『明日に架ける愛』～八千草薫とアレックス・ルー

今日は関東も雪になりましたねー。旧正月ももうすぐなので、雪が気分を盛り上げてくれます。ちなみに、今年の元旦は１月23日（月）です。早く来い来い龍年元旦。

旧正月というと、やはり中華圏＆韓国の専売特許、ということで、ここしばらく、その辺りの映画をご紹介していくことにします。その第１弾が、昨年の東京国際映画祭で特別上映された＜日中友好40周年記念作品＞『明日に架ける愛』。まずは作品データからご紹介しましょう。

 

Copyright:「明日に架ける愛」製作委員会

『明日に架ける愛』
　出演：市井紗耶香、アレックス・ルー、大森絢音、林　遼威、高田宏太郎、加藤夏希、
        大杉漣、馬蘇、山本未來、高嶋政宏、八千草薫
　監督／脚本：香月秀之
　製作：アンダーゼットグループ／アドネス／フレッシュハーツ／トップライン
　配給：ティ・ジョイ

　公式サイト（予告編がすぐ始まります）　　YouTube版予告編

　３月31日（土）より新宿バルト９ほか全国ロードショー

 

Copyright:「明日に架ける愛」製作委員会

お話は、両親を亡くして祖母（八千草薫）に育てられた主人公（市井紗耶香）が、シングルマザーとなって仕事をしていくうちに、小学校時代同級生だった中国人青年（アレックス・ルー）と再会する、というもの。祖母はもと中国残留孤児という設定で、祖母の世代での日中交流と、主人公の日中交流とが二重写しになるように描かれています。

主人公の職業はファッション・デザイナーで、中国の有名モデルに着てもらうウェディングドレスを巡り、主人公の所属するアパレルメーカーの社長（山本未來）と、ライバル会社のイヤ味な社長（高嶋政宏）とが火花を散らすなど、トレンディ・ドラマ風の展開もあります。また、中国側の責任者である青年と主人公とが会う現場を主人公の元夫がパパラッチしたり、高嶋政宏扮する社長があれこれ脅しをかけたりと、昼の帯ドラマ的要素も結構入っていたりします。

Copyright:「明日に架ける愛」製作委員会

そんな、ともすればテレビモードに流れそうなところを救っているのが、八千草薫とアレックス・ルーの存在。特に八千草薫の祖母は、画面に出てくるだけで暖かな雰囲気を漂わせ、芯の強さを随所で見せて、この映画をぐっと引き締めてくれます。仕事優先で幼い娘のことはつい後回しになる主人公を叱り、「子供を育てることは命を繋いでいくことなんだよ」と言うキモのシーン以外にも、彼女が出てくるとそれだけで絵に厚みが出てくる感じです。おだやかな笑顔とやわらかな物言いなのに、画面にピッと緊張感が出るのが不思議です。 

Copyright:「明日に架ける愛」製作委員会

八千草薫は1931年１月６日生まれとのことなので、現在81歳。とてもそんなお歳には見えません。姿勢や動作もきれいで、文字通り高齢者の鑑です。うらやましいですね～。

もう１人、出てくると目を奪われるのがアレックス・ルー。北京電影学院出身とのことで、外見だけでなくしっかりした演技力がぶれない人物像造型につながっているのでしょう。日本語もとても上手で、これなら日本をベースに活躍しているのも納得です。さらに、倉木麻衣とデュエットしているこの映画の主題歌もなかなかのもの。あの倉木麻衣に負けていない歌唱力です。

アレックス・ルーに特化した短縮版予告編はこちら。また、事務所の紹介サイトと、彼の公式ブログも付けておきます。将来はぜひ、中国のひとクセもふたクセもある監督たちにも揉まれて、もっと大きく成長してほしいものです。

1972年の日中共同声明から今年で40年。まだまだ問題は山積ですが、個人と個人の結びつきからしか橋はかからない、とこの映画は教えてくれているようです。私個人としてはとりあえず、留学生に日々接することから日中友好を模索していきましょうかねー。