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野生のニホンジカに給餌(きゅうじ)器で硝酸塩入りの餌を与える実験=静岡県東伊豆町、県農林技術研究所森林・林業研究センター提供

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 食害が深刻なニホンジカを硝酸塩の入った餌で駆除する方法を静岡県職員らが考案した。一度胃にのみ込んだ食べ物を口に戻して徐々に消化する「反芻(はんすう)動物」の特徴を利用したものだ。「シカ対策は待ったなし。銃やわなを使った駆除より人への危険が少ない」とし、他の動物への安全性を確認しながら実用化を目指しているが、「残酷だ」といった声も出ている。

 考案したのは、県農林技術研究所森林・林業研究センターの大場孝裕上席研究員ら。硝酸塩が反芻動物の胃に入ると、細菌で亜硝酸塩に変わる。すると、赤血球が酸素を運ぶ能力を奪われ酸欠に陥り死に至る。

 大場さんらは1~2月、同県東伊豆町で住民の同意を得て効果を確認し、致死量も判明させた。「餌に避妊薬を混ぜる方法は他の動物に影響が出る恐れがあるが、この方法は反芻動物以外に影響がない」と話す。