アジア映画巡礼

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中国映画のヒット作『20歳よ、もう一度』がやって来た!

2015-06-12 | 中国映画

昨年ヒットした韓国映画『怪しい彼女』(2014)のキャッチコピーは、「突然、20歳(ハタチ)。」 その『怪カノ』日本公開からちょうど1年、今度はそのキャッチコピーを受けたような『20歳よ、もう一度』(2015)が本日から公開されました。こちらは中国映画で、『怪カノ』のリメイクとも言えるのですが、雰囲気はかなり別物の青春ノスタルジック・ファンタジー。さてさて、どんな風に違っているのでしょう? まずは作品のデータからどうぞ。

 

『20歳よ、もう一度』 公式サイト 

 2015年/中国/132分/原題:重返20歳

監督:陳正道(レスト・チェン)
出演:楊子姍(ヤン・ズーシャン)、帰亜蕾(グァ・アーレイ)、陳柏霖(チェン・ボーリン)、鹿[日含](ルハン)

配給:C.J.Entertainment Japan

6月12日(金)よりTOHOシネマズ新宿で先行ロードショー、6月19日(金)よりTOHOシネマズ日本橋その他で全国ロードショー

(c)2015 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved.

主人公は口うるさい老婦人沈夢君(シェン・モンジュン/グァ・アーレイ)。この上品でやさしげな顔に騙されてはいけません。自分勝手で、息子の嫁も老人クラブの仲間もうんざりさせられています。唯一味方と言っていいのは、昔彼女の家で働いていたという李大海(王徳順)おじいさん。「小姐(シャオヂエ=お嬢様)」と呼んで、なにくれとなく味方になってくれます。いい気になっていたモンジュンでしたが、彼女のせいで嫁が体の具合を悪くして入院し、息子(趙立新)は彼女を老人ホームに入れることに。ショックを受けたモンジュンは、息子や孫娘と食事をしたあと李大海の所に行こうと道を歩いている途中、写真館の中へふらふらと。記念写真を撮ってもらい、孫の前進(チェンチン/ルハン)とその仲間に食事をおごる約束をした場所に駆けつけようとするモンジュン。ところが、乗ったバスの窓に映るのは、20歳だった時の自分の顔でした...。

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ストーリーを書いてしまうと『怪カノ』と同じになってしまうのですが、結構細部が違っていて、別物として楽しめます。モンジュンが上品(に見える)なので、『怪カノ』のナ・ムニのようながさつさというかたくましさがなく、しっとりヴァージョンという感じ。映画初出演のルハン(左)もかわいくて、『怪カノ』のジニョンほどトンがってはいません。ですので、トンがった孫息子がホントは心優しくて、というような驚き感は少ないのですが、メリハリの効いた『怪カノ』に比べると全体が穏やかで、ほんわかしています。これは、『花蓮の夏』(2006)などのレスト・チェン監督の持ち味というところでしょうか。(確信は持てないのですが、レスト・チェン監督も一瞬出演していたような....)

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とはいえ、モンジュン@20歳である孟麗君(テレサ・モン/ヤン・ズーシャン)の魅力は、シム・ウンギョンが扮したオ・ドゥリにいささかも劣りません。若返って最初にヘアカットに行ったテレサがモデルにしたのは・・・・オードリー・ヘップバーンではなくて、尤敏(ユーミン)なんですね。そして、レトロな歌「給我一個吻(ゲイ・ウォ・イー・ガ・ワン)」を元気よく歌うテレサ。自身も歌手であるヤン・ズーシャンの声の良さが、本作をますます楽しいものにしてくれます。さらにその名の通りテレサは、先日没後20年を迎えたばかりのテレサ・テンの歌も上手に歌うのですが、これは何かちょっと年代的にも地理的にも、整合性に欠けるような気が....。まあ、堅苦しいことは言いっこなしにしましょうか。

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韓国映画『怪カノ』を見た人には、あらゆる細部が楽しめる作品です。テレビ局プロデユーサーである譚子明(タン・ズーミン/チェン・ボーリン/写真真ん中)がテレサをスカウトしようと話しかけた時、撃退されるのは何を突き出されたからでしょう? 『怪カノ』では魚(サンマ?)でしたね。さあ、こちらは何でしょう。李大海おじいさんにテレサの正体がバレたのは、『怪カノ』では隠していた入れ歯を見つけられて、でしたが、さてこちらは? この李大海おじいさん、テレサを愛する余りちょっと行き過ぎなこともやってしまいます。あの帳面(?)を見せるのは、中国ならではのアイディアですねー。さらに、さすが中国、と感心する鍵の隠し場所があったりと、132分たっぷり楽しめます。

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一方、初めてこのドラマを見る人は、奇想天外だけどすぐに登場人物たちの魅力に引き込まれ、不思議な体験ができることでしょう。いつも小腰をかがめているヤン・ズーシャンの元おばあさん演技にも感心させられながら、母子愛が炸裂するクライマックスまで、一気に持って行かれるに違いありません。ことに、ルハンのファンの方なら、その髪型七変化を見ているだけでも楽しいはず。スチールをたくさんご提供いただいたので、ルハンの写真をもう1枚サービスしておきましょう。ルハンは韓国に留学している時にスカウトされて歌手デビューしたため、韓国と中国語圏の両方で人気があります。もちろん、日本にもファンがいっぱい。

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実は『20歳よ、もう一度』は、本年1月初めに中国、そして1月末には香港と台湾で公開され、中国では3億6400万元の興収を上げるヒットになりました。毎年3月には香港に行くため、その前にいろいろ映画を調べるのですが、今年よく登場したのが『重返20歳』というこの映画の原題。今頃になって、そうだったのか!と思っている私です。

では、最後にもう一つ、皆様に大サービスの「そうだったのか!」を。譚子明(チェン・ボーリン)がテレサをスカウトしようと話しかけた時、彼を撃退するために突き出されるのはこれだっ!

(c)2015 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved.

ぜひ、お近くの劇場でお楽しみ下さいね。

『20歳よ、もう一度』予告編




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