風のたより #141 千葉甫 2020-01-10 13:54:33 | 短歌 マウスの手止めて見守る久々に電線に来た三羽の雀 道幅に散った落葉を今日は踏む週に一回行く裏通り 曲がり角曲がった私に真向かって強くはないが冷えきった風
風のたより #140 千葉甫 2020-01-08 13:57:06 | 短歌 一人でも生きていけるという思い薄れてゆくのを老化と言うか まんまるく白い太陽見せていた雲の厚みを増して午後ゆく 遠近感曖昧となる真夜中の来る物音の推理巡らす
風のたより #139 千葉甫 2020-01-06 13:54:00 | 短歌 この夜もほゞ同じ頃長々と音を引きつつバイクの通る 声あって覗けば喋っているテレビだあれも居ない夜更けの部屋で 遠い日に聴いた私と今聴いている私とを繋ぐレコード
風のたより #138 千葉甫 2020-01-04 13:48:56 | 短歌 留守電に声を残していた人の訪れないまま十日が過ぎる あれをまた忘れていたのを思い出す思い出すのでまだ大丈夫 足音と共に微睡去ってゆき私は湯船の湯の中に居る
風のたより #137 千葉甫 2020-01-02 14:06:17 | 短歌 閉じている瞼を一瞬陰らせてよぎったもののある冬真昼 そくそくと背中の冷えるこの夜の窓に来ている白い満月 遠い日に愛聴していたレコードの出てきて記憶にその歌う声