かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

記念すべき1本目

2011年12月04日 | KIMONO
昔、外科病理学の手ほどきを受けたK先生が退職するので、「送る会」に出てほしいと、その頃知り合った技師さんからメールをもらった。

K先生のいるO日赤病院の病理部に勉強に通ったのは、パキスタンから帰ってきて、まだ休職期間中だった。
生涯で一番黒く日焼けした顔で、家で何もせずに数日間ボーっとしていたら、退屈で気が狂いそうになった。
そんなとき、「暇にしているんなら、俺のところに勉強に来い」と、K先生が声をかけてくださった。

通ったのは3ヶ月間だけだったけれど、その頃知り合った検査技師さんたちとは、その後一緒にアメリカ旅行などにも行ったりした。
ちょうど、私生活では離婚ドロドロ劇の最中にもあって、皆さんに仲良くしてもらって精神的にすごく助かった。

あれからもう随分と時がたってしまって、何年も連絡をとらないでいたけれど、忘れずに声をかけてもらって、とても嬉しい。
来年2月に予定されているという会には是非伺うと即答した。


恩師の新しい門出を祝う会であるから、もちろん、キモノで行くことにする。

そこで、これはまたとない良い機会(口実)と思い、前々から欲しいと思っていた道明の帯締めを1本手に入れることにした。


帯教室が終わってから駆け足で上野へ。
雑然とした飲み屋街の一角にひっそりとある老舗。
着物ガイドブックなどで見たことがあったが、小さな店内にはずらーっと綺麗に帯締めが陳列されていた。

奥からはカタンカタンと紐を組んでいる音が聞こえる。
その音がやんだと思ったら、道明の文字の入った干菓子とお茶をサービスされた。


来週できあがる予定の自作のイカットの帯の端切れを取り出して、『これに合う無地の冠(ゆるぎ)組が欲しいんですけれど』と相談した。

すると、まず「これなんかどうでしょう?しっくりいくと思います」と提案してくださったのが、帯の地色と同じクリーム系のものとさび色系の二本。


『馴染む感じではなくて、なんというか、ピリッとさせたいんですけど』と、アタマのなかだけで想定してきた青緑色をあててみた。


「ああ、なるほど。そういうお色も良いですね。小物が生きてきますね。でも、少しくらい感じがしますね」

たしかに、合わなくはないけれど、ちょっと暗い。


「黄色もよございますよ」

3種類くらいあるうちの黄色系から、お店の方が選んでくださったのが支子(くちなし)色。
この色は帯にも一部使われている。


「これくらい明るいほうがよろしいかと思います。これでしたら、まちがいございません」


馴染みすぎず、主張すぎもせず、それでいて存在感はあり、なにより全体が明るくて幸せな雰囲気になった。

道明の帯締めの記念すべき1本目は、支子色の冠組に決めた。


クチナシ(梔子、巵子、支子)
学名:Gardenia jasminoides
花言葉:幸せを運ぶ 清潔 私は幸せ 胸に秘めた愛







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