女性は田舎を好まない
しばらく父にべったり離れず
くっついていたかと思えば
ほとぼりが冷めた頃を
見計らったかのように
出稼ぎだとか何とかいっては
福岡へ行き
そこからまた
母国へ帰るなど
父を1人にするようになった
ワタシは常に父を気にかけているものだから
いつものように電話をすると
「たまには遊びにいらっしゃいよ、今1人じゃ」
と
少し淋しそうなのは
女性の作戦か?
ワタシは父を景気づけるために
息子のバイトが休みの日には
ビールを持参して
時々実家へ顔出しに行った
ひと度お酒が入ると
以前のように
調子よく語る父がいて
ワタシ達を笑わせてくれもするけど
女性の話になると
「奥さんも、わしがなかなか死ぬらんから、面白ないんじゃろうのう」と
笑っていうことも
増えた
そのたびに
「悪魔ぢゃ」
「鬼ぢゃ」と
そういえば
「それでも、おらんにゃー、ちーと淋しいようなでー」
らしくないと言うことも
増えた
女性と籍をいれ
10年以上も経てば
母がいた頃とは変わってしまうのは
仕方がないのかもしれない
耳の聞こえは悪くなり
ゴルフや釣りをやめたことで
足腰も少し弱くなってきたのは
気になるが
掃除や洗濯
料理もこなせる父だから
家の中は割と綺麗にしているほうで
そこは心配が全くない
ワタシこそ
淋しい気がしたのは
室内干しがしてある
トランクスを
見つけた時だった
ワタシの大切な
父と母との
思い出が薄れてしまいそうで
ちょっぴり悲しかった
つづく
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