見出し画像

Retro-gaming and so on

Advanced Fantasian



Advanced Fantasianとは、クリスタルソフト謹製のRPG「ファンタジアン」の続編である。
まるで「ファンタジアン」と言うRPGの改良版、のように聞こえるが、そうじゃない。続編なのだ。

さて、クリスタルソフト。
日本の黎明期のRPGでバカ売れした「夢幻の心臓」を作ったメーカーである。
とは言っても、何度か書いたが、僕は全く「夢幻の心臓」と言うゲームを評価していない。
人によっては「ドラクエは夢幻の心臓のパクリだ」とか言ってるみたいだが冗談じゃない。この2つのゲームは天と地程の差がある。
言っちゃえば「夢幻の心臓」は「ウィザードリィの戦闘画面とウルティマのマップ画面を合わせただけ」のゲーム、ドラクエは「ウィザードリィマニアとウルティママニアが手を取り合って作り上げたゲーム」である。
思想もクソも全く違うんだ。

夢幻の心臓は、あたかも

「ウィザードリィもウルティマも自らプレイした事がないヤツが画像写真だけを頼りに、"海外で人気が出てるから日本でも人気が出るだろう"と安直な発想で作ったゲーム」

に見える。定数による殴り合い、なだけでエキサイトもクソもするわけがない。ひっじょーにつまらんゲームだ。
ドラクエがパクリだって?冗談やめてくれ、ってなトコだ。夢幻の心臓にはドラクエのような「作品制作にかける丁寧さ」なんざ微塵もない。ハッキリ言えば「ロールプレイング・ゲームとは何か」なんつーアイディアさえ内包してねぇんだ。
嘘だと思う?
しかし、今でもファミコンのドラゴンクエストはプレイ出来るレベルだろう。ProjectEGGに行って夢幻の心臓を購入してプレイしてみろ。僕が言ってる意味が分かる筈だ。「ドラクエが夢幻の心臓なんかをパクリ対象にするわけがない」と。

さて、そんなクリスタルソフトが今度は「夢幻の心臓」と真逆のシステム、つまり

「ウルティマの戦闘画面とウィザートリィの3Dマップ画面を合わせただけ」

のゲームを1985年に制作して発売する。
これがファンタジアン、と言うRPGだ。
まぁ、現代から見ると「あのクリスタルソフトが制作したソフト」なんだから期待は出来ない。そして大まかにはその通りなんだ。
ところが、このゲームでやっとクリスタルソフトは「RPGのシステムを朧気ながら」理解しはじめたらしい。その魅力は「キャラ育成なのだ」と。
いや、「夢幻の心臓」でもキャラ育成はあった。しかしそれは「楽しみ」と言うよりは「苦行」だったんだ。とにかく何でも金、金、金、と(※1)。
ところが、クリスタルソフトはファンタジアンに於いて、やっとウィザードリィのような「上級職業への転職」と言う面白い仕掛けを施そうとした。しかも全く間違ったやり方で、だ。
ファンタジアンに於いての上級職業への転職、ってのは次のようなスタイルだ。

  1. 低級職業の上限はレベル10。
  2. 上級職業への転職条件は低級職業がレベル10に達した時。
  3. 上級職業への転職によってレベルが1に戻り、レベルを上げる為の必要経験値は倍増する。
どっかで聞いたことないだろうか・・・・・・そう、一見Wizardryを模してるようだが実際はファイアーエムブレムに近い(※2)。
しかし、こんなシステムは登場キャラが多く、互いにカバーが出来るファイアーエムブレムだから良いようなモンで、パーティメンバーが最大でたった5人ファンタジアンだと致命的なシステムだ。メンバー全員が同時に上級職へ転職してレベル1になりました、だったら即全滅だろうね。
つまり、着眼点は良いんだけどシステムとしては間違っていたのがファンタジアンだったのだ。

とまぁ、印象的にはあまり良くないゲームなんだよ。
しかもこのゲームの発売の1年後にはもうドラクエが発売され、そのまた1年後の1987年にはRPGの主戦場もファミコンになってしまう。
PCのRPGなんざ、基本落ちぶれていく一方なんだ。


「アドヴァンストファンタジアン」 これ!全く期待してなかったのに戦闘システム、成長システム、シナリオもすごく良かった・・戦闘は後のタクティカルコンバットですね。

ええ〜、ウソ、マジで?とか思った。
ホンマかよ?と。
そしてネットで検索すると、

ホンマか?こいつらこの評ってのはアタマ打ってないか?大丈夫か?

ってのが僕が率直に最初感じた事だ。
だってさ、夢幻の心臓なんてサイコロどっかに置き忘れてきたような実装してんだぜ?
そんなメーカーがどうして急にTRPGに目覚めるの、と。
だって言っちゃえばTRPGも知らずにインチキRPGを作ってたメーカーなんだよ(笑)。
要するに、ドラクエのような本格的なCRPGを作る奴らが出てきてしまえば、圧倒的に淘汰される側の奴らなんだ。

しかしナメてた・・・・・・上の評はホンマだった・・・・・・。そして星田さんは正しかったのである・・・・・・。
言っちゃえば続編とは言っても、前作は1985年発売、今回は1988年発売、3年も間開けててドラクエによるRPGブームを「良く観察した後」である。
結果、前作ファンタジアンと今作アドヴァンスト・ファンタジアンは名前は絡んでるんだけど事実上まるで別物なんだ。

全く知らんかったんだけど、アドヴァンスト・ファンタジアンはラプラスの魔(1987年)に遅れる事一年、で登場した国産のスキル制RPGだ。
ドラクエのお陰でやっとこさ国産PCのクオリティも上昇しだした頃の作品で、そして既存の「クラス制RPG」にルーンクエスト型の「スキル制」をちょっと付け足そう、と言う試みがチラホラ出てきた頃の作品でもある。

まぁな、考えてみればこのアドヴァンスト・ファンタジアンが発売されてすぐにクリスタルソフトとグループSNEはタッグを組んで史上最高の傑作RPG「ソード・ワールドPC」のプログラミングを始めるわけだ。
・・・・・・んでこのソード・ワールドPCの開発中にクリスタルソフトは資金難に陥ってT&Eソフトに買収されるんだ。
そういう意味ではこのアドヴァンスト・ファンタジアンはクリスタルソフトの最後っ屁かもしんない。

※1: このシステムはむしろ、Ultimaの影響と言えるんで(Ultimaこそ、何でも金、金、金、のゲームだった)、実は黎明期の日本のRPGに与えた影響はWizardryよりUltimaの方が大きかったと言える。キャラのパラメータの最大値が100、とかTRPGじゃ考えられないようなシステムの大体の元凶はUltimaだと考えて、まぁ、間違いないだろう。
そしてこの「偏り」を是正して、AD&Dまで行かなくてもWizardryに近いレベルに戻して、「なおかつ全体を調整し直した」のがドラゴンクエストだ、と言う言い方が出来るだろう。
この辺りのバランス感覚が、「TRPGに全く興味が無かった」と発言してた割には感覚が鋭い堀井雄二の天才性故、のものだろう。

※2: もちろん、ファンタジアンは1985年、ファイアーエムブレムは1990年発売、なんで、当然ファンタジアンがファイアーエムブレムからパクるのは不可能である。
  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「PC-8801」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事