しています。既に中扉にはICカードリーダーを用意している車両があり、停留所では券売機を設置しての乗車券事前発売も予定しています。

都市型ワンマンバスで、このような形態を常設しているところは前例がないので、スムーズに移行できるよう利用者への周知方などが課題になりそうです。



最後になりますが、東京BRTについて、ネットの評判をのぞいてみると「今までのバスと何が違うのか」といった声が多く見られました。

「バス専用道」はありませんし、近隣の都営バス停留所に設置してある「運行情報の案内板」といった設備もまだ付いていません。利用者がこれまでのバスとの違いを感じとる事が出来るのは「連節バス」くらいなので、確かに的を得た意見ではあると思います。これから導入される「高度PTPS」や「停留所への正着制御」といった分野も、利用者には気付かれにくい、地味に物凄い技術(誉め言葉)です。さすがに「全扉での乗降」が始まれば、利用者の意識も変わるかもしれませんが、大事な事は「利便性」や「速達性」の高さが、安定かつ継続して提供される事に尽きると考えます。「BRTの凄さ」は、利用客数のような数字の結果で示される事になるのではないでしょうか。(個人的には、光や音といった演出にも期待したいところです)

あと「バス専用道」が無いのならば、東京BRTで培ったノウハウを、全国の路線バスに輸出が出来るかもしれません。今は本格運行前のプレ運行ですが、ひょっとしたら、全国の路線バスの進化に向けたプレ運行にもなるのかもしれません。

<撮影2020年10月>

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日の丸自動車興業「スカイホップバス」

2020年11月21日 | バス旅(乗車記)


日の丸自動車興業「スカイホップバス・ブルーコース」
丸の内三菱ビル 9時10分発


新型コロナウィルス感染症拡大による影響を受けて、2020年は土・日・祝日のみの運行をしている、日の丸自動車興業の「スカイホップバス」です。通常ですと、24時間券・大人3600円のところ、2020年は特別プランにより、6時間券・大人1000円から乗車する事が出来ます。

2020年の運行は11月29日がラスト。1000円で「スカイホップバス」に乗車出来るチャンスがまもなく終わってしまうという事で、このチャンスを逃すまいと乗車してきました。「レッドコース」と「ブルーコース」の2コースがあり、使用する車両は「スカイホップバス」の公式サイトで確認出来ます。今回は「レッドコース」はフルオープンタイプ、「ブルーコース」はハーフトップタイプ(新型)と公表された事から、メルセデス・ベンツ+UNVIに乗車したいと考え、後者の「ブルーコース」を選択しました。

東京駅丸の内口に位置する、丸の内三菱ビルのチケットカウンターで6時間券を購入。のりばで検温を実施後、車内へと向かいます。



「屋根付き座席」にするか「オープントップ座席」にするか悩みましたが、まずは車両前方の「屋根付き座席」へ向かいました。



こちらが「屋根付き座席」の客室です。

右上の箱は空調装置です。冷暖房に加え、この客室は屋根があるので降雨時にも力を発揮する事でしょう。



最前部からの眺めです。サイドのガラスも大きいです。



各座席に設置されているのが、ガイダンスサービスです。

GPS連動の音声装置で、乗車券購入時もしくは乗車時に渡されるヘッドホンを挿して利用します。日本語の他、英語、中国語、韓国語など7言語で、GPSで計測した場所に応じた観光案内を聞く事が出来ます。



東京タワーや、東京プリンスホテル・増上寺を経由後、首都高速へ。

「ブルーコース」の一部便はお台場も発着するのです。



レインボーブリッジを渡ります。



東京テレポート駅(ビィーナスフォート前)に到着。

車内の乗客の半分くらいは、ここで降車しました。皆さん、水陸両用バスの「スカイダックバス」に乗り換えるようです。



せっかくなので、丸の内三菱ビルまでの戻りは「オープントップ座席」にしましょう。



ふと、床を見ると、舞い降りた黄色のイチョウが一葉。

オープントップらしい、風流なワンシーンです。



バスは、再びレインボーブリッジを渡ります。

強い風が身体に吹き付けます。屋根付き座席で過ごした往路とは全く違う感覚でした。屋根は偉大なり。

でも、空は広く、とても爽快な気分です。



ちなみに、足元には暖房があるので、ある程度の寒さまでは大丈夫そうです。



それにしても、いつも、2階建てオープントップバスから見る道路看板のサイズには驚かれされます。

手を伸ばせば、当たるんじゃないかと思う程、近くに見えます。



首都高速を降り、銀座を通過すると、まもなく1周です。



丸の内三菱ビルに戻ってきました。

このコースの所用時間は1時間16分。6時間券は初回の乗車から6時間有効なので「ブルーコース」だけではなく「レッドコース」を1周しても、時間はまだまだ余ります。他の2階建てオープンバスにも乗車したいという方は、両コースにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

「スカイホップバス」は12月から冬眠期間に入り、3月から再び運行再開する予定です。まだ2021年の価格は発表されていません。6時間1000円券が設定されるかどうかはわからないので、お得に乗車したい方は11月29日までに乗車するのがよいかと思います。

<撮影2020年11月>

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フジエクスプレス 富士五湖線「アストロメガ」

2020年11月15日 | バス旅(乗車記)
フジエクスプレス 富士五湖線「アストロメガ」
バスタ新宿 10時45分発




今回のバス旅(乗車記)は、フジエクスプレスの富士五湖線です。

最新型の二階建てバス、スカニア「アストロメガ」に乗車して、バスタ新宿から山中湖平野まで向かいます。



アストロメガへの乗車は「思い立ったが吉日」とばかり、当日の朝、突如決めました。

予約サイトで「富士急」「2階」と表示される便を探します。現在、フジエクスプレスのアストロメガには固定運用がなく、数日前まで運用がわからないので、早期に便を指定して購入するには難易度が高い車両です。新宿~河口湖駅間の運用に充当される傾向がありましたが、今日は予想外にも、山中湖平野行きで発見しました。インバウンドで賑わっていた頃は平日でも空席を探すのが一苦労だった富士五湖線も、今や空席だらけ。希望する1Aの席がすんなりと確保出来てしまうのが「Withコロナ」の現状を物語っているかのようです。



発車の10分前に改札が始まりました。運転手さんはタブレット端末を手に乗車券やスマホの画面を確認していきます。

観光目的でしょうか。私の前には御高齢のシニアグループ客がいましたが、2階への階段を目前に「私、二階建ては初めてよ!」とはしゃぐ素振りを見せていました。見た目で判断して失礼ですが、てっきり、長い階段にウンザリする反応をすると予想していたので意外でした。楽しみにしている観光目的だと、階段という「バリア」も、旅の思い出の一つになるのかもしれません。(人にもよるでしょうが)



歩幅を合わせるように、私もゆっくりと2階への階段を上りました。

2階の車内を見渡すと、ブラウンの座席が並んでいました。

アストロメガは各事業者で導入が進んでいますが、KIEL社製の4列シートは概ね共通ながらも、座席のデザインは千差万別です。そもそも、アストロメガは各事業者のフラッグシップとなるケースが多く、それもあってか座席デザインはオレンジやレッドなど、主張する配色にする事業者もあります。フジエクスプレスは落ち着いた配色となりました。



座り心地は、なかなか良い感じです。

強いて言うとすれば、飲み物を置く「カップホルダー」があれば便利だと感じました。



さて、バスは10時45分にバスタ新宿を発車しました。

二階建てバスらしく、いつもの景色も見下ろすような印象です。



アイポイントの高さは首都高速に入ってからも感じられました。

ハイデッカーでは遮られてしまう側壁も、ダブルデッカーならば難なくクリア。普段は見えにくい笹塚駅や明大前駅、更には一瞬でしたが、京王バスの旧世田谷営業所も確認する事が出来ました。



中央道に入り、中央道三鷹から乗車停留所が始まりました。

面白いもので、先にアストロメガを導入した京王バスでは、アストロメガを特急便の運用に入れています。たとえ、増車の2号車として運用に入れるケースでも、2号車だけが特急便の設定になるのです。それに対して、フジエクスプレスでは、各駅停車タイプでの運用です。同じ富士五湖線の共同運行事業者でも、運用方に違いがあるのが興味深いところです。



山梨県に入り、中央道上野原から降車停留所が始まりました。



ここまで曇り空でしたが、西へ向かうにつれ、徐々に天候が回復してきました。

日差しがポカポカと眠気を誘います。



ポカポカの影響もありますが、車内は暖房がしっかりと効いていました。前方付近にはヒーターが設置されているので、そのせいもあるのかもしれません。ちなみに、私が初めてアストロメガに乗車したのは、茹だるような酷暑の夏でした。クーラーでキンキンに冷やされた車内が印象に残っています。夏季のクーラーといい、今回のヒーターといい、力強い空調機能は頼もしい限りです。



大月JCTでは、河口湖方面(富士吉田線)へ進路をとります。ここで本線とはお別れです。



リニアモーターカーの高架線を潜ると、、、



しばらくして、富士山と正対しました。

今日は靄がかかっていますが、それでも、この景色を外国人旅行者が見たら、さぞかし喜んでくれるのではないでしょうか。インバウンドが戻ってきたならば、是非ともアストロメガの先頭座席に座り、そびえる富士山を眺めて欲しいです。



高速道路を降りると、まもなくして富士急ハイランドに到着です。

ハイランドの駐車場には、観光バスが20台以上並んでいるのが見えました。長電、静鉄、遠鉄…等々、貸切バスも徐々に稼働しているのが感じ取れました。



河口湖駅に到着。車内の乗客のほとんどは、ここで降車した模様です。

余談ですが、降車ボタンを押すと、古風な音色で「チンコン♪」と音が鳴ります。最新型の欧州車には不釣り合いな響きですが、これはこれで趣きを感じられました。



富士山駅を発車すると、山中湖へ向けて国道を進みます。

乗客は少なくなりましたが、この先は富士五湖線の魅力がたくさん詰まっている区間です。



15分ほど走ったでしょうか。いよいよ山中湖が見えてきました。



湖畔の道路を走る、この景色を二階建てバスから見たいと、乗車時から楽しみにしていました。

今日のアストロメガが、河口湖駅行きではなく、平野行きの運用に入ってくれて幸運でした。



まもなく、山中湖旭日丘です。

再び古風なチャイムが車内に響きました。バスタ新宿で私の前に乗車したシニアグループは、旭日丘で降車しました。この後は水陸両用バスの「KABA」に乗車(乗船?)するのでしょうか。山中湖を楽しんできて下さいね♪



そして、終点の山中湖平野に到着。平野まで乗車したのは私一人でした。

最後になりますが、京王に2台、フジエクスプレスに2台と、計4台のアストロメガがデビューした新宿~富士五湖線。昨今の情勢から判断して、乗客数の回復には、まだ時間がかかりそうですが、コロナ禍の落ち着きと、大きな輸送力が求められる日々が戻る事を願い、今回の乗車記の締めとさせて頂きます。

<撮影2020年11月>

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする