スロバキア、タトラ山脈の麓より

スロバキア人の夫と2人の娘と私の生活
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なんだかなぁ・・・

2018-11-16 | スロバキア2018
昨日スーパーの駐車場で「こんにちは」と女性が私に挨拶しました。よく見ると私とマルツェルのかかりつけ医の看護婦さんです。

数年前休暇で行ったクロアチアで偶然同じ宿に泊まって以来、ぐっと親近感が湧き、病院に行ったときも挨拶以外に少し話をするようになりました。「お元気ですか。」にはじまり、「あぁ、私、血液検査の再検査に行かなきゃならないんだけど、まだ行ってないんです」と話すと、「私、もうあそこで働いていないのよ」と。

え~っ!?先生は悪くはないけれど、特別良くもなく唯一のメリットは待ち時間が短かったこと、それも最近は患者が増えてきて、2時間待ちは普通です。よっぽどのことがない限り行く気にもなれないのでマルツェルとかかりつけ医を変えようかとも話していたのですが、でもせっかく看護婦さんと顔見知りになったし、と変えずにいたところにこのニュースです。

ならば今はどの先生の看護婦さんをしているのか(行けるものならその先生に変えたい)と、あれこれ聞いてみると、どうやら先日デンマークからのインターン生と行ったStara Lubovnaにお住まいだそうで、そちらの病院に変えたのだとか。

そんな遠くから毎日通っていたのだそうです。ここポプラドから距離にして50キロほどですが高速道路がないので車でも小一時間ほど、看護婦さんはバスで通っていましたからきっと通勤に結構な時間がかかっていたはずです。 通勤時間は5~30分以内が大多数な中、正直驚きました。だから家の近くに変えたのも納得ですが、もっと驚いたのが「7年間あの先生のもとで働いたのに、7年間1度も給料が上がらなかったのよ」「車だって必要だし、400ユーロじゃ生活できないわ」って。

400ユーロ… テキパキと仕事するとても優秀な看護婦さんでしたし、開業医につく看護婦さんは受け付・会計からカルテの管理、処方箋の発行、採血、何でもします。朝だって6時台から出勤しているはずです。こんな遠方からの通勤で子供もいて一体何時に起きて、何時に家を出ていたのでしょう。何よりこの、人の命に携わる専門職で月給400ユーロなんて。あの女医、すごい渋ちんだったのね。聞いている私まで腹が立ってきました。

スロバキアの最低賃金は現在480ユーロ/月です。この金額は税金や年金、健康保険、諸々が引かれる前の金額で実際の手取りはもっと少ないです。私の給与明細を見ても私の手取りも会社が支払っている金額の半分くらいですから。彼女の言っている400ユーロは当然手取りのことだと思うのですが、それでもいくら物価の安いスロバキアでも月収400ユーロでは家族を養えません。私の同僚のシングルマザーも最近仕事を掛け持ちし始めましたから。朝4時に起きて一つ目の仕事に行き、その後9時から私たちのオフィスに来ています。我が家のお隣の大学生、ショッピングセンターでのアルバイトは時給2.5ユーロだそうです。きっと同僚のかけもちのアルバイトだってそんなものでしょう。

その看護婦さん、交通費だけでも50ユーロくらいは使っていたはずです。賃貸でなく、アパートを所有していたって、光熱費と修繕積立費や何かで月170ユーロほど支払うはず、そして我が家の食費が一ヶ月200ユーロ以内に納まることなんて絶対ありません。給食費が(来年から無料になるらしいけれど)子供一人20ユーロほど、こんな給料で一人の収入だけで家族が生活するのは無理だと思います。看護婦さんは旦那さまがいらっしゃいましたが、それにしてもこの給料、スロバキアのこの生活レベル(収入)の格差、なんなんだろう・・・。(医者の友人は車4台持っていますから)夜眠りにつくまで何度も何度も頭の中に看護婦さんの姿が浮かびました。


看護婦さんの町、先日訪れたStara Lubovnaのスカンゼンにある木造教会内部


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