夏の風物詩

社会主義の香り漂う団地に引っ越してきて初めての夏を迎えています。
その社会主義の香り漂う団地の夏の風物詩と言えば、断水ならぬ、断湯です。毎年ボイラーのメンテナンスだと思うのですが、数日間お湯が出なくなります。掲示板に張り出されているお知らせによると、昨日、今日、明日の３日間。ここへ引っ越す前に住んでいたアパートには各家にボイラーがついていたのですっかり忘れていましたが、そういえば私が初めに一人暮らししていたアパートでもありました。そのときは工事もしたようで１０日間くらいお湯が出ないとのこと、数日は我慢しましたが、さっさと荷物をまとめてマルツェルの家へ行った記憶があります。
お湯が出ないと言っても、水は出るので沸かせば良いだけのこと。更に洗濯物は洗濯機が、お皿は食洗機が洗ってくれるので、不便なのはシャワーが使えないだけのことなのですが、なんだかそれでも蛇口からお湯が出てくることのありがたさをしみじみ感じます。義父母の家にシャワーだけでも浴びに行かせてもらえば良いのでしょうが、数週間前に義父母のところが断湯だったとき、義父母はそんなことは一言も言わず、そして家にも来なかったのです。なんだかそれでは私たちも行きにくい、幸いネルカは義父母のところにお泊りしているし、サクルカはベビーバスで十分、明日には復旧するはずなので、あと１日半ほどの我慢です。



今年は冷夏なのでしょうか、暑い日はほんの数えるほどで、あとは涼しく爽やかな日が多いです。天気は良いけれど今日も外は一枚羽織らないとちょっと肌寒い、高原のような気候です。それでも庭の収穫物は今年は比較的良さそうです。苺が終わり、サクランボも例年より早くこの週末に収穫、義母がせっせとコンポートやケーキにしてくれました。庭のコテージの屋根の下にはバザ（ニワトコ）とミント、メドウカ（レモンバーム/メリッサ）、ディルを吊るして乾燥させています。アサツキは昨日刻んで冷凍しました。今はラズベリーとグリーンピースが旬です。以前グリーンピースは生で食べると甘くて美味しいと書きましたが、今年はサクルカがグリーンピースのその美味しさに心を奪われてしまい３食の食事もいらないと言うほど食べています。庭の片隅にちょこんと座り、小さな指でサヤからグリーンピースを一粒ずつつまみだし、次から次へと口に運ぶ姿は本当に可愛らしく、こちらもずっと見ていたくなってしまうのですが、こんなに食べてお腹を壊さないだろうかと心配にもなります。今のところ大丈夫そう、そして義母も新鮮なグリーンピースは今しかないのだから、食べたいだけ食べさせなさいと言い、あまり制限するのもやめました。毎日ボール一杯分は食べていて、サクルカは青虫にでもなったようです。


せっせ、せっせと一粒ずつ食べていたサクルカ、今はお皿にさやから豆を出し、何粒かを一気に食べることはまっています。

いつもは庭で採れたグリーンピースを少し茹でて冷凍し、冬にとっておくのですが、保存用どころか、今年はまだ一度も料理にすら使っていません。全部サクルカに食べられてしまいそうです。

それからもうひとつ、夏の間に確保しなくてはならないものをやはりマルツェルが職場の同僚から買ってきました。

それはコハク色で甘いもの、きっとみんな大好きだと思いますがスロバキア人は特に好き、蜂蜜です。種類は大きく２種類、花の蜂蜜と森の蜂蜜があります。森の蜂蜜は色が少し濃く（暗く）本当に森林の香りがするから不思議です。


これらは花の蜂蜜

大好きなだけにこだわる人も多く、スーパーでももちろん売っていますが買う人はいるのでしょうか…、知人などから家で採れたものを分けてもらう人が多く、私たちもそのうちの一人です。
だから、蜂蜜がなくなってくると私とマルツェルはソワソワ、今の蜂蜜は自分たちのものを食べつくしてしまい、義母に一瓶わけてもらったものです。我が家のありがちパターン、冬に蜂蜜をきらしてしまい、手に入らない（蜂蜜はその名の通り、ミツバチが花の蜜を集めたものですからね、花の咲いていない冬に蜂蜜ができるはずがありません）ということを避けるため、今年は５キロ（１瓶１キロ/６ユーロ）買いました。
これで大丈夫かな。

日本では年中スーパーでほぼあらゆる食材が手に入りますが、こちらはスーパーでさえ夏にしか出回らないものも多く、それが市場や庭なら本当に旬の旨みをギュッと詰め込んだものばかりなので、夏の内にたくさん食べておかないと、という気分になります。お陰で日本にいるときよりも旬の食べ物を意識するようになりました。