デメニギス(Macropinna microstoma)
(Photograph courtesy Monterey Bay Aquarium Research Institute)
銀白色の長い魚
カジキととある深海魚の交じり合ったハイブリット神聖様式
は湖から海へとその存在を瞬間移動させる
私と幾人かの人々は溺れているのか浮かんでいるのかわからない
時々底の方へと足を曳かれそうになるだけで
それが即死に繋がるというわけではない
はじめに波打ち際にあったのはイッカクの死骸に見えたのが
漸う螺旋形の角がのたうつ鰭へと変化して正体不明の魚類へと変貌する
浮揚と溺レの交換関係はここから始まり
淡水と海水の置換が同時進行形で起こりうる
夢と魚サカナトユメは近親相姦を模倣して
デメニギスの透明に透けた頭部の中で見られた現象に舌鼓を打つ
「世界を捲りなさい」
一枚一枚丁寧に捲ったらば
ここはそこ一番近いペイブメント
玲瓏たる月明りがのたくる幽冥界に
我々は住んでいる
我々以外も住んでいる
貴方のその美しい畸形の中へと
この葡萄色の潜在意識を隠して欲しいと望みながら
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人はデメキンを交配し
(即ち畸形をつくりあげる)
それを愛で
このような海の底の方では普遍的なデメ魚にさえ
摩訶とした愛情を注ぐ
それは恐ろしくも夢幻に満ちた至極当たり前のことであったとしても