少し前になりますが、今年もカンヌ国際映画祭に参加なさったTIFF関係者の方から、恒例のおみやげをいただきました。本当にありがとうございます! 嬉しいカンヌのマーケット・データブック、こちらが今年の表紙です。
そして例年通り、このデータブックに基づいて、アジア映画産業の現状を表にまとめてみました。今年は、3年分のデータを一覧にしてみましたが、映画界の規模が小さいところは、さすがのカンヌも前年のデータがすぐには手に入らないようで、毎年前々年のデータが新たに掲載される、という形になっています。そんなわけで抜けもありますが、まずは大ざっぱな現状把握のためのデータとしてお役立て下さい。(スキャンした表を大き目のサイズにして貼り付けようとしたのですが、貼り付けると小さくなってしまって、どうもうまく行きません。小さくて見にくい方は、画面を拡大して下さいね)
目立つのは、中国映画の製作本数の急上昇ぶり。スクリーン数も毎年1万ぐらいずつ増えているので驚きですが、製作本数は2014年の618本が2016年は何と944本という、1.5倍の増加ぶりで、これには唖然とするしかありません。相変わらず、映画への出資が途切れないのでしょうか。
その中国で、アーミル・カーン主演作『Dangal(レスリング)』(2016)が大ヒットしていることは、こちらで以前お伝えした通りです。YouTubeには、『我和我的冠軍女児(私と私の1位の娘)』(台湾公開題名?)あるいは『摔跤吧!爸爸(レスリングだ!お父さん)』(中国公開題名?)という『Dangal』の中国語タイトルを冠した映像がいろいろアップされており、「この映画を熱く語りたい!」というファンや自称(?)映画評論家があれこれ語ってくれています。その中で、台湾のテレビ局中視の予告編紹介画像を付けておきます。
電影快遞 《我和我的冠軍女兒》│中視新聞20170325
また、中国での大ヒットにより、ここ数日インドでは、『Dangal』の世界興収が200億ルピー(約350億円)をいつ超えるかが注目の的になっています。『Baahubali 2: The Conclusion(バーフバリ2:完結編)』の世界興収は今のところ165億2千万ルピーで、『Dangal』の193億ルピーにかなり水を開けられてしまいました。昨年末までの世界興収第1位が『PK』(2014)で、79億2千万ルピーでしたので、その3倍近いお金を稼ぎつつある『Dangal』。その半分以上が中国市場での興収と聞くと、ちょっと唖然としてしまいますが、さて、日本でもどこかの配給さんが興味を示して下さるでしょうか。今年後半も引き続き、アジア映画の動向にご注目下さい!
こういうデータを発表する公的な機関がないので、こちらも仕方なくウィキペディアのデータに頼っているのですが、年間ベスト10などのデータも「〇〇ペソを突破!」みたいな芸能記事を頼りに作っているようで、もう少しなんとかならないものかなあと思っています。
それにしても、日本の「自国映画占有率」の高さはすごいですね。
これ、それだけ日本の映画が優れているからというよりも、観客の興味が内向きになっていることの現れのようで、ある意味、すごく残念です。世界には素晴らしい映画がたくさんあるというのに。
フィリピンもおっしゃる通りですが、アジアの国々は抜けが多いですね。
カンヌの情報収集力にも限りがある、ということで、国(または日本のように産業界全体)として映画産業データをコンスタントに発表(発表しないまでも把握)している所以外は、なかなかデータが出てこないのだと思います。
日本の自国映画占有率の高さは、『君の名は。』みたいなお化けヒットが出たからだと思いますが、確かにおっしゃる通りハリウッド以外の外国映画にとっては、今の日本は厳しい状況のようです。
インド映画も、全然公開本数が増えません。
そういえば、『バーフバリ』@丸の内TOEIは、敗者復活戦で見て下さったのですね。
お疲れ様でした、が、スクリーンでご覧になっておいてよかったでしょう?
『2』の公開情報がまだ流れてこないのですが、私も早く見たくてウズウズしています...。