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アレクサンダー・テクニークのこと

2020年10月23日 | チェロ
昔から気になっていたアレクサンダー・テクニーク。何十年も前に音楽家用と題する本を買ってみたのですが、チェロや弦楽器専用ではなかったので、あまり参照することもなく書架の片隅に眠っていました。それからはアレクサンダーテクニーク自体が話題になることもなく忘れかけていました。
最近、近くのNHK文化センターでアレクサンダーテクニークの講座があるというので思い出し、何事も経験と思って申し込みました。

アレクサンダー・テクニークを私なりに一口で言うと、オーストラリア人で舞台俳優であったアレクサンダー氏(Frederick Matthias Alexander, 1869-1955)が、自分の喉の不調を改善していく過程で編み出した自己の身体の使い方ということになるでしょうか。身体を使う人は、まず、自分の身体の成り立ちや動き(ボディ・マッピング)をよく知り、思い込みや刷り込みを捨てて本来の身体の動きを獲得するということ必要であるといいます。そのために、身体のパーツである骨格や筋肉を知ることが大事であるとされます。
アレクサンダー・テクニークは、音楽や芸能関係の人々に受け入れられて、演奏や芸術表現に役立っているということです。ヴァイオリニストのメニューイン(Yehudi Menuhin, 1916-1999)もそのひとりだそうです。


アレクサンダー・テクニークには即効性がほぼありません。つまり、自分で感じ、考え、試行錯誤しなくてはならないので大変時間がかかります。
例えば、身体の中心を意識し、頭頂、頚椎、背骨、骨盤、足の骨までを感じなさいと言われてもなかなか難しい。疑い深い性格の私には特に難しいです。自分の身体の中を覗いた人はいないのだから。
しかしながら、身体の作りはそんなに杜撰なものではないらしく、張り巡らされた神経系が意識外で働いているので、イメージを頼りに体内を意識できるといいます。少し理解が難しいのですが、神経システムについては分かるような気もします。表面のことに目を奪われがちな現代においては、体内の感度を磨くということは大切なことに入るかも知れません。

そういうわけで、私は教室で学んだことを基に日常生活をアレクサンダー・テクニークで送っています。というのは偽りで(笑)、ほとんど忘れかけていて、時々、思い出しては身体の中心を意識して歩いてみたりしている程度です。アレクサンダーテクニークでは、何気なくやってしまっている自然に反する動きを「捨てる」ことが大事なので、前述の表現自体が誤っているのです。
これでよいのだ、と今は思っています。そして、いつかは今まで身体を動かすために行ってきた動作を気付かないうちにしなくなっているといいな、と思っています。そう考えると、アレクサンダー・テクニークは身体の使い方を変える技術と言うよりも身体や生活習慣の断捨離、あるいは身体と密接につながった哲学に近いものなのかも知れません。

アレクサンダーテクニークのために少し補足すると、腕の筋肉や筋膜が腕だけでなく肩を超えて腰附近に至るまで繋がっているということを知ってから、ボウイングが少しよくなったように感じています。まあ、微妙な個人の感想なのですが(笑)、知っていて動かすのとそうでないのとは大きな違いになると思っています。


4 コメント

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Unknown (桂蓮)
2020-11-03 01:45:20
アレクサンダーテクニックが話題になるとは
案外でしたので、新鮮な響きですね。

実は、バレエを始めた時に
そのテクニックについて
私なりに調べてたときがあります。
姿勢の理解のために凄く役に立ちましたね。
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いつかは (cellisch)
2020-11-03 11:24:24
桂蓮さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
貴ブログ、いつも興味深く拝読させていただいております。

私がアレクサンダーテクニークに興味を持ったころは、他にそのようなメソッドもなかったように思います。反対に、現代は体や健康のことについてたくさんのメソッドがあって多様化していますからアレクサンダーテクニークの影が薄くなっているかも知れません。加えて、肉体強化とか健康増進という効果は考えていないですし。
実際、私の通った教室も生徒さんは数名でした。それはそれで個人レッスンに近くてよかったのですが。

バレエにも役に立ったのですね。バレエなどと楽器演奏でも基本は姿勢だと考えられますからアレクサンダーテクニークを学ぶことは有益なのですね。
普段は身体の使い方など意識しない(できない)ので、アレキサンダー氏が考えていた無理のない動き、自然な表現へつながる体の使い方や意識の持ち方がとても難しいと感じますが、そういう意識をもって生活していればある時点で不意に合一できるのかも知れない、と、それをちょっと望んでいたりします(笑)。
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Unknown ()
2020-11-08 11:02:04
私はチェロ大好きです。
寂しい時、幸せな時、鬱な時
チェロを聞くと落ち着きます。

稽古、厳しくなさっているようですが、
いつか、望む音を出せることを応援しています。
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Unknown (cellisch)
2020-11-08 19:08:43
桂蓮さん、コメントと応援ありがとうございます。
最近は、気力はあっても体力が続かずで少しゆるい練習になっています(笑)。でも、もう少し頑張ろうかな。。

そちらも選挙が終わって早く落ち着きが戻るといいですね
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