(承前)
年末煩悩編
数日前の空
*4
変な話しなのですが、子供の頃は雲は動かないものと思っていました。
空には一枚の絵があって、夜の間に誰かが描きかえるのだと思っていました。バカだったのではなく、子供はだいたい空を見上げるようなことはしないし、他の遊びに夢中だったからだと思います。
大人になるにしたがって、どうやら、雲は動くものらしいと感じ始めましたが(笑)、あまり関心はありませんでしたし、その暇もありませんでした。それどころか、夜空に雲は見当たらないので本当に描きかえているのだという思いを強くしたのでした。そうではなく、昼も夜も雲が存在し、動いていくのだと分かったのは今からそう遠くない頃でした。
とは言え、現在でも雲が移動するということが完全に理解できているとは言えない気がします。空や雲を見るのは嫌いではないのですが、どうしてこういう感覚なのか自分でも不思議に思います。空気や水のように当たり前のことには関心を持たないのと同様なのでしょうか。やっぱりバカなのかも知れません。
来年は一人でゆっくりと空を見上げ、「おうい雲よ…」などとのんきそうなことを言ってみたいものです。
キーの機能割当てをラベルに書いてを貼りました。
*5
今年は生まれて初めてピアノのレッスンを受けた年になりました。
弾いた曲の中に『旅愁』(オードウェイ)がありました。懐かしの唱歌系ですが、歌詞をよく読むと長調のメロディーとは裏腹に恐ろしいほどに寂しい内容に驚きます。明治時代の訳ですから感覚の差を差し引いたとしてもです。
詫びしい旅の身で思い出す遥かな故郷、今は亡き父母との幸福な生活。窓の外は嵐…という状況は落魄を通り越してほぼ行旅死亡人の局面です。
しかし、どこか不自然でどこか余裕のある感が漂うのです。侘しいと言える余裕のようなものが。詞が作り出す光景は想像の世界のようにも見えますし、作者の身体は決して侘しい環境には置かれていないのでは?という疑念が湧きます。考えてみると不思議な曲です。
ともあれ、スローテンポで弾いたりするとしみじみとするのはなぜでしょうか。
*6
今年は生成AIのニュースが増えました。導入する自治体や企業も多いようです。
私は慎重派ですが、医療分野は別です。治療の知見や最新の研究情報をAIに読み込ませ、各医療施設で利用できれば、初診の段階で最適な治療法を選択できるのではないかと思います。
なかなか治らず、病名も分からず、方々の病院を転々とするようなことがなくなれば、患者の負担や医療費の節減に貢献するでしょう。ドクターとともに医療コンシェルジュやコーディネーターがAIを活用してくれればよりよい医療体制ができるのではないかと思います。
うーん、初夢に期待する方がいいか…
*7
噂では年内にでも発表されるとのニコンの新しいAPS-C判カメラはとうとう出ませんでした。
やはり、ニコンはフルサイズ機に傾注してAPS-Cに冷淡なようです。まあ、コロナ禍以来の生産体制の変化が開発や生産に影響していることもあるでしょうが。
しかし、待たされます。Z 50発売から既に4年。意欲的な新型APS-C判カメラ(Z 60からZ 90まで幅広い予想)が欲しいところです。実は乗換えも考えましたが、ここまできたら軽挙妄動は慎み、果報は寝て待てということで来年を待つことにします。∎
写真は記事内容とは(あまり)関係ありません。3,4番目の画像は再掲です。
Pentax Q7 / 01 Standard Prime 8.5mm 他
Pentax Q7 / 01 Standard Prime 8.5mm 他
第九の季節ですが、同じベートーベンの六番を弦楽六重奏で。年末の忙しい日々こそ「田園」でのんびり気分を。
昔、交響曲も基本は弦楽四重奏だと何かで読んだ覚えがありますが、たった6丁の弦楽器からフルートやホルンの音色が聞えてくるようです。編曲も演奏も優れていると思います。
Beethoven : Symphony No. 6 ‘Pastoral’ for string sextet arr. Michael Gotthard Fischer (1773-1829)